Sixteen Tones

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「脳科学者の母が、認知症になる」

2021-12-17 09:34:42 | 読書
恩蔵絢子「脳科学者の母が、認知症になる 記憶を失うと、その人は“その人”でなくなるのか?」河出書房新社 (河出文庫 2012/12).

自分の母は脳科学者だが,認知症になってしまった...とも解釈できるタイトル.日本語の「の」は難しい.

出版社による内容説明*****
記憶を失っていく母親の日常生活を2年半にわたり記録し、脳科学から考察。認知症の見方を一変させる画期的な書。茂木健一郎氏絶賛!
アルツハイマー病になっても最後まで失われることのない脳の迫力に迫る。記憶を失っていく母親の日常生活を2年半にわたり記録し、脳科学から考察。認知症の見方を一変させる画期的な書。

目次*****
はじめに 医者ではなく脳科学者として、母を見つめる
1 六五歳の母が、アルツハイマー型認知症になった
2 アルツハイマー型認知症とはどういう病気か
3 「治す」ではなく「やれる」ことは何か―脳科学的処方箋
4 「その人らしさ」とは何か―自己と他者を分けるもの
5 感情こそ知性である
おわりに 父母と竿燈まつりに行く
*****


第4章の内容を詳しく書いたのが上.やはり脳科学の紹介より,母親の言動の記録に興味がいく.添景として現れる父は,娘よりも妻 (娘には母) に甘く優しいようだ.
たぶん第5章が結論.

16 トンの父は 50 台,母は 60 台で認知症状が明らかになる前に亡くなった.だから心配は,自分が,あるいは J 子が認知症になったときのこと.
本書第4章によれば,法律で安楽死が認められているオランダやベルギーでは,認知症になったら治療せずに安楽死させるように意思表示する人が増えているという.ところが,そのような意思表示をした本人が意思表示をしたことを忘れ,毎日施設で提供されるピーナッツバターサンドイッチを食べて幸せに暮らしている例がある.記述は「病気になる前に想像するアルツハイマー病と,病気にってからの実感は違う可能性がある.アルツハイマー病の人には幸せを感じる能力が残っている」と続く.
でも,まだアルツハイマー病になってはいないが,ひたすらピーナッツバターサンドイッチを食べることに幸せを感じる自分を想像するのは嫌だな.

医師が患者に接するのは週に1回とか,せいぜい日に1回だが,同居家族はもしかすると四六時中接することになる.その家族がこの場合は脳科学者で,専門知識を活かして書いた本.例えば 認知症の親を持った坊さんなら,宗教と精神世界を論じた本が書けそう.でも我田引水は言い過ぎ,有益な本であった.
NHK の番組で「認知症の第一人者が認知症になった」があった.
コメント
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