みなさん、手前の黒い瓶、これ何だかわかりますか?
純度100%のバラのエッセンシャル・オイル(花精油)です。
大きさの比較のためタバコを並べています。
バラの花びらを絞って出てきた天然の香りの素です。
絞るといっても本当に絞っているわけではなく、釜に入れて
蒸気で蒸し、そこから水と花精油を分離しているんですけれども。
昔は熱した動物の脂肪を入れて香りを写し、乳液として
使用していたようです。
この絞りかすがドライフラワーやポプリとして使用されます。
このエッセンシャル・オイルですが、この量で5,000円です。
バラのエッセンシャル・オイルは4トントラック一杯の花びらから
ビール瓶1本分しかとれないらしく、なるほどそれなりの値段ですね。
ジャスミンはこれより高価です。
ではこのエッセンシャル・オイルなるものをどう使用するのか?
すぐ思いつくのはアロマオイルのような使い方ですよね。
でも花精油といっても燃やしていい香りをさせるには、それ用に
調整しなければなりません。
アロマオイルには花精油はほんの数滴しか入っていないのです。
エッセンシャル・オイルとアロマオイルはまったく違うものです。
あと考えられるのは?香水のように人肌につける?
ところが花精油は濃度が濃すぎて、直接肌につけるとかぶれたりします。
一般的に「香水」と呼ばれているものは花精油が25%以上と規定
されています。あとはほとんどアルコールです。
では、どうするの?
これはコットンなどに数滴たらして、部屋の芳香剤などに使用します。
単一の香料なので、時間がたっても香りが薄くなることはありますが、
変化することはありません。
一般的なブレンドされている「香水」などは、混ぜてある香料の
揮発性や持続時間にそれぞれバラツキがあり香りが変化してしまいます。
写真のプリントに使用される三原色(シアン、マゼンタ、イエロー)にも
退色性のバラツキがあり、一番早くマゼンタが退色してしまいます。
ですから古い写真の色は青っぽくなるのです。
この退色性には一定の法則があり、復元ソフトは三色のバラツキで
どれだけ経過しているか判断し、各色を補正しているのです。
話を元に戻しましょう。
みなさん、部屋やトイレ、車などに芳香剤を使っている人が多く
いますが、これまでの話で天然の香料を使うととても500円前後
で収まらないことがわかりますよね。
そう、人工香料なんです。
原料は?石油です。
かなり昔から花の香りの成分の分子構造は研究されていて、かなりの数の
花の香りを再現することができるようになっています。
スズランのように花精油がまったく取れない花の香りも再現できる
ようになりました。化学の進歩はすさまじいです。
花の香り以外でも、ムスク(フェロモンに似たもの)、アンバーグリス
(鯨の胃石)なども人工的に作られるようになりました。
シャネルのNo.5のような高級品にも人工香料(アルデヒド)は入って
いるんですよ。
でもなぁ、やっぱり天然はいいなぁ。
なにが?うーん、説明できないけど。