風に吹かれて行こう

お米の便りを、写真でもっとわかりやすく!

春祈祷

2024-02-05 | 農家 農村

 毎年の恒例行事です。地域の多くの家で行われています。地元の神主さん(宮司さん?)が各家庭を回ってやってくれます。

 確たる信仰があるから?しているのではありません。どこの家であっても、はるか昔から続いてきた、暮らしの一部ということでしょうか。あっ、でもそれも信仰のひとつの形なのかもしれませんね。

 読み上げる祝詞に耳を澄ませていると、たくさんの神様に向かって、いろんなことを言っているのが分かりました。

 

 来てくれた宮司さんにお礼を差し上げますが、のし袋には、「お初穂料」と書きます。初穂という言葉もなかなか味わい深い気がします。昨年のクリスマスの時、お米のお付き合いのある方から、クリスマスカードと一枚の写真をいただきました。ガラス瓶に稲穂を立てた様子が写っていました。和賀屋の玄米を播いて、それがいくらか芽を出して、それが育った稲から採った種もみ。それを播いて育った稲と知らせてもらいました。とてもうれしく、お米が実ったことに感激でした。そしてその時ふと思い浮かんだ言葉が、お初穂というものでした。

 


「ハレ」と「ケ」

2024-02-05 | 日記

 ハレとケ。この言葉は、そんなに一般的ではないですよね。ハレの日とかハレ舞台などという言葉を聞いたとき、浮かぶ漢字は常に晴れというものでした。だから、それほど青空でない日に、ハレの日なんて聞くと、なんだか違和感を覚えたものです。

 それが「ハレ」という言葉、概念に気づいたとき、あー、そういうことだったのかと、思わず手をたたきたくなりました。あの、ずいずいずっころばしの時の最初のような手つきで。そして、それと対をなす「ケ」のことを知ったのは、ちょっと時間差がありました。知ったらさらに、メリハリがつきました。

 

 あまり一般的ではない、このふたつの言葉。秋田弁だと誰でも知ってますよ。もちろん、全然別の意味です。

 「ハレ」と誰かに言われたら、それは入りなさいという命令形です。もちろん、その前後の言葉や、言葉を発した時の表情他で、単純な命令形の場合もありますし、言葉がキツく聞こえても、どうぞ入ってというようなニュアンスにもなります。文字にするなら、やはりひらがなが似合っています。

 「ケ」もひらがなが似合っていますが、こちらは食べなさいという意味。やはり、キツく聞こえても、親愛の情が込められていることが多いです。そんな時は、へば、ごっつぉぅなるんし(そうすれば、いただきます)と言って、ごちそうになりましょう。

 

 なお、初対面の人には、いきなりこんなふうには言わないのが普通です。「ひゃってけれ」とか「くってけれ」というような言い方になります。この言い方も無くなりつつありますけど。標準語化の勢いはとどまることがないのです。


怪説

2024-02-05 | 日記

 昨日は立春でした。17時27分の空模様に注目なんて、もったいをつけて書いていながら、その時刻、自身の意識はうっかり飛んでいました。何のことはない、この時刻が立春へと切り替わる時刻なのだそうです。

 

 お米の便りや、このブログでも何度も書いていることなのですが、この立春に切り替わるときのことを、当地では「寒の別れ」と言ってきました。でも、この言葉は、もう知らない人が大多数なのではないかと思います。自分も同居していた祖父から聞いた言葉でした。他界したのは自分が33歳の時。このように高齢者が身近にいないことで、途切れてしまったことは、おそらく数えきれないほどあると思います。もちろん、時代の変遷とともに無くなっていくことも、これまた数えきれないほどあることでしょうが、ただただノスタルジックとはいえ、残ってもらいたい素敵な言葉や事柄、技などがあることも確かだと思うのです。

 

 「寒の別れに荒れれば、49日荒れる」とは、古くから言われた言葉。49日後というのは、彼岸の中日のようです。この言葉に思いを込めた、託した?昔の雪国の人たちの暮らしに、毎年この時期、知らず知らず思いを馳せてしまいます。そして、当たるかどうかは、暮らしの不便さという点からは、今ではさほど重要ではないという感じもしています。それは、現在ではそれだけ、雪に対する備えができているということになります。

 

 また、ダラダラと長くなってしまいました。それで、今日のオチなんですが、肝心の時刻をうっかり忘れていたということで、立春の油断が字句を招く、というのはどうでしょう。ダメか…。