今朝は弱弱しい声が一回きりだった。どこに潜んでいたのか、見つけることはできなかった。
夜、もう一度行ってみた。暗い中で少し待ってみたが、何の声もしなかった。もうダメだったかと思った時、鳴く声がし、やや間をおいてもう一度聞こえた。その方向に懐中電灯を向けたところ、それが昨日見たものなのかはわからないものの、一匹のコオロギがいた。動いたらダメだぞと声をかけ、急いで作業場の明かりをつけて、何とか捕まえることができた。そしてすぐ、外の草むらにポンと放した。コオロギのうれしさには、おそらくかなわなかったろうけれど、ホッとした。
明日から9月。早い農家だと、あと2週間もすれば稲刈りを始めているかもしれない。和賀屋だって、それから数日後には始まっていることだろう。田植えをしたのが、つい先だってのような気がするのに、もう秋だ。
半月後から、日いちにちと風景が変わっていくのだ。通勤などで、田んぼの中を通る人は、毎日朝夕で違った景色を見ることとなる。もちろん、そうしたことに関心を持っていればのことだが。
今日発表された全国の作柄予想では、秋田県は平年作ということだった。「良い作を取らなくてもいいから、悪い作を取るな」 決して豊作を取らなくてもよいから、毎年不作にならないようしなさいという意。結婚の時に色紙にそんな言葉を書いてくれた方がいた。一年一回の米作り。そういうことだよなーと、しみじみ思う。