山頂周辺が騒がしいのは、山岳ヘリと思われるヘリコプターが飛んできたせいであった。
どうやら、具合の悪い人が出たということらしい。
楽に頂上の花の散策を楽しめるとはいうものの、ここは山の上。
具合の悪い人の様子によっては、命を救うために一分一秒を争う必要があるということだ。
やがて、ヘリコプターは、山頂から100m近くの登山道の上空で空中に停止し、ホバリング。
ずっと見ていた訳ではないが、しばらくのちに、救助隊員が、ロープで引き上げられた。
その腕には、患者と思われる方を抱きかかえていた。
空中のヘリまで相当の距離(?)があった。
空中で、複数人で対応し、ヘリに乗せヘリに乗り込む。
急ぎながらも時間をかけて、適切に対応しているのがうかがわれた。
やがて、乗せ終わったヘリは、一気に滋賀県側の街目指して急降下。
スピードを上げて、はるか下界へ飛び去って行った。
…珍しい光景であったが、写真を撮るのは、やめておいた。
撮るのは、人命がかかっているのに興味本位の仕業のように思ったからである。
無事を祈りつつ、山頂周辺の花畑を楽しむことにした。
やはりイブキジャコウソウは美しい。
またまたシュロソウを発見。
この日は、陽射しが出た時もあったが、全体的に山頂はうす曇り。
琵琶湖はよく見えず、残念。
昼食代わりにおやつを食べ、下山ルートの下り専用東遊歩道コースから下りていくことにした。
下りルートは滑りやすいので、登山靴着用を義務付ける立て札があった。
途中で、シモツケソウやメタカラコウが群落となっているそばを通る。
近くの山が青く見え、花との色の対比が美しかった。
下山していくと、途中、なんだか懐かしい雰囲気のコースだな、と思った。
その懐かしさは、1年前に見た風景に似ていたから。
1年前、礼文島で見た風景によく似ているのだ。
草原が広がり、所々に花が咲き、ここだけが浮いているような感覚。
もっとも、礼文島の周りは海だった。
しかし、この伊吹山も、周囲の景色から浮いているような不思議な感覚。
そんな感覚を楽しみながら、ゆっくり下りてきた。
途中、つぼみだらけの植物をたくさん見た。
どうやら、それはサラシナショウマ。
近い将来たくさんの花を開かせることだろう。
約1時間の下山コースを下り、
駐車場近くの花々を名残惜しく撮りながら、麓に向けて車を走らせた。
面白いことに、その途中でも、
オオウバユリに
ツリガネソウらしきものや
フシグロセンノウ
少し珍しいハギなどを見つけたので、車を止めて、しっかり写真に撮ってきたのであった。
伊吹山ドライブウエイを下山すると、そこは、関ヶ原町であった。