オーストラリアに住んでみれば

南国暮らしに憧れて、住み始めたオーストラリア。
住んで、暮らして、初めて分かる、色々な体験談をお披露目します。

オーストラリア 若いお母さんたちへ 古いお母さんより

2019-09-20 13:49:12 | 日記

いよいよ、次男カイのチェアマンディナーがやってきます。

これが来たら、すぐにフォーマル、そして卒業になる…と、とうとう、彼も巣立って行ってしまうのです。

すごく長かったようで、一緒に暮らせたのは、たったの17年間。

 

今日は、オーストラリアとは関係ないけれど、後悔も加えて、

私の宝物を、シェアしたいのです。

 

 

子供たちが小さいころ、私には、一日1回は何か辛いことをやらせる、と言うポリシーがあって、

毎朝、ランニングに連れて行きました。

”ママ、まってーーー、お手々痛いし、走れへんー” とカイ。

見ると、少しトゲトゲした、松ぼっくりみたいな花を小さな手に持っていて、走ると、振動で手をチクチク刺すらしい。

”それだったら、捨てなさい” と言うと、

”捨てたら、お花、泣きよる” と、痛いのを我慢して、泣きながらついてくる。

 

私は、毎朝、子供がまだ寝ている間に、アパートのジムに行っていたのですが、

ある朝帰ると、子供たちが居ない!

家じゅう探してもいない。外に出るワケは無いし、、、、

”アキ、カイーーー!!!”

と叫ぶと、バスタブに隠れていた子供たちが ”バァーッ!!!” と出てきたり。

 

 

”ママ、ママ、”と真面目な顔で側に来るので、”何?”

”こんな大きな、フガ出た” 

”フガって何?”

”はなくそ”

”汚いなぁー、こっちにかしなさい” とテッシュをさし出すと、鼻の穴から、

鼻くそを出すまねをして、小さな黄色い小石をくれました。

 

 

いつだったか、スーパーに行った時、カイが何処からか、イチゴのパックを抱きかかえてきて、

”これ買おう” と言ったのに、高かったので、買ってやらなかったことがあります。

アキは、食が細く、難しかったので、何でも色々買ってやって、機嫌を取って食べさせたけれど、

カイは何でもよく食べてくれたので、気にかけてやっていなかったのです。

…ああ、イチゴくらい、買ってやればよかった、、、と、14年たった今でも、

あの時の、がっかりしたカイの顔を思い出すのです。

 

カイがまだ2歳のころ、マッサージスクールに通うことにしたので、保育園に入れました。

朝、保育園で別れる時、カイは、決して泣いたり騒いだりしないけれど、

カイを先生に渡して外に出ると、駐車場に一番近い、園庭のフェンスのところに来て、

フェンスにしがみついて ”ママ” と呼ぶのです。

行くと ” あのお花、取って” と適当にそこらの花を指さして、言うので、それを取って、

小さな手に渡してやると、一瞬、にっこりするので、

その隙に、“じゃあ、あとで迎えに来るからね” と、後ろ髪をひかれながらも、逃げるように、立ち去る

のが、お別れの儀式でした。

バックミラーには、いつまでもこっちを見て、花を持ってフェンスにしがみ付いている Kaiが見えました。


ある日、いつものように夕方、迎えに行くと、Kaiが走ってきて、にっこり笑って

小さな手を、私の目の前で開いて見せたのです。

そこには、私が朝、手渡してやった、“ねむの木の花”が、


Kaiの手のぬくもりで、ホカホカで、よれよれになってあったのです。

“ママ、待って” と言ってどこかへ走って行ったかと思うと、今度は、砂だらけになって、へなへなになった、

これも、朝とってやった “ねむの花” があったのです。

園の先生が、“今日は一日中、お昼寝の時も、大事にそのお花、持ってましたよ” と仰ったとき、


にっこり笑うKaiの顔を見て、私は、涙が出そうになりました。

 


嫌がるカイを引きずって、日本語学校に連れて行ったり、

ラスト10分でも、カイの大好きなシーワールドモノレールに乗りに連れて行ったり、

ピアノを教えたり、一緒に、飛行機や家を作ったり、

あの時は、ちょうど離婚裁判で、朝目覚めるのが辛かった日々を、

笑わせてくれたり、驚かせてくれた数年が、とても懐かしく、涙が出そうにあるくらい、いとおしく思えるのです。

 

彼が10歳くらいの時、すごく難しい時期があって、本当に、体を張って、

…文字通り、声を張り上げて、広い場所に出て体力の限り、、、戦いました。

学校のカウンセラーの先生に話を付けてもらったら、何故かその後は反抗期もなく、いつもママに優しい、

いえ、誰にでも優しいらしい、子なのです。

 

うるさいくらいに、“おててつないで” と差し出された、あの小さな手を、もっとつないでやればよかった。

遊んで欲しがって、いつまでも、ママにまとわりつくカイを、無下にしないで、

納得するまで、遊んでやればよかった…

甘えて、抱っこして欲しがった時、ぐずった時、叱らないで、

あの、小さな体を、もっと抱っこして、安心させてやればよかった…

 

だって、そういうことを必要としてくれるのは、ほんの、数年の間だけなんだから、、、

と分かったのは、そうしなくなってから。

 

あの時は、毎日が戦いで、寝不足でしんどくて、それどころじゃなかった。

けれど、大切な一生に一度の、数年だったのに、

あの、ママを見上げる瞳、小さな柔らかな手は、もう思い出の中だけ。

 

今は、毎日自分の車で学校に通い、明日からは彼女とスキーに行くとはりきっているカイ。

もう二度と、あの小さなカイに戻ることは無いのね。

もう、私がしてやれることは、もう、殆どなくなってしまった。

 

小さな子供を持つお母さんたち。

今はきっと大変で、子供の事をかわいく思えないこともあるかもしれないけれど、

子供と過ごした時間は、将来、必ず、甘酸っぱい、

大切な宝物になります。

 

大変だけど、負けずに頑張ってくださいね!

 

 

 

 

 


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