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緊急事態条項の意図は自公政権の独裁体制永久化

2024-06-19 14:39:21 | 緊急事態

※下記は2015年12月19日に投稿したものであるが、加筆修正して再投稿したものである。 

 12月17日の某新聞が、安倍首相が衆院憲法審査会長の保岡興治氏と憲法改正問題に関して意見交換し、今後の審査会の審議について保岡氏は、「緊急事態条項」を中心に進める考えを伝えた、と掲載した。

 なぜ「緊急事態条項」なのか?まず頭に思い浮かぶのは、「安保法制」との関連であろう。安倍自公政権にとって、米国の軍事的世界戦略に対してその子分として加担する事を合法化するために必要なのである。

 その目的を完遂するために、主権者国民の反対行動を弾圧し協力を強要する事を合法化するために必要なのである。さらに、安倍自公政権また自民党政権を永久政権とする事を狙っており、そのためにも必要なものとして成立させたいのである。「緊急事態条項」の内容には、

 「自民党憲法改正草案」第98条(緊急事態の宣言)では「内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認める時は、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発する事ができる。」

 同第99条(緊急事態の宣言の効果)では「緊急事態の宣言が発せられた時は、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定する事ができるほか、内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をする事ができる。」。第3項では「緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も、法律の定めるところにより、当該宣言に係る事態において国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない。この場合においても、第14条、第28条、第19条、第21条その他の基本的人権に関する規定は、最大限に尊重されなければならない。」。第4項では「緊急事態の宣言が発せられた場合においては、法律の定めるところにより、その宣言が効力を有する期間、衆議院は解散されないものとし、両議院の議員の任期及びその選挙期日の特例を設ける事ができる。」とあるが、

 この内容は、ヒトラー政権が独裁政権化するために利用した、ヴァイマル憲法の第48条(大統領緊急命令権)と大統領の議会解散権、そしてヒトラーが成立させた「全権委任法」を巧みに統合した内容となっている。

大統領緊急命令権」とは、「もし分邦国がドイツ国憲法又はドイツ国法律によって負わされた義務を実行しない時は、大統領は武力を用いてその義務を実行させる事ができる。もしドイツ国内において、公共の安全と秩序が著しく乱された時、又はその恐れがある時は、大統領は公共の安全と秩序を回復させるために必要な措置をとる事ができる。この目的のためには大統領は一時的に、憲法第114条(個人の自由に関する規定)、第115条(住居の不可侵)、第117条(信書・通信の秘密)、第118条(言論の自由)、第123条(集会の自由)、124条(結社の自由)及び第153条(所有権の保障)に定められた基本的権利の全部又は一部を停止する事ができる。」というもので、ヒトラーは1933年2月27日の国会議事堂炎上事件を口実に大統領に「人民と国家防衛のための」緊急命令を出させ基本的権利を制限していったのである。

全権委任法」は正式には「民族及び帝国の困難を除去するための法律」という。ヒトラーは、「大統領の地位」「連邦各州の存立」「教会の権利」「国会の存在」を脅かすものではないと強調したが、予算監督権を含む立法権、外国との条約の承認権、憲法修正の発議権を議会から政府に移し(第1、第2、第4条)、憲法の範囲外のものを含む法律の作成権を大統領から首相に移管する(第3条)事を規定したものであった。また、有効期間は4年間かつ現内閣の存続中(第5条)としていた。議会政治を否定するもので、議会の立法権を有名無実にするためのものであった。ヒトラーは議会に諮る事なく法律を作る事ができる事が狙いであった。1933年3月23日、SA(ナチス突撃隊)に包囲させたオペラハウスを会場とし、議会政治が議会政治を廃止する決議をするという形で成立させた。この背景には、ナチス・ドイツ、ヒトラーによる議会に対する破壊行為や反ナチス議員に対するテロ・脅迫行為が存在し、議員活動をできなくした事とカトリック政党である「中央党」がヒトラーの弾圧を恐れて賛成した事があった。

 緊急法令は、現在の日本の法律にも、「災害対策基本法」や「国民保護法」が成立している。ではなぜ「緊急事態条項」に「我が国に対する外部からの武力攻撃」や「内乱等による社会秩序の混乱」とともに「地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において」という文言を盛り込んだのかを考えると、この「条項」を新たに設置しようとする主たる狙いが、「武力攻撃」と「社会秩序の混乱」である事にもかかわらず、国民に不安を抱かせず、肯定的な理解を得られる効果をもたせるようにするためと言ってよいであろう。非常に狡猾な手法である。ヒトラーは大衆に寄り添うふりをしながら、驚くべき大衆蔑視の政治家だったが、彼の言葉に「大衆は愚鈍だから、小さなウソより大きなウソに騙されやすい」とあり、また「大衆の支持を得ようと思うならば、我々は彼らを欺かねばならない。巧みな宣伝をたえず用いれば、人々に天国を地獄と見せる事も、その逆に、もっとみじめな状態を楽園のように見せる事もできる」とあるが、この手法と同種である。

また「閣議」にかけて、「緊急事態の宣言」を発する事ができる、とするが、「武力攻撃」と「内乱等による社会秩序の混乱」の文言を利用して、安倍政権自民党が衆議院での優勢を背景に、国民の意思を無視して「恣意的、強行」に「宣言」を発する事態を招く可能性がある。それは敗戦までの大日本帝国憲法下の「治安維持法」の復活や「破防法」の適用につながる可能性がある。

「緊急事態条項」には別の問題もある。それは「憲法改正草案」第98条第2項「緊急事態宣言は、法律の定めるところにより、事前又は事後に国会の承認を得なければならない。」とするが、これはどちらでもよいとするのは危険であり、例外なき「事前」とする事が安倍政権(だけではないが)の暴走から国民を守るうえで譲ってはならない事である。

さらに「草案」第99条第4項「緊急事態の宣言が発せられた場合においては、法律の定めるところにより、その宣言が効力を有する期間、衆議院は解散されないものとし、両議院の議員の任期及びその選挙期日の特例を設ける事ができる。」とするが、これは安倍自公政権、また「緊急事態」を宣言した政権が「独裁体制」を永続する事を合法化するためのものであり、議院内閣制や議会制民主主義、国民の人権保障を否定しかねない非常に危険な内容である。主権者国民は安倍自公政権(だけではないが)を安易に信用してはいけない。そして、不断の監視をする事が主権を有する国民の責務である。

政治を日本国憲法や民主主義を尊重する主権者国民の手に取り戻そう。

 

 

 

 

 

 

 

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