靖国神社は天皇に忠義を尽し戦死した事を、神聖天皇主権大日本帝国政府(陸海軍省)が認定した者を「顕彰」し、「神」として祀った。「顕彰」の目的は戦死者を次の戦争に政治利用するためであった。靖国神社は、明治以来の神聖天皇主権大日本帝国政府による戦争は、すべて「正しく」「神聖」な戦争であるとした。1875年9月に朝鮮国侵略を目的とした「江華島事件」では、日本軍は江華島の要塞を攻撃し、35名の朝鮮国側の守備兵を殺害した。日本側は1名が帰国後死亡したが、その死亡した兵士はその後、「靖国神社」に祀られた。
靖国神社は、戦後新憲法の下でいち宗教法人となったが今日においても、靖国神社規則第3条「目的」で以下のように定めている。
「本法人は、明治天皇の宣らせ給うた『安国』の聖旨に基づき、国事に殉ぜられた人々を奉斎し、神道の祭祀を行い、その神徳を広め、本神社を信奉する祭神(英霊)の遺族その他の崇敬者を教化育成し、社会の福祉に寄与し、その他本神社の目的を達成するための業務及び事業を行う事」(英霊顕彰)
つまり、靖国神社は戦前戦後一貫して、死者に対する謝罪施設ではなく、感謝施設である。戦死者を神として祀り、後に続く者の模範とするものである。無理やり徴兵され、家族と引き離され、何の怨みもないアジアの隣人を殺戮するための政府の仕事に従事させられた人々を「国=天皇のために進んで命を捧げた人」として宣伝する偏向した思想に基づいた施設である事を主張しているのである。
上記のような、宗教法人の一つに過ぎない「靖国神社」へ、様々な公務員の「肩書」を記し、玉串や真榊を奉納し、「敬意」と「感謝」の念をもって参拝した、などと心情を述べているのは明らかに憲法の「政教分離原則」に対する違反を無視した行為であり、公務員としての資格がないのは明白である。
(2024年9月11日投稿)