2019年2月21日NHK テレビ番組「所さん!大変ですよ 追跡!世界遺産その後」において、「大山古墳」とすべきを、「仁徳天皇陵古墳(大山古墳)」との文字テロップ(もう一つについては「誉田御廟山古墳」とのみ)を流していた。このNHKの番組作りの姿勢は、学術成果を無視したものであり、偏向した思想に基づく主観的非科学的なものであり、故意に誤った知識情報を伝えようとしているとみなすべきであり、断じて許す事ができない。
2018年9月28日、日本考古学協会は、来年の世界文化遺産登録をめざし安倍自公政権が推薦している大阪府の百舌鳥・古市古墳群に関して、大阪市内で記者会見し見解を発表した。宮内庁が「仁徳天皇陵古墳」などと称して管理している現状について、協会は「各古墳の被葬者は学術的に確定していない」のであるから「学術的な観点に基づいた名称で呼ぶべきである」などとして、たとえば「仁徳天皇陵古墳」は「大山古墳」と称するべきだなど、一般の古墳同様、地名や地元の古い呼称に基づいた名称で呼ぶべきだという見解を発表した。
しかしすでに、この宮内庁称する「仁徳天皇陵古墳」に関連して看過できない批判すべき出来事が起こっていた。それは堺市で大仙小学校の6年生75人が2018年9月18日、堺観光ボランティアに指導されて、校区内にある宮内庁称する「仁徳天皇陵古墳」の観光ガイドに挑戦したというものである。子どもに郷土への関心を高めてもらう事を目指す堺区の取り組みの一環として実施したという。
しかしこの取組みは、上記のような考古学協会の見解を尊重するならば、決して行ってはならないものであるというべきである。それは、堺市長、堺市教委、大仙小学校の校長と教員がその地位立場の権力権限を利用して、その取り組みを学校教育の一環として位置づける事によって子どもたちにとっては拒否できない形で、事実ではない事=「ウソ」を押しつけ観光ガイドをさせたという事になるからである。さらには、子どもの権利条約第14条1項「思想・良心及び宗教の自由について児童の権利を尊重する」という趣旨に照らしても行ってはならない事である。
また、住民の大人たちの中にも考古学協会の見解を理解をせず、宮内庁の主張を事実であると思い込み、無責任にも子どもたちに誤った認識を与えている人々がおり看過すべきではない。たとえば、古墳の清掃活動に取り組む住民団体「仁徳陵をまもり隊」である。この事務局長は「世界遺産登録で、古墳を次代に残していければ」と話しているからである。ただちに謝罪させ止めさせるべきである。
ところで今回の考古学協会の見解はすでに古くから周知の事である。にもかかわらず観光ガイドの取り組みを実施したという事は、行政関係者(市長、教委、学校校長教員など)が、その地位と権力を不正に利用して小学生たちを動員したと断言してよいがなぜそんな事までするのだろう。それはほかでもなく、安倍自公政権にとってそうする事が都合が良いという事であり、事実でなくても、歴史を捏造して事実に仕立て上げ世界遺産に登録してもらうためである。つまり、世界遺産に登録される事によって事実にしてしまおうというのである。それは詐欺行為以外の何物でもない事は明白であるが、安倍自公政権の文化庁世界文化遺産室長が、「来訪者への情報提供のあり方」や「古墳の保全への地域住民の関わり方」などについて、現地堺市に対して指導している事を見ても明らかである。ちなみに歴史を捏造する事についての罪悪感など、敗戦までの神聖天皇主権大日本帝国政府にはまったくカケラもなかったのだから。すべてを捏造と見てもそれほど見当違いにはならない程である。主権者国民が知っておかねばならない事は、このような歴史の捏造行為は、科学的な裏付けなく歴史を自己に都合よく作り上げる歴史修正主義者の姿勢なのだという事であり、神聖天皇主権大日本帝国への回帰を目指す安倍自公政権はそれを誠実に受け継いでいるという事実である。
(2019年2月24日投稿)