山崎宗鑑
月にえをさしたらばよき団(うちわ)哉(かな)
半紙
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俳諧の歴史などを授業でやるとき、
たいてい、この句を出して、
最初はこんなばかばかしい句が多かったんだけど
芭蕉はそれを芸術の域まで高めたんだよ、
みたいな説明をすることが多いわけですが、
芭蕉だって、そういう俳諧(「滑稽」という意味です)の精神を
捨てたわけじゃありません。
いろいろなところで、俳諧精神を発揮して
和歌にはない、おもしろい句を作っているわけで
そういう意味では、この宗鑑の句も、
そんなに馬鹿にしたもんでもないのかもしれません。
それにしても
あの月に柄をつけたらいい団扇になるなあ
なんて、誰でも思いつきそうな発想で
やっぱり、いい句とは言いがたい。
言いがたいけど、
こんな句でもおもしろがる精神は
捨てがたい、です。