Yoz Art Space

エッセイ・書・写真・水彩画などのワンダーランド
更新終了となった「Yoz Home Page」の後継サイトです

一日一書 925 白魚はさびしや・室生犀星

2016-07-03 19:12:57 | 一日一書

 

室生犀星

 

「小景異情 その一」

 

半紙

 

 

白魚(しらうお)はさびしや

そのくろき瞳(め)はなんといふ

なんといふしおらしさぞよ

そとにひる餉(げ)をしたたむる

わがよそよそしさと

かなしさと

ききともなやな雀しば啼けり

 

 

「小景異情」の「その二」は、

有名な「ふるさとは遠きにありて思ふもの」で始まる詩ですが

これはその前に置かれた詩。

 

生まれてすぐに里子に出され

育ての親に虐待された犀星は

金沢の自然だけが、安らぎを与えてくれたのでした。

けれども、その自然でさえ、犀星の悲しみを誘うときもあったわけです。

 

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする