電力需要のピークをいかに抑えるか?
日本の今年の夏の課題はまさにこれであったが、大口顧客に対する節電の要請や罰金制度、そして、各家庭に対する呼びかけなどによって、今年の夏は乗り切った。
しかし、節電を行って電力需要のピークを抑えるために一番効率的な方法は、強制や呼びかけに頼るのではなく、利用者一人ひとりの経済勘定に訴えることであろう。例えば、電気の単価が一時間ごとに変化し、需要のピークに差し掛かるにつれて高くなっていくのであれば、単価の高い時間帯はなるべく電気を使わないようにしようとするインセンティブが利用者に働くようになる。
電力市場のこれまでの常識は、需要側の変動に合わせて供給量を調節する、というものであった。だから、電力需要が大きく増える平日・日中は、日本であれば火力発電所を稼動させてピーク需要を何とかして賄おうと努力してきたし、スウェーデンであれば水力発電所(貯水型)の流水量を増やすことによって、発電量を需要側の変動に合わせるという方法が取られてきた。
しかし、この制度の問題点は、ピーク時の電力需要が伸び放題であれば夏季の1日わずか数時間の間のピークを賄うだけのために電力会社はわざわざ発電所を新設しなければならない、ということだ。たとえ、その施設の一年を通した稼働率がわずか数%であったとしてもだ。
また、電気料金が一日もしくは一ヶ月を通して一定であれば、仮に利用者のほうが需要ピーク時には電気を使わず、代わりに電気が比較的豊富にある時間帯(例えば夜や早朝)に使うという努力をしたとしても何も報われないことになる。
だから、これからは需要側を電力の供給状況に柔軟にあわせていくための制度も必要となってくる。
日本では深夜料金と昼間料金を分けて課金する制度が導入され、電気温水器などの電気製品は電気代の安い夜間に動かすなどの工夫が取られている。しかし、もし1時間ごとに電気代が異なるようになれば、どうだろう? つまり、電力需要と電力供給のバランスによって1時間ごとに電気の単価を変えるというシステムである。そうすれば、朝から日中にかけて徐々に電気代が上がっていくようになり、13時~14時に単価が最も高くなり、その後、夕方にかけて減少していき、炊事の17時~20時頃に再び高くなって、再び減少し、夜中が最も安くなるだろう。利用する側は、単価の違いに合わせた電気の使い方を意識するようになるだろう。
スウェーデンではこれまで深夜料金と昼間料金との区別はなく、月間を通して、もしくは年間を通して一定の単価が課せられてきた。(←月ごとに変動するか、それとも1年もしくは2年という長い期間にわたって固定かは利用者が選ぶ契約の種類による。)
しかし、数年前から時間単位の課金を可能にする準備が始められ、2010年までにスマートメーター(1時間ごとの使用量を記録できる電気メーター)が大口・小口利用者の91%に設置された。そして、今年6月23日に来年から時間単位の課金を始めるための法案がスウェーデン議会に提出され、可決した。(続く・・・)
法案提出の日に日刊紙に掲載された産業大臣自身によるオピニオン記事。
「持続可能なエネルギーには、積極的に選ぼうとする消費者のためを考えた新しいツールが必要となる」
日本の今年の夏の課題はまさにこれであったが、大口顧客に対する節電の要請や罰金制度、そして、各家庭に対する呼びかけなどによって、今年の夏は乗り切った。
しかし、節電を行って電力需要のピークを抑えるために一番効率的な方法は、強制や呼びかけに頼るのではなく、利用者一人ひとりの経済勘定に訴えることであろう。例えば、電気の単価が一時間ごとに変化し、需要のピークに差し掛かるにつれて高くなっていくのであれば、単価の高い時間帯はなるべく電気を使わないようにしようとするインセンティブが利用者に働くようになる。
電力市場のこれまでの常識は、需要側の変動に合わせて供給量を調節する、というものであった。だから、電力需要が大きく増える平日・日中は、日本であれば火力発電所を稼動させてピーク需要を何とかして賄おうと努力してきたし、スウェーデンであれば水力発電所(貯水型)の流水量を増やすことによって、発電量を需要側の変動に合わせるという方法が取られてきた。
しかし、この制度の問題点は、ピーク時の電力需要が伸び放題であれば夏季の1日わずか数時間の間のピークを賄うだけのために電力会社はわざわざ発電所を新設しなければならない、ということだ。たとえ、その施設の一年を通した稼働率がわずか数%であったとしてもだ。
また、電気料金が一日もしくは一ヶ月を通して一定であれば、仮に利用者のほうが需要ピーク時には電気を使わず、代わりに電気が比較的豊富にある時間帯(例えば夜や早朝)に使うという努力をしたとしても何も報われないことになる。
だから、これからは需要側を電力の供給状況に柔軟にあわせていくための制度も必要となってくる。
日本では深夜料金と昼間料金を分けて課金する制度が導入され、電気温水器などの電気製品は電気代の安い夜間に動かすなどの工夫が取られている。しかし、もし1時間ごとに電気代が異なるようになれば、どうだろう? つまり、電力需要と電力供給のバランスによって1時間ごとに電気の単価を変えるというシステムである。そうすれば、朝から日中にかけて徐々に電気代が上がっていくようになり、13時~14時に単価が最も高くなり、その後、夕方にかけて減少していき、炊事の17時~20時頃に再び高くなって、再び減少し、夜中が最も安くなるだろう。利用する側は、単価の違いに合わせた電気の使い方を意識するようになるだろう。
スウェーデンではこれまで深夜料金と昼間料金との区別はなく、月間を通して、もしくは年間を通して一定の単価が課せられてきた。(←月ごとに変動するか、それとも1年もしくは2年という長い期間にわたって固定かは利用者が選ぶ契約の種類による。)
しかし、数年前から時間単位の課金を可能にする準備が始められ、2010年までにスマートメーター(1時間ごとの使用量を記録できる電気メーター)が大口・小口利用者の91%に設置された。そして、今年6月23日に来年から時間単位の課金を始めるための法案がスウェーデン議会に提出され、可決した。(続く・・・)
法案提出の日に日刊紙に掲載された産業大臣自身によるオピニオン記事。
「持続可能なエネルギーには、積極的に選ぼうとする消費者のためを考えた新しいツールが必要となる」