スウェーデンの今

スウェーデンに15年暮らし現在はストックホルム商科大学・欧州日本研究所で研究員

Vatternrundan 2008 (2) 最初の70km

2008-06-18 06:36:46 | Vatternrundan:自転車レース
我々のSub-12グループは、スタートの30分前にスタート会場で集合し打ち合わせ、とのことだったが、私は勢い余って45分前に到着。もちろん仲間の姿はなし。寒い。汗の発散性の高い下着に、クラブのユニフォーム、そして防寒用のベストと3枚も着込み、さらに腕には長袖の継ぎ足し、足にも膝を温めるための継ぎ足しを付けているのに、体がブルブルと震える。0時前後まで雨が降っていたらしく、気温は10度以下だ。

4時前の北東の空

私の指導教官の息子が私の4分前にスタートするとの話を教官から聞いていたので、彼のゼッケン番号を探すけれど、結局見つけられず。そのうち、我々Sub-12の仲間が集まり始める。「12時間以内のゴールを目指しながら、できる限り全員でゴールのゲートをくぐること」という目標とその他の詳細を確認した後、スタートのための柵に入っていく。04:06のスタートグループがスタートし、04:08のグループ、そして04:10のグループも順にスタートしていく。

スタートの直前

我々のスタート時刻である04:12まであとわずか2分の段階になって、私は大変なことに気がついた! この大会の出場になくてはならない重要なものを滞在先の家に忘れて来たことを!!! 「Nej! Jag har glömt det viktigaste!!!」と私が叫んだのを聞いて仲間が驚いてこちらを見つめる。今から取りに戻れば、30分後くらいにスタート地点に再び戻ってきて、遅れてスタートすることになる。しかし、そうすればSub-12グループと一緒に走ることはできなくなってしまう。しかし、私が忘れたものとは、それがなくては大会への出場自体の意味がなくなってしまうくらい大切なもの。私が仲間に事情を話すと「どうにかなるさ。とにかく一緒にこのままスタートしよう」と言ってくれた。さすがヨーテボリ人。くよくよしない楽観的な性格では、スウェーデンには他に勝るものがいない。私は忘れた物のことは考えないようにして、とにかくスタートした。(さて、何を忘れたのか・・・? それは後ほど)

スタートしてから最初のうちはバイクにゆっくりと先導される。そして、国道に出たところから勝負が始まる。周りのサイクリストたちの流れに乗りながら、時速30km近い速さで走りながら、我々Sub-12の隊の16人は次第に二列縦隊を形成していく。そして、先頭交代のための回転運動を30秒から1分間隔で始めていく。その動きの何と軽やかなことか!

同じ隊のメンバーは私と初対面の人がほとんどだった。そのため、二列縦隊のたまたま隣り合わせた人と自己紹介を始める。時速30km以上で走りながら、前方に注意しながら横の人と話をするのは結構大変。

二列縦隊で頻繁に回転運動を取るとは言っても、実は最後列の2人はそのポジションを維持したままだ。実は彼らは「grindvakt(門番)」という役目であり、我々の隊以外の他のサイクリストが隊列に乱入してこないように見張っているのだ。我々の隊の取り決めを知らない人たちが回転運動に紛れ込んでしまうと、動きが乱れてしまうし、前進のペースも乱れてしまう。だから、門番役の二人は、他のサイクリストが我々の隊に紛れ込んで来そうになると「わが隊の前方に抜けるか、もしくは後方に付いて欲しい」と促すのである。

そんな門番役のおかげで、わが隊の16人はまとまりを維持しつつ、最初の40kmを軽やかに走ることができた。しかし、まだ気温が低いので皆それぞれの色の上着を着ている。だから、だから誰が同じ隊のメンバーなのか、なかなか見分けが付きにくい。

最初のデポ(サービスステーション)であるHästholmenは通過。しかし、それから5kmほどしてからÖdeshögで右折したところでkisspausを取る。kissとはスウェーデン語では「おしっこ」(!)の意味なので、つまり「トイレ休憩」のこと。みな適当に道端でする。女の子も草むらに少し入ったところに隠れてする。4分ほどしてから再び出発。

我々の隊は時速30km近くで走っているので、常に追い越し車線を取りながら、遅いサイクリストを追い越しながら快調に前進していくが、我々よりも後にスタートした人の中でも速い人たちは時速35~40kmで一列になりながら、横をすり抜けていく。

しばらくして、広大なVättern(ヴェッテルン)湖とその中央に浮かぶVisingsö(ヴィーシング島)が視界に入ってくる。思わず「Underbart!!!」と言葉を漏らしてしまう。素晴らしいのは何も風景だけではない。このあたりは、起伏の少ない平坦な道が続き、風もほとんどないので、スピードが見る見る間に時速40kmに達してしまう。

私の太ももはスタート直後からズキズキと痛んでいた。どうやら、スタート前に冷えてしまった状態で、いきなり力を入れ始めたためだった。こんなので、300kmも持つのか?と心配だったが、70kmも走ってくると、痛みはすっかり消えていた。

しかし、別の不安要因が出てきた。同じ隊の女の子Eijaが上り坂のたびに四苦八苦し始めたのだ。彼女とは何回か日曜日のトレーニングで一緒だったが、まだ自転車歴が浅いとのことで、てっきりSub-13グループで走るのかと思っていた。しかし、Sub-12に加わったものの、既に70km地点でしんどそうな様子を見せ始めている。さて、どこまで付いて来れるのか?と心配になってきた。

Grännaの町の石畳を1kmほど走り、その後のデポ(80km地点)で7分間の休憩。



【続き】
Vatternrundan 2008 (3) 天気も体調も絶好調

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