スウェーデンの今

スウェーデンに15年暮らし現在はストックホルム商科大学・欧州日本研究所で研究員

定期検査中のスウェーデンの原子炉にて小規模の火災

2011-05-12 00:17:27 | コラム
ヨーテボリの南60kmにあるリングハルス原子力発電所の2号機で小規模の火災があったと、原子炉を所有する企業(大手電力会社が共同出資)および原子力の監督機関である放射線安全庁が伝えている。


リングハルス原子力発電所(4基)

リングハルス原発2号機は定期検査のために4月2日以降、運転を停止しており、炉内のウラン燃料も別の建物に保管されていた。定期検査の項目の一つとして、原子炉格納容器内に圧力をかけ、容器の機密性を確認する作業が5月10日から行われていたが、11日未明に格納容器内の温度計が通常よりも数℃ほど高い値を示していることが確認されたため、作業が中断された。

原子炉を共同で所有しているヴァッテンファルは、火災が発生したか、高温のために何かが光を放っているためではないか、としている。一方、放射線安全庁は格納容器内で煙が発生したとの報告を原子炉の所有企業から受けた、とホームページに書いている。

また通信社TTは、格納容器内で一酸化炭素が検出され、さらに容器内に設置されたカメラが内壁に付着したすすを捉えたと伝えている。温度はその後、下降したため、火災は収まったものとみられる。原子炉内から屋外へ排気される空気はフィルターにかけられているが、火災が原因と見られる微粒子が付着しているという。

原子炉所有企業および放射線安全庁によると、格納容器内での放射能の上昇は確認されていないという。念のために、今後も原子炉内からのすべての排気がフィルターにかけられた上で放出されるという。

格納容器内に人が入って検証を行うためには、まず格納容器内の圧力を下げる必要があるため、早くとも金曜日まで待たなければならず、それまで原因は分からない。原子炉所有企業の広報担当者は「格納容器内にあるものといえばコンクリートや鉄くらいで、燃えそうなものは何もないのに」とコメントしている。


原子炉を共同で所有しているヴァッテンファルのHP
原子力の監督機関である放射線安全庁のHP
通信社TTの報道

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4 コメント

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Unknown (H.U.)
2011-05-15 19:30:15
Vattenfallは独占ではなく原発を共同所有しているといわれるが相手は誰なのですか。日本では考えられないことなので。てっきり独占企業だと思っていました。するとNationalGridのような新しい配電技術対応は誰がやるのですか、勿論日本も決まっていませんが。この機会に電力業界再編をやるべきと思っていますが。
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Unknown (Yoshi)
2011-05-15 20:48:51
Vattenfallが70,4%、ドイツ電力大手のE.onが残る29,6%を出資して「Ringhals AB」という株式会社を作り、リングハルス原発を所有・運営しています。
http://www.vattenfall.se/sv/om-ringhals.htm

他の原発も同様に大手電力会社の共同出資て別会社が設立され、所有されています。
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Unknown (H.U.)
2011-05-27 18:44:11
先日会合でお宅の経済学部の学生さんが、東海大に留学されている人に会いましたので、貴兄を知っているかと言うと、彼はまだ1年生でそこまでに至っていない、講師は沢山いるのでと言っていました。彼はHalmstad出身でしたがRinghalsに原發があることを忘れていました。最初Barsebaeckを挙げましたが、あれは廃炉になったでしょうと言ったらそうだそうだと思い出し、やっとRinghalsをお思い出しました。
小さい村落の名前は覚えられるものではないですが、それから言うとOscarhamnは気の毒ではないか、Simpevarpsというべきではないですか。地図には明記されていますよね。それにしてもBarsebeckはすごい所にあったのですね。何も知らないでMMAや近辺を訪問していました。
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Unknown (Yoshi)
2011-05-30 08:44:53
>それから言うとOscarhamnは気の毒ではないか、Simpevarpsというべきではないですか。

「福島原発」がそう名づけられてしまったことも、同じ論理から言えば気の毒な話ですよね。福島県は東西100km以上あるといいますし。
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