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獄門島


横溝正史      角川書店

 小生は大藪春彦のファンである。日本のアクション活劇小説のジェダイマスターである大藪。文壇の諸氏とは群れ集わず、一人、孤峰を形成しているが、大藪と仲の良い作家もいた。星新一とは仲が良かったそうだ。その大藪がいち読者として大ファンだったのが横溝正史だ。晩年、横溝正史賞の審査員を務めている。
その大藪いち推しの横溝作品が、この「獄門島」
 と、いうわけで「獄門島」を読んだわけ。実は、小生、本格ミステリーはあまりなじみがなく、横溝正史を読んだのは初めて。野村さんごめんなさい。
 SFファンである小生が初めて横溝正史を読んだ。横溝はたいへんにサービス精神にあふれた、優れたエンタティメント作家であることがよくわかった。
 惨劇の舞台である獄門島とはいかなる島であるか。そこにはいかなる住民が住んでいるのか。そこによそ者の金田一耕助がなんの用で行くのか。そこへ行く船の中で、だれと会ったのか。冒頭で手際よく記述されている。登場人物の相関関係が少々複雑であるが、判りやすく書かれているので安心して読める。
 ミスディレクションも伏線も過不足なく張られているので、意外感も味わえる。なるほど本格ミステリーとはこういうものか。SFファンの小生が読んでも楽しめた。
 
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