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帰ってきたヒトラー


監督 デヴィッド・ヴェント
出演 オリヴァー・マスッチ、ファビマン・ブッシュ、カッチャ・リーマン

 20世紀の人物で絶対的な極悪人は誰だと問わば、ヒトラーはその代表だろう。ヒトラーは悪人かと100人に聞けば100人がYESというだろう。1000人に聞けば1000人が、10000人に聞けば10000人がヒトラーは悪人だというだろう。ヒトラーを擁護することさえ悪だ。そんな絶対的極悪人のヒトラーが、この21世紀に、しかもドイツにやって来た。
 ヒトラーは死んでなかった。陥落直前のベルリンから2014年のドイツにタイムスリップ。ひょんなことから、クビになったテレビ制作者のザバァツキと知り合う。ザバァツキはヒトラーをモノマネ芸人だと思い、テレビ界復帰を期して売り出す。ザァツキのもくろみは大当たり。本物そっくりと人気を得る。なんせ本物なんだから。
 ヒトラーは現代のドイツを見て、思うがままをいう。若者の貧困、出生率の低下、難民流入、このドイツをデブ女に任せておけない。このままではドイツは奈落に落ちるぞ。人々の前でヒトラーそっくりの演説をぶつ。わー、本物そっくりと大うけ。なんせ本物なんだから。
 人気いろもん芸人となったヒトラー。彼は一度も自分を芸人だとは認めてない。自分はあくまでナチスドイツ総統アドルフ・ヒトラーだといいはる。その通りなんだけど、その徹底ぶりがますます人気に拍車をかける。そして、人々はヒトラーのいうことも一理あると思いだす。賛同者が出てくる。そして彼、アドルフ・ヒトラーはドイツの現状を憂いて動き出す。この間、彼を本物と思ってののしったのはアウシュビッツの生き残りの認知症の老婆だけ。ヒトラーはいう。私はドイツ国民の一部だ。ドイツ国民が私を選んだのだ。
 いちおうコメディー映画となっているが、笑い事ではない。ものすごく怖いブラックな映画である。なんせ、こういうことが現実に起こったのだから。某国の某不動産屋の暴言オヤジがあれよあれよという間に大統領になってしまったのだから。笑い事ではない。
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