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クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦


監督    原恵一
出演(声) 矢島晶子、屋良有作、小林愛、ならはしみき 藤原啓治

クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ! 夕陽のカスカベボーイズ」は西部劇だった。西部劇ファンの小生のかゆいとこをかいたようなアニメだった。今回は戦国合戦もの。
 しんのすけ一家の今回のタイムスリップ先は天正2年。戦国乱世。時間移動はしたが空間移動はしてない。しんのすけたちの街春日部は、天正2年は小国春日の領地だった。
 しんのすけは狙撃されていた武士井尻又兵衛を助ける。又兵衛はしんのすけを城に連れて行き城主春日和泉守に会わせる。和泉守は好人物で、又兵衛の家にしんのすけを逗留させるように命じる。ここで春日家の姫廉にあう。廉姫はたいへんな美人。
 春日は隣国で大国の大蔵井高虎と政略結婚をすることになっていた。ところが和泉守は廉の意をくみ、婚約を破棄。大蔵井が春日に攻め込んでくる。
 この作品、子供向けアニメだと思って軽く観てはいけない。天正2年の町、城、風景がものすごくリアル。後半の合戦シーンも大迫力。また、戦闘の仔細、作法、よほど詳細に時代考証を行ったと思われる。まるで黒沢映画を観ているようだった。この後半の合戦シーンにしんのすけ一家がかかわるが、ここはなんと「戦国自衛隊」を思わせる。
 タイムスリップものだから、タイムパラドックスが起こる。そのタイムパラドックスを一発の銃声で解決した。みごとである。
 しんのすけは狂言まわしで、この映画の主役は又兵衛と廉ではないか。主家の姫君と家臣の侍。幼なじみ。この二人好きあっている。双方向の片想い。絶対にならぬ恋である。燃える想いを胸の奥に秘めて、合戦に臨む又兵衛が哀しく雄雄しい。シェクスピア+黒澤明+半村良。ずいぶんとお徳用な映画である。 
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