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ポテチ


監督 中村義洋
出演 濱田岳、木村文乃、大森南朋、石田えり、中村義洋

 原作伊坂幸太郎+監督中村義洋。このコンビの映画は「アヒルと鴨のコインロッカー」「フィッシュストーリー」「ゴールデンスランバー」と、あるがいずれも佳作。この二人は名コンビといえよう。
 原作は伊坂の短編。この映画も68分と、映画としては小品。でも、この映画はこの長さで良かった。
 コソ泥の今村は自殺未遂者の若葉と同棲して、いっしょにコソ泥もしている。二人はあるマンションの一室に空き巣に入った。電話が鳴る。泥棒の二人はもちろん出れない。留守電が聞こえる。ストーカーにつきまとわれている女からの電話だった。女はこの部屋の主に助けを求めている。この部屋の主はプロ野球の選手だ。今村は、以前もこんなことがあったと思いつつ女が待つ店に行く。 
 今村も若葉も、今村が尊敬する大森扮する黒沢も、中村扮するボスもみんな泥棒である。犯罪者であるが、とても悪人には見えない。いや、みなさん、人一倍いい人である。主人公の今村なんか、泥棒やってる最中に、2回も見ず知らずの女を助けに行っている。この登場人物のいい人感が実に心地よい。それに、彼らの演技の独特の「間」がなんともいえない。中村監督の演出力だろう。
 主人公はお人よしのコソ泥今村だが、彼と因縁浅からぬ人物が地元仙台の球団のプロ野球選手尾崎。今村と尾崎は同じ年同じ月同じ日に生まれた。華やかな野球選手とコソ泥。この二人、光と影の関係。どっちが光でどっちが影か。今村は主人公だからセリフもあるし、キャラクターが完全に創作されている。尾崎は画面に登場するがセリフもないし、バッターボックスでバッティングする選手という造形しかされていない。尾崎は今村のキャラ立てをするための単なる記号として描かれている。できたら、尾崎の演出だが、顔を画面に見せない方が良かった。尾崎は記号なんだから。
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