無農薬・自然菜園(自然農法・自然農)で、持続できる自給自足Life。~自然な暮らしの豊かさの分かち合い~

信州の大地で自然農と自然農法で育てる自給農園で、日々の営みや生命を通して感じることや想うことを発信するブログ。

田んぼの除草について

2016-06-27 09:54:42 | 自然稲作

本日、
梅雨の晴れ間で28℃を超える予報。

昨日までは、東京のせたがや自然農実践倶楽部さんのコンサル出張でした。
明日から長雨なので、晴れ間の今日は、ダイズを播いてからコムギ刈りに安曇野に行ってこようと思います。


さて、今日のブログは、今が生成期の田んぼの除草について、コメント欄に興味深いご質問がありました。

そこで実際にその田んぼを入ってみないと何とも言えないですし、野菜ほど稲に関して不勉強なので、
このブログで、私の除草のタイミングについて回答とさせていただければと思います。

まずは、田んぼの除草の考え方についてですが、除草だけを考えたことがあまりないということに気づきました。
というのは、不耕起の田んぼであれ、耕した田んぼであれ、私は今まで多くの田んぼを見学し、師匠たちに教えを請い、今も田んぼに囲まれて暮らしておりますが、
除草よりも、いつも稲の生育のことが気になって、生育を妨げないように、稲の生育が良くなることを考えて、水を入れ管理し、草を抑えているといった感じです。

つまり、極端な話、稲の生育が順調で自然であれば、自ずと草が抑えられたりして草が生えなかったり、ある程度あっても気にならないといった感じです。
稲の生育を良くすることが目的で、抑草(除草)が手段になります。

それよりも気をつけているのが、除草そのものが目的になってしまったり、不耕起栽培など栽培方法が自体が目的になってしまったりして、稲を忘れたり、稲の生育を抑制しないように気をつけております。

というのは、
稲がしっかり育つと、自然に草が大人しくなるからです。
逆に、草の勢いが強くなると、その分稲は抑えられ、草がさらに勢いが増し、来年、再来年とどんどん草が良く育つ田んぼになり、結果自然に稲は育ちにくくなり悪循環になってしまいます。

そこで、除草=稲の生育促進と思われがちですが、私はそうでないこともあると思います。

例えば、深水で草を抑制した結果、稲の生育も抑制されてしまったり、
米ぬか除草した結果、タイミングが合わず、草の方が生育よくなってしまったり、
除草した結果、稲の根を痛めすぎて、稲の生育がよくなくなってしまったり、
不耕起栽培に固執した結果、近所迷惑など人間関係を壊してしまうことが多々あります。

稲の生育を促進する方法で、草も抑えてしまうのが自然農法など無農薬栽培の正攻法だと思います。

除草剤を使わない無農薬栽培において、除草は大切ですが、稲を育てることが大切なことなので、本末転倒にならないようにどうしたらいいのか腐心しております。



それでは、私がコシヒカリを育てている際に、どのように稲を育て、草を抑えているのかご紹介したいと思います。


田植えを5/21にした田んぼです。(6/13時点)

田植えをするまでに、如何に田んぼの草が生えにくくしておくかが最大のミソです。
つまり、去年の稲刈りまでに草を抑え、9月末の稲刈りから5月末の田植えまで、半年以上の8ヶ月間がとても重要だとうことです。

私の場合、寒冷地で寒く、水が冷たく、とても粘土の強い田んぼなので、乾きに食い傾向の田んぼなので、稲の脱穀後すぐに耕し、ワラなど春までに分解しやすく起しておきます。
そして、稲刈りから田植えまで土を乾燥させておくことで、草が生えにくい状態を整えておきます。

この稲刈りから田植えの期間に草が生えやすい状態にしてしまってから、田植え後除草しようとしても間に合わず、草優先が決定的になっているので、稲が育たないことが約束されてしまうからです。


田植えから稲の根が活着し、抜けなくなってから7~10日おきに、チェーン除草を2~3回米ぬか(半生ボカシ)を併用しながら、深水で、草を完全に抑制してしまいます。

つまり、この期間は、草が生えてくる前に、生え始め根付く前に、チェーン除草×米ぬか×深水で、草を抑えるだけでなく、
深水でまだ寒い時期に、稲が保温され保護しながら、チェーン除草で、茎が踏まれたり、水圧で茎(道管・師管)を発達できるように鍛えます。




この稲はうちの稲ではありませんがわかりやすいので、稲が分けつをはじめ最高に達するまでの期間に、


手押し除草機の田車を用いて、条間のガス抜き、空気を投入し、稲がより分けつしやすいように稲の根を痛めないように、水の水位を調整しながら、田を押して回ります。

その後は、なるべく早く抑草や除草を切り上げ、田んぼに入らないようにし、浅水で分けつしやすいように水管理のみで稲の生育(分けつ)をさせてきました。




現在は梅雨の雨もあり、こんな感じで、徐々に、水位を元の深水程度になってきております。(今日現在の写真)




草が生えていないだけでなく、稲の葉に太陽光と適度な風がまんべんなく通るようになっております。




株元は、水生の糸ミミズなどが穴を無数にあけて、表面から5㎝程度がいわゆるトロトロ層になっており、水を3日に1度入れる程度で水持ちが良くなっております。

つまり、理想的には
例年の5/25頃田植えの場合、8/5~10に穂が出るので、
その30日前にあたる分けつが最も多くなる(最高分けつ期)が。7/5頃になるので、その後は絶対に田んぼに入らないようにしております。

というのは、最高分けつ期以降は、穂の元が形成され育ちはじめるので、根は衰退し、それにともなって穂に必要ない葉が衰退し、枯れていきますので、田んぼに入るたびに、根が傷むから入りません。




そうなると根の生育が盛んな写真の分けつの時期(6/10~7/5)のみ、根の再生が盛んなので、田んぼに入ることができます。

ちなみに、7日おきに葉を展開させる規則正しいのが稲の生理なので、7日間は田んぼに入らず養生できたら、根の生育を邪魔せずに済むなーと思っています。

6/10~7/5の1カ月弱のうち、目安としては、中間地点の6/15~20位までに除草を終えて、田んぼに入らなくするのが理想です。
そのため、6/25に除草が終われば、御の字です。

6/15~6/25までの期間、超浅水にしてあげると一気に分けつが進み、7/5までに分けつ数が増えるからです。
ただし、草があればあるほど草も勢いづくので、草がある場合は浅水に徹しきれません。

その後は、天候にもよるのですが、7/10以降は深水に戻し、穂が出る8/5まで草を抑え、茎を太くし、立派な穂を育ててあげます。

つまり、草と戦わずして勝つためには、
耕した田んぼで育てる場合、稲刈り~田植えまでに、ワラなど有機物を徹底的に分解させ、草の発芽スイッチをOFFにしておき、
稲の生育初期に、草の発芽の出鼻をくじき、チェーン除草などで株間・条間共に草を抑え、

稲の分けつが始まったら、条間→株間→条間の順番で草取りを早々に終えて、稲の根の生育を促進させ、分けつを促進させ、稲の根からアレロパシー(他感抑草物質)を出させ、稲の葉や根が伸びてしまえば、草も生える余地がなくなるので、結果的に草が大きくなれない(生えない)ので、草のタネも残せず、来年も除草が楽になっていくといった感じです。

「草を見ずして草を取る」という篤農家の言葉が響きます。
稲と草はとても素直なので、すべてを物語ってくれるので、毎日見回るのが楽しみです。


私もさんざ失敗を重ね、理想と現実のはざまを行き来し、未だわからないことばかりで、毎年勉強中です。
ご質問いただき、改めて稲を育てて、草を抑えることについて考察できました。良いご質問ありがとうございます。

自分の田んぼと生活リズムと稲のリズムが合うように、日々勉強ですね。

田んぼは今までの履歴や地域風土や一枚一枚、すべて異なり、稲は田植え~稲刈りまで4カ月で収穫に至るとてもシンプルで奥が深い作物です。
除草剤のように枯らす、絶やす、駆逐するのではなく、稲を育てて草を抑えることがとても大切だと思います。

参考になれば幸いです。



自然菜園の7月の見学会のお知らせ


2016年内容充実で、
『無農薬・自然菜園入門講座』が第一水曜日長野市城山公民館で18:30~21:30までスタートしています。
城山公民館での「これならできる!自然菜園入門講座」講座が開催です。毎月の野菜と土づくりのテーマで質問時間もたっぷりあるので是非お越しください。

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田んぼの除草について

2016-06-27 09:34:15 | 日々の自然菜園
本日、
梅雨の晴れ間で28℃を超える予報。

昨日までは、東京のせたがや自然農実践倶楽部さんのコンサル出張でした。
明日から長雨なので、晴れ間の今日は、ダイズを播いてからコムギ刈りに安曇野に行ってこようと思います。


さて、今日のブログは、今が生成期の田んぼの除草について、コメント欄に興味深いご質問がありました。

そこで実際にその田んぼを入ってみないと何とも言えないですし、野菜ほど稲に関して不勉強なので、
このブログで、私の除草のタイミングについて回答とさせていただければと思います。

まずは、田んぼの除草の考え方についてですが、除草だけを考えたことがあまりないということに気づきました。
というのは、不耕起の田んぼであれ、耕した田んぼであれ、私は今まで多くの田んぼを見学し、師匠たちに教えを請い、今も田んぼに囲まれて暮らしておりますが、
除草よりも、いつも稲の生育のことが気になって、生育を妨げないように、稲の生育が良くなることを考えて、水を入れ管理し、草を抑えているといった感じです。

つまり、極端な話、稲の生育が順調で自然であれば、自ずと草が抑えられたりして草が生えなかったり、ある程度あっても気にならないといった感じです。
稲の生育を良くすることが目的で、抑草(除草)が手段になります。

それよりも気をつけているのが、除草そのものが目的になってしまったり、不耕起栽培など栽培方法が自体が目的になってしまったりして、稲を忘れたり、稲の生育を抑制しないように気をつけております。

というのは、
稲がしっかり育つと、自然に草が大人しくなるからです。
逆に、草の勢いが強くなると、その分稲は抑えられ、草がさらに勢いが増し、来年、再来年とどんどん草が良く育つ田んぼになり、結果自然に稲は育ちにくくなり悪循環になってしまいます。

そこで、除草=稲の生育促進と思われがちですが、私はそうでないこともあると思います。

例えば、深水で草を抑制した結果、稲の生育も抑制されてしまったり、
米ぬか除草した結果、タイミングが合わず、草の方が生育よくなってしまったり、
除草した結果、稲の根を痛めすぎて、稲の生育がよくなくなってしまったり、
不耕起栽培に固執した結果、近所迷惑など人間関係を壊してしまうことが多々あります。

稲の生育を促進する方法で、草も抑えてしまうのが自然農法など無農薬栽培の正攻法だと思います。

除草剤を使わない無農薬栽培において、除草は大切ですが、稲を育てることが大切なことなので、本末転倒にならないようにどうしたらいいのか腐心しております。



それでは、私がコシヒカリを育てている際に、どのように稲を育て、草を抑えているのかご紹介したいと思います。


田植えを5/21にした田んぼです。(6/13時点)

田植えをするまでに、如何に田んぼの草が生えにくくしておくかが最大のミソです。
つまり、去年の稲刈りまでに草を抑え、9月末の稲刈りから5月末の田植えまで、半年以上の8ヶ月間がとても重要だとうことです。

私の場合、寒冷地で寒く、水が冷たく、とても粘土の強い田んぼなので、乾きに食い傾向の田んぼなので、稲の脱穀後すぐに耕し、ワラなど春までに分解しやすく起しておきます。
そして、稲刈りから田植えまで土を乾燥させておくことで、草が生えにくい状態を整えておきます。

この稲刈りから田植えの期間に草が生えやすい状態にしてしまってから、田植え後除草しようとしても間に合わず、草優先が決定的になっているので、稲が育たないことが約束されてしまうからです。


田植えから稲の根が活着し、抜けなくなってから7~10日おきに、チェーン除草を2~3回米ぬか(半生ボカシ)を併用しながら、深水で、草を完全に抑制してしまいます。

つまり、この期間は、草が生えてくる前に、生え始め根付く前に、チェーン除草×米ぬか×深水で、草を抑えるだけでなく、
深水でまだ寒い時期に、稲が保温され保護しながら、チェーン除草で、茎が踏まれたり、水圧で茎(道管・師管)を発達できるように鍛えます。




この稲はうちの稲ではありませんがわかりやすいので、稲が分けつをはじめ最高に達するまでの期間に、


手押し除草機の田車を用いて、条間のガス抜き、空気を投入し、稲がより分けつしやすいように稲の根を痛めないように、水の水位を調整しながら、田を押して回ります。

その後は、なるべく早く抑草や除草を切り上げ、田んぼに入らないようにし、浅水で分けつしやすいように水管理のみで稲の生育(分けつ)をさせてきました。




現在は梅雨の雨もあり、こんな感じで、徐々に、水位を元の深水程度になってきております。(今日現在の写真)




草が生えていないだけでなく、稲の葉に太陽光と適度な風がまんべんなく通るようになっております。




株元は、水生の糸ミミズなどが穴を無数にあけて、表面から5㎝程度がいわゆるトロトロ層になっており、水を3日に1度入れる程度で水持ちが良くなっております。

つまり、理想的には
例年の8/25頃田植えの場合、8/5~10に穂が出るので、
その30日前にあたる分けつが最も多くなる(最高分けつ期)が。7/5頃になるので、その後は絶対に田んぼに入らないようにしております。

というのは、最高分けつ期以降は、穂の元が形成され育ちはじめるので、根は衰退し、それにともなって穂に必要ない葉が衰退し、枯れていきますので、田んぼに入るたびに、根が傷むから入りません。




そうなると根の生育が盛んな写真の分けつの時期(6/10~7/5)のみ、根の再生が盛んなので、田んぼに入ることができます。

ちなみに、7日おきに葉を展開させる規則正しいのが稲の生理なので、7日間は田んぼに入らず養生できたら、根の生育を邪魔せずに済むなーと思っています。

6/10~7/5の1カ月弱のうち、目安としては、中間地点の6/15~20位までに除草を終えて、田んぼに入らなくするのが理想です。
そのため、6/25に除草が終われば、御の字です。

6/15~6/25までの期間、超浅水にしてあげると一気に分けつが進み、7/5までに分けつ数が増えるからです。
ただし、草があればあるほど草も勢いづくので、草がある場合は浅水に徹しきれません。

その後は、天候にもよるのですが、7/10以降は深水に戻し、穂が出る8/5まで草を抑え、茎を太くし、立派な穂を育ててあげます。

つまり、草と戦わずして勝つためには、
耕した田んぼで育てる場合、稲刈り~田植えまでに、ワラなど有機物を徹底的に分解させ、草の発芽スイッチをOFFにしておき、
稲の生育初期に、草の発芽の出鼻をくじき、チェーン除草などで株間・条間共に草を抑え、

稲の分けつが始まったら、条間→株間→条間の順番で草取りを早々に終えて、稲の根の生育を促進させ、分けつを促進させ、稲の根からアレロパシー(他感抑草物質)を出させ、稲の葉や根が伸びてしまえば、草も生える余地がなくなるので、結果的に草が大きくなれない(生えない)ので、草のタネも残せず、来年も除草が楽になっていくといった感じです。

「草を見ずして草を取る」という篤農家の言葉が響きます。
稲と草はとても素直なので、すべてを物語ってくれるので、毎日見回るのが楽しみです。


私もさんざ失敗を重ね、理想と現実のはざまを行き来し、未だわからないことばかりで、毎年勉強中です。
ご質問いただき、改めて稲を育てて、草を抑えることについて考察できました。良いご質問ありがとうございます。

自分の田んぼと生活リズムと稲のリズムが合うように、日々勉強ですね。



自然菜園の7月の見学会のお知らせ


2016年内容充実で、
『無農薬・自然菜園入門講座』が第一水曜日長野市城山公民館で18:30~21:30までスタートしています。
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田んぼの除草について

2016-06-27 08:09:48 | 日々の自然菜園
本日、
梅雨の晴れ間で28℃を超える予報。

昨日までは、東京のせたがや自然農実践倶楽部さんのコンサル出張でした。
明日から長雨なので、晴れ間の今日は、ダイズを播いてからコムギ刈りに安曇野に行ってこようと思います。


さて、今日のブログは、今が生成期の田んぼの除草について、コメント欄に興味深いご質問がありました。

そこで実際にその田んぼを入ってみないと何とも言えないですし、野菜ほど稲に関して不勉強なので、
このブログで、私の除草のタイミングについて回答とさせていただければと思います。

まずは、田んぼの除草の考え方についてですが、除草だけを考えたことがあまりないということに気づきました。
というのは、不耕起の田んぼであれ、耕した田んぼであれ、私は今まで多くの田んぼを見学し、師匠たちに教えを請い、今も田んぼに囲まれて暮らしておりますが、
除草よりも、いつも稲の生育のことが気になって、生育を妨げないように、稲の生育が良くなることを考えて、水を入れ管理し、草を抑えているといった感じです。

つまり、極端な話、稲の生育が順調で自然であれば、自ずと草が抑えられたりして草が生えなかったり、ある程度あっても気にならないといった感じです。
稲の生育を良くすることが目的で、抑草(除草)が手段になります。

それよりも気をつけているのが、除草そのものが目的になってしまったり、不耕起栽培など栽培方法が自体が目的になってしまったりして、稲を忘れたり、稲の生育を抑制しないように気をつけております。

というのは、
稲がしっかり育つと、自然に草が大人しくなるからです。
逆に、草の勢いが強くなると、その分稲は抑えられ、草がさらに勢いが増し、来年、再来年とどんどん草が良く育つ田んぼになり、結果自然に稲は育ちにくくなり悪循環になってしまいます。

そこで、除草=稲の生育促進と思われがちですが、私はそうでないこともあると思います。

例えば、深水で草を抑制した結果、稲の生育も抑制されてしまったり、
米ぬか除草した結果、タイミングが合わず、草の方が生育よくなってしまったり、
除草した結果、稲の根を痛めすぎて、稲の生育がよくなくなってしまったり、
不耕起栽培に固執した結果、近所迷惑など人間関係を壊してしまうことが多々あります。

稲の生育を促進する方法で、草も抑えてしまうのが自然農法など無農薬栽培の正攻法だと思います。

除草剤を使わない無農薬栽培において、除草は大切ですが、稲を育てることが大切なことなので、本末転倒にならないようにどうしたらいいのか腐心しております。



それでは、私がコシヒカリを育てている際に、どのように稲を育て、草を抑えているのかご紹介したいと思います。


田植えを8/21にした田んぼです。(6/13時点)

田植えをするまでに、如何に田んぼの草が生えにくくしておくかが最大のミソです。
つまり、去年の稲刈りまでに草を抑え、9月末の稲刈りから5月末の田植えまで、半年以上の8ヶ月間がとても重要だとうことです。

私の場合、寒冷地で寒く、水が冷たく、とても粘土の強い田んぼなので、乾きに食い傾向の田んぼなので、稲の脱穀後すぐに耕し、ワラなど春までに分解しやすく起しておきます。
そして、稲刈りから田植えまで土を乾燥させておくことで、草が生えにくい状態を整えておきます。

この稲刈りから田植えの期間に草が生えやすい状態にしてしまってから、田植え後除草しようとしても間に合わず、草優先が決定的になっているので、稲が育たないことが約束されてしまうからです。


田植えから稲の根が活着し、抜けなくなってから7~10日おきに、チェーン除草を2~3回米ぬか(半生ボカシ)を併用しながら、深水で、草を完全に抑制してしまいます。

つまり、この期間は、草が生えてくる前に、生え始め根付く前に、チェーン除草×米ぬか×深水で、草を抑えるだけでなく、
深水でまだ寒い時期に、稲が保温され保護しながら、チェーン除草で、茎が踏まれたり、水圧で茎(道管・師管)を発達できるように鍛えます。




この稲はうちの稲ではありませんがわかりやすいので、稲が分けつをはじめ最高に達するまでの期間に、


手押し除草機の田車を用いて、条間のガス抜き、空気を投入し、稲がより分けつしやすいように稲の根を痛めないように、水の水位を調整しながら、田を押して回ります。

その後は、なるべく早く抑草や除草を切り上げ、田んぼに入らないようにし、浅水で分けつしやすいように水管理のみで稲の生育(分けつ)をさせてきました。




現在は梅雨の雨もあり、こんな感じで、徐々に、水位を元の深水程度になってきております。(今日現在の写真)




草が生えていないだけでなく、稲の葉に太陽光と適度な風がまんべんなく通るようになっております。




株元は、水生の糸ミミズなどが穴を無数にあけて、表面から5㎝程度がいわゆるトロトロ層になっており、水を3日に1度入れる程度で水持ちが良くなっております。

つまり、理想的には
例年の8/25頃田植えの場合、8/5~10に穂が出るので、
その30日前にあたる分けつが最も多くなる(最高分けつ期)が。7/5頃になるので、その後は絶対に田んぼに入らないようにしております。

というのは、最高分けつ期以降は、穂の元が形成され育ちはじめるので、根は衰退し、それにともなって穂に必要ない葉が衰退し、枯れていきますので、田んぼに入るたびに、根が傷むから入りません。




そうなると根の生育が盛んな写真の分けつの時期(6/10~7/5)のみ、根の再生が盛んなので、田んぼに入ることができます。

ちなみに、7日おきに葉を展開させる規則正しいのが稲の生理なので、7日間は田んぼに入らず養生できたら、根の生育を邪魔せずに済むなーと思っています。

6/10~7/5の1カ月弱のうち、目安としては、中間地点の6/15~20位までに除草を終えて、田んぼに入らなくするのが理想です。
そのため、6/25に除草が終われば、御の字です。

6/15~6/25までの期間、超浅水にしてあげると一気に分けつが進み、7/5までに分けつ数が増えるからです。
ただし、草があればあるほど草も勢いづくので、草がある場合は浅水に徹しきれません。

その後は、天候にもよるのですが、7/10以降は深水に戻し、穂が出る8/5まで草を抑え、茎を太くし、立派な穂を育ててあげます。

つまり、草と戦わずして勝つためには、
耕した田んぼで育てる場合、稲刈り~田植えまでに、ワラなど有機物を徹底的に分解させ、草の発芽スイッチをOFFにしておき、
稲の生育初期に、草の発芽の出鼻をくじき、チェーン除草などで株間・条間共に草を抑え、

稲の分けつが始まったら、条間→株間→条間の順番で草取りを早々に終えて、稲の根の生育を促進させ、分けつを促進させ、稲の根からアレロパシー(他感抑草物質)を出させ、稲の葉や根が伸びてしまえば、草も生える余地がなくなるので、結果的に草が大きくなれない(生えない)ので、草のタネも残せず、来年も除草が楽になっていくといった感じです。

「草を見ずして草を取る」という篤農家の言葉が響きます。
稲と草はとても素直なので、すべてを物語ってくれるので、毎日見回るのが楽しみです。


私もさんざ失敗を重ね、理想と現実のはざまを行き来し、未だわからないことばかりで、毎年勉強中です。
ご質問いただき、改めて稲を育てて、草を抑えることについて考察できました。良いご質問ありがとうございます。

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梅雨入りの自然菜園の様子

2016-06-13 09:53:48 | 日々の自然菜園
本日、のちの予報。

予報通り、雨の半日。養生&リハビリ中の身体にも、野菜たちにも有難い一日になりました。


昨日、倒れていたため、遅くなりましたが余り苗で水口の苗代に不耕起で田植えを行いました。

最低限の除草にとどめたいので、ちょっと強めに抑草として米ぬかなどを撒きました。


田んぼのコシヒカリもいい感じに育ってきております。

草は、気持ち悪い位生えておらりません。今年も草は生えない感じです。




田んぼの畦も今日の雨を想定して、仕上げの一歩手前まで、

明日晴れ間を狙って畦豆を播いて完成予定です。


田んぼの畦では、定番のサトイモ&ショウガの他に、セロリとサトイモ。


水ナスとセロリといった組み合わせも行いました。




定番としては、クウシンサイ(エンサイ)も水田の隣で大きくなってきました。


ニンジンも花が咲き、


のらぼう菜も種をつけてきおります。


サトイモ専用畝も大麦が収穫時です。

手前は、師匠の畑にある無農薬リンゴの接ぎ木です。




ミニトマトも2本仕立てで実ってきております。


キュウリもツルムラサキとエダマメと元気に育っております。


播いていないのに生えてきた自然生えのたぶんミニトマトにも支柱を立ててあげました。


積年のニラの移植も無事終わり、今日の大雨で、なんなく活着するでしょう。


アスパラも支柱を立て、充電期間に入りました。

自然菜園の基本は一通り、書籍や雑誌で紹介できてきたのですが、まだまだ紹介しきれない内容が盛りだくさんです。

倒れて寝ていたので、筋肉はなまっており、まだまだ本調子ではありませんが、やりたかったことが遅ればせながらできるようになってきました。

日々精進、自然菜園を究めていきたい限りです。


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イチゴの収穫 【梅雨はじめの野良仕事】

2016-06-11 18:07:38 | 日々の自然菜園
本日、の予報。


昨日は、久々にまとまった雨が降りました。

梅雨入り宣言があってからも畑がひび割れるような乾燥と高温の日々が続きました。
2時間に程度でしたが、60mmの大雨。1時間20~30mmにも及ぶゲリラ豪雨並みの夕立でした。
カラカラの大地には有難いお湿り(雨)でした。

ちなみに、長野県北部のみでしたので、50km離れた安曇野では雨は観測されておりませんでした。




連日乾燥が続いており、収穫時のタマネギを雨が降る前に掘り上げ、長期保存用に収穫できました。





収穫といえば、この時期限定のフルーツ野菜「イチゴ」の収穫も真っ最中です。

雨が降ると、甘味が落ち、傷みやすくなるイチゴ。


雨が降る前に、真っ赤に完熟した(右)実を収穫。


収穫のタイミングが大切なのは、トマトだけでなくイチゴも同じ。


昨日のおやつは、超豪華!!
昨日収穫したイチゴや家で採れた去年のベリー類の冷凍など(ブルーベリーは、友人の安曇野地球宿さんのもの)をトッピングしたベリータルトでした。

2016年内容充実で、
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育苗の考察

2016-06-11 13:17:49 | 日々の自然菜園
本日、
最高気温31℃と異常な暑さ。

お恥ずかしい限りですが、ここ数日、取材、育苗、田植えの合間の野良仕事となり、過労で寝込むという養生しておりました。
1人で、菜園教室、育苗、連載の取材などをこなすのは、さすがにアラフォーの心身には応えたようで、もう少し生活にゆとりと充実をもたらしたいです。

その一つの工夫として、育苗もほぼ終わり連日朝5~20時というハードワークを改めて、6月に入って日中暑いこともあり、朝夕のみの野良仕事で、日中室内でデスクワークをしながらリハビリ(養生)しております。


育苗期間中は、毎年1000ポットを超える苗の水やりだけで、3~6時間は1日かかりますので、その期間は取材をお断りしておりましたが、
今年大変だったことの一つに、育苗期間に取材が重なったことと、育苗そのものを取材するというハードワークがありました。


無農薬・無化学肥料の自然育苗は、課題でした。
ここ10年位どうしたら、家庭菜園でも、良い苗が育てられるようになるのか、試行錯誤してきました。

農業の世界には「苗半作」という言葉があり、苗がうまくいけば、栽培の半分は成功したものといえます。
実際に、育苗がうまくいくと、植えてからも育ちが良く、実つきもよくなりますが、
逆に、育苗に失敗すると、よほど良い畑でない限り、生育不全もしくは、収量が落ちてしまい、自家採種どころではなくなります。

今回、取材にからませて、いつか面白い比較実験を行いました。
その一つが、


育苗ポットの比較実験です。

右は、通常市販されている苗でおなじみの3寸ポット(9cm)です。
左は、一回り大きい3.5寸ポット(10.5cm)です。

その差は、たった直径でいうと1.5cmだけです。

品種は、真黒早生ナスを同じ育苗方法で、65日間育苗したものです。


最初の写真だけでは分かりにくいのですが、違いが、横に倒すと分かりやすくなります。


ポットを除くとこんな感じに根を張っております。


3.5寸ポットのアップです。


3寸ポットのアップです。


根を洗ってみると、その根の長さや分布に違いが出ました。


実際には、さらに良く洗って、根を広げてみた写真です。


  土の量 総量 土の重さ 植物体の重さ 地上部の重さ 地下部の重さ 地上部/地下部
3寸 300cc 312g 277g     35g     14g     21g     0.67
3.5寸 650cc 462g 418g     44g     16g     28g     0.57


この結果から、ポットサイズを一回り大きくするだけで、土の量は、300ccから650ccと倍近くなり、土の重さは生育後で141g重くなりますが、
それだけで、苗そのもののは、1.25倍大きく育ち、根は、地上部(茎葉)に比べて10%増えていました。

つまり、ポットを1.5cm大きな3.5寸にしただけで、根がより育つ大きな苗が育つようになったといえます。

家庭菜園で、夏野菜の育苗する際に、ポットを3.5寸にすると土はたくさんいりますが、
養分や水分のキープが簡単になり、育てやすい上に、結果的により根張りの良い苗が育つという結果です。


ちなみに、

今月の最新の「野菜だより」(学研)では、1㎡の自然菜園の連載とは別に、


おまけの小冊子が、自然菜園の育苗特集になりました。


秋の育苗特集ということで、黒寒冷紗のトンネルの仕方や


育苗土のブレンドなど、基本


水やりの仕方など、

育苗の取材をしていただ際に、結果的に別冊の付録扱いになり恐縮しておりますが、自然育苗の基本になる育苗の基本が上手にまとまっているので、参考にしてみてください。


2016年内容充実で、
『無農薬・自然菜園入門講座』が第一水曜日長野市城山公民館で18:30~21:30までスタートします。
城山公民館での「これならできる!自然菜園入門講座」講座が開催です。毎月の野菜と土づくりのテーマで質問時間もたっぷりあるので是非お越しください。
コメント (14)
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