続・知青の丘

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熊本県現代俳句協会 会報 2024年度 第1号  現代俳句くまもと 第26号 

2024-05-14 11:20:13 | 俳句
【巻頭エッセイ】

田んぼの宇宙          貴田 雄介

 高校生の頃から本を読むのが好きで、大学生になり自分でも詩のようなものを書き始めるようになった。大学在学中に小劇場の世界と出会い、それから十五年演劇、劇場、文化、芸術の仕事に携わることになる。小劇場制作の仕事は、三ヶ月無休で朝から晩まで事務所や稽古場に篭り働きづめで詩を作ることはなかった。
 二〇一六年に熊本に移住して地震に遭い、大阪に帰るかどうか迷った末に、熊本に止まることにした。結婚し、双子の娘が生まれた時、丁度コロナウィルスが出始めた頃で一年の育児休業することになった。自分の人生に句点が打たれたように感じた。
 社会人になってから離れていた詩作を再開した。子育ての合間に書くには短詩型が良かった。先生についてきちんと学んだ訳ではなく、未だにどうすれば詩心が生まれるのかよくわからず、わからないから作り続けている。
俳句を始めたのは義父の影響だった。彼は御船町で五十年にわたり、有機無農薬の農業を営んできた。種蒔きや稲刈りなど人手が必要な時には、僕も手伝いに行く。
 田んぼや畑に立っていると、多くの生き物と出会う。雨や風、雷など大きな自然現象に意識を向ける時間も増えた。美は自然に宿っているのだとしみじみ感じる。これからも日々の暮らしの中に農的な生活を過ごす時間を作り、自然と向き合いながら詩作に励みたい。
幾万の虫と親しく田に屈む    雄介

2023年度総会報告
2024年4月13日13時から、くまもと森都心プラザ6階にて開会。議長中山宙虫。出席9名、委任状6名にて総会成立。第1号議案から第3号議案まで、活発な討議を経て成立。
〇活動報告と会計報告について
県協会としての活動をもっとしてほしいという意見が出たが、前年度は、総会・総会後句会や動物園吟行、第14回九州現代俳句大会開催(主管)、会報3回発行、後援事業として、荒尾の御田植祭俳句大会や滔天忌俳句大会後援があった。これ以上の活動は、現会長加藤としては手一杯で考えていないので、次の会長に要望してほしい。(加藤の任期は、来年3月まで。)
〇第3号議案の、総会に提出した改正案について。
現代俳句協会の一般社団法人化に伴う最低限の改正案。規約第9条(経費)等の改正の場面で、色々意見が出て、次の総会でも審議することにはなったが、提出した改正案が一応成立したと議長が宣言したことを報告します(中山宙虫議長にも確認済)。

***2024年度役員新体制***
会 長 :加藤 知子
副会長 :中山 宙虫
事務局長:貴田 雄介
幹 事 :吉良 香織
     籾田 ゆうこ
顧 問 :西田 和平
・・・・・・・・・
会計監査:西村 楊子
2024年度は、若い会員を役員に迎えて、引き継げるところはそうしていきたいと思っています。
皆様のご協力をよろしくお願いします。

≪新会員≫
◎籾田ゆうこさん、独自会員から法人社員へ
◎貴田雄介さん、独自会員から法人社員へ
◎佐竹佐介さん、法人社員入会(2024年1月)

≪現代俳句年鑑2024参加者一句抄≫

星流るソープランドの飼い猫へ    青島玄武

片付けて夕べ明るき韮の花      荒尾かのこ 

さえずりや椎骨三個増えている    加藤知子 

青野行く試歩の耳朶あつくして    志賀孝子 

地球儀に水を零して春の海      林よしこ 

スパムを絡め街につばめが巣をかける 中山宙虫

弁当屋うな丼かくも薄きもの     右田捷明 

群声の蝉に放水兩得す        汀圭子


★第32回ヒロシマ平和祈念俳句大会
川崎益太郎特選
水葬は引揚げの棘敗戦忌       右田捷明
★第59回滔天忌俳句大会
秀作:潮の目の横一文字滔天忌   荒尾かのこ
佳作:大陸を駈ける駿馬や冬北斗   徳山直子
〈参加者一句抄〉
着弾地無益を睨む滔天忌       右田捷明
滔天忌夕日は色を惜しまない     林 紀子
靴底の小石がとれぬ滔天忌      西村楊子
滔天忌右往左往の昨日今日     佐藤惠美子
★令和5年度山中湖俳句大会
入選:富士山を容れ夏の湖静かなり  貴田雄介
★令和5年度川端康成文学館俳句コンクール
佳作:手を上げて道譲り合ふ秋の風  貴田雄介
★瀬戸市文芸発表会 窯句火第72号 俳句部門 
田口風子特選・ 加藤かな文入選 
秋風に乗り車椅子朗らかに  貴田雄介
 
***〈お知らせ〉***
・『現代俳句年鑑‘25』への参加のお願いします。
締切は、本年5月末、参加費は、5句で3千円。
既に投稿用ハガキは手元に届いていますが、協会ホームページからも入力できます。
・第61回現代俳句全国大会が、
本年11月16日、
「ホテル日航奈良」にて開催されます。
記念講演:坪内稔典「俳句の未来」
講評:高野ムツオ会長他
つきましては、投句をよろしくお願いします。
3句1組・2千円。何組でも可。
4月号『現代俳句』の巻末に投句用紙と振込用紙が綴じ込んであります。
Webからも投句できます。
7月31日(必着)
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熊本県現代俳句協会 会報 第26号

2024年(令和6年)5月15日 発行

編集発行人  加藤 知子

会 長    加藤 知子

熊本市北区龍田陳内三丁目 19番 27号

電話 :096 337 2062

メール:kumamoto_gendaihaiku@yahoo.co.jp

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愚息の、
おそらく小学1・2学年の頃の落書き
うさぎのさかだち~
うさぎのてつぼう~
くまの玉のり~
ぞうのおてだま~
年季の入った段ボールの側面に描いてありました。
愉しい絵なので~
コメント

噂の菊陽・TSMCの日本「jasm」オフィスビルを見学に(20240505)

2024-05-06 13:00:55 | つれづれ


平日は混むだろうから、この期間に
長男の車で行ってみたかったところ、
台湾のTSMCが進出したという菊陽へ~

西側方面の道路からやってきた来たので、
まずは横っ腹から↓
これは、工場でしょうか。

待ち時間の長い信号を左折すると




右側のがオフィスビルですかね
(最初の写真と同じもの)。
門のところに守衛さんが2人いました。


水を張った庭には噴水が
癒しの空間なのでしょうか。


人を寄せ付けない感じですが
このあたりは、まだまだ平地があるとはいえ
ソニーや富士フィルム等の工場やその関連の会社の建物が
既に沢山ありました。

熊本県立技術短期大学校もあり、
半導体科20名募集などという看板が目につきました。

こういう時代の最先端の企業の進出で
一番心配するのは
水資源の枯渇と水質汚染。
後の工場建設は、もう他県の土地に
お願いしたいです。



この後、14時頃

ラーメンを食べに行ったのですが
この時間なのに多くて多くて
順番の名前を書いてから、
1時間後にやっとすすることができました。

これは、私が注文した農園スペシャルで
野菜多めのラーメン。
800円だったかな。

次々とお客さんが来て
一息つく間もないくらいの繁盛繁盛!!
なのですが
平均(ライス付きもある)1000円のラーメンを
一日300人が食べたとしても
売上は30万円
5人で回していて、
原価がいくらくらいかは分かりませんが
スープを作る手間とこの忙しさを考慮しても
そんなに金銭的には報われるとは思えませんでした。
食べるほうは、10分20分で平らげますが。

でも、こんだけお客さんが来てくれたら
遣り甲斐はあるでしょうね。

長男や三男も学生の頃
ラーメン屋さんに憧れていましたねえ~


コメント

俳句短歌誌『We』の X (旧ツイッター)に

2024-04-27 16:11:47 | 俳句
竹岡さんから要望があったので、
初めて自分で、
下のようにポストしてみました。

いつもやってくれる者がいませんので
やってはみましたが、
あとは何がどうなっているのか
どうしたらいいのかなど
知りませんから
よろしくお願いいたします。

拡散希望と入れるのを忘れました・・・

Xは、ログインしないと見られなくなったので
なんか面倒くさくないですか?

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竹岡一郎さんの「敬虔の鎧」42句
ウラハイ=「週刊俳句」の掲載されました。


俳人もやはり、良くも悪くも、
反応があればうれしいでしょうね。
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この螺鈿細工は
百済の文様でしょう。
光の角度次第で
(右と左とでは印象が少し違いますよね)
色の変化がうつくしい
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『We』第17号より 山口雪香第一歌集『白鳥姫』を読む 加藤知子

2024-04-24 19:53:00 | 短歌
『白鳥姫』のたてがみ      加藤 知子

『白鳥姫』は、第16号より「We」に参加された山口雪香さんの第一歌集。表紙絵も挿絵もご自分で描かれたものだ。チェロを抱えてひとり語りされるYoutubeも拝見した。2023年8月には、小泉八雲原作から「二つの約束」と題し、三味線夢語りライブをされた模様。あまり存知あげないが、どうも多彩多才な方のようである。

水くぐる指紋よ猫の肉球の無垢なるうそを捺して生きつつ

 詩人や小説家など、文学を業とする芸術家は、モノ書く素材を携えた掌の指紋を押し付けるように、「無垢なるうそを捺して生き」ているのではあるまいか。そうしつつ、読者という水をくぐることによって、評価を受けることにもなるのだろう。

天を指す虹のたてがみこぞりたち真野明け映ゆる夏のひかりよ 

 虹をたてがみと見立ててかつそれは天を指すという。この詩魂に圧倒されるが、これこそが、おそらく常に満を持してエネルギッシュかつ多彩にものごとに奮い向かってゆく作者の源なのだろうとおもう。

通り雨薄荷のごとく匂いたつ肩うすき少女の髪まだ乾かず

 いつまでも少女のような匂いを保ち、濡れた長い髪は黒黒として雫する。そんな常乙女像を作者に観てしまう。

ゆるやかに地上抜け出す肉体のけもの忘れて白鳥座かな

 この作者の身体も石牟礼道子と同様、まるで「たかざれき」しているようだ。肉体からふわーと魂が抜けて天上に遊ぶ。そこは白鳥座の館に住まう白鳥姫。ひとり語りされる舞台上の山口雪香さんは、竜宮殿の王女のようでもあり、巫覡のようでもある。

下着剥ぐ少女は天を記憶して鶏冠のやうに華を降らせり

 地上と天上を行き来する少女は、下着を冠の形に脱ぐときも手の先は天を意識しつつ、その周りからは赤い花びらがこぼれ、降ってくるごとくなのだろう。

夜桜や腹部にしやがむ夜叉もありきと今昔死体は夢のみなもと

 姫にも夜叉にもなって、今昔を問わず死者と交感するのが「夢のみなもと」なのだというのだろうか。この場合、生者の生きる糧は、死者なのであるが、死者とは言わず、生々しい「死体」なのだという。それは、死者に昇華される前の、まだこちら側に親しくひんやりとした人間の身体なのだ。
 この歌に限らないが、独特の異邦人的な捉え方が山口雪香の短歌なのだと思う。彼女が短歌で奏でる領域は幅広いのだが、他に共鳴した短歌を一部挙げておきたい。

つばめ一閃少年のくびは細きかなトルソのペニス欲しきまひるま
白妙の空曇らせて呑み残す乳房いきものを知る目覚めかな
白銀の静かに炎ゆる洗ひ終へて手重り髪はしひたげて干す
手のなかに花を埋めしなつかしさを別れと言わむ空白のある
ふつくらと莢を抱きたり昔今我よりきれいな女はゐない
(現代短歌社、平成26年刊)

(2024/04/22)
我が家のでもなく、ご近所のでもない
他所の薔薇!

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Weの参加同人の方で、
『We』掲載の中から
拙ブログにUPしてもいいよ
又は、UPしてほしい
というのがあれば
ご連絡ください。
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Weへの問い合わせは、

只今、Xのほうはお休み中なので
DM返信もお休み中。
参加費は1回毎に3千円(含2冊配布)。
18号締切は
6月10日となっています。
よろしくお願いします。


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「We」17号より 短詩グラマトロジー 第十一回:字謎 斎藤 秀雄

2024-04-08 21:15:16 | 俳句
短詩グラマトロジー 第十一回:字謎
           斎藤 秀雄

 この連載でいつも参照している中村明『日本語の文体・レトリック辞典』(東京堂出版)によれば、「字謎」とは「アナグラム」の訳語のうちのひとつである。ところが、「アナグラム」の項目においては、これがanagramからの外来語であるとしながらも、「字謎」の項目においては、原語としてrebus(判じ物)が示されており、必ずしも一貫していない。
 私の言語感覚からすると、「アナグラム」と、これからみていこうとする「字謎」とは、じゃっかんニュアンスが異なる。具体的に短詩の例をあげて、みておきたい。三好達治の『測量船』(昭和五年)から、「郷愁」を引く。

 蝶のやうな私の郷愁!……。蝶はいくつか籬(まがき)を越え、午後の街角(まちかど)に海を見る……。私は壁に海を聴く……。私は本を閉ぢる。私は壁に凭れる。隣りの部屋で二時が打つ。「海、遠い海よ! と私は紙にしたためる。――海よ、僕らの使ふ文字では、お前の中に母がゐる。そして母よ、仏蘭西人の言葉では、あなたの中に海がある。」

 魅力が詰まった作品と思う。壁に海を聴く語り手。街角に海をみる蝶。この蝶は語り手の郷愁の比喩である、という。さらに、鉤括弧の不思議な使用。「海、遠い海よ!」と閉じてよさそうなものだけれど、海と母、そしておそらく「仏蘭西」という固有名までが、語り手の「郷愁」に含まれている、ということなのだろう。字謎はこの括弧の内側にみることができる。「海」には「母」が含まれ、mère(母)にはmer(海)が含まれている、というわけだ。「母」は乳房をもつ女、「毎」は髪飾りをつけた女の象形文字。「晦(くらい)」という文字があるように、「海」はくろぐろと深い、暗黒世界を意味する。この晦さもまた、郷愁の陰影に通じるだろうし、母の内の海となれば、なおさらであろう。
 一見して、ここには「洒落た感じ」「気の利いた感じ」があるけれども(「嫌味な感じ」を読みとってもよいだろう)、この「感じ」は詩情そのものとは言い難い。が、詩に関連付けられる何かが立ち上がっているとも感じられる。もちろん、作品ぜんたいとの関係において、のことだとしても。
 対して、例えば「おとこがきえる」と「おとがきこえる」はアナグラムである。面白いものではあるし、やはり何かが立ち上がっている感じもする。この「立ち上がり」のメカニズムが、字謎の場合とアナグラムとの場合とで、同じものなのか、似たものなのか、異なるものなのか、判然としないし、判然としなくともよい。読者の読みの空間において、このふたつは、詩の中心であるわけではないにしても、少しのニュアンスの違いを備えることになると私には感じられる。ありていにいえば、アナグラムは字謎よりもより「無意識に効いている」ようにも思うし、しかしそれは種明かしのあとの事後的な効果なのかもしれない。いずれの場合でも、「たんなる判じ物」として向き合うならば、詩にはいささかも関わり合いがないという点においては、共通しているといえるだろう。
 短歌の例をみよう。

聶(ささや)くより囁(ささや)くはうがそれらしい咡(ささや)くがたぶんいちばん近い          永田 和宏
「あ」の中に「め」の文字があり「め」の中に「の」の文字があり雨降りつづく           鈴木 加成太

 一首目。連作「聶く」『短歌』二〇二一年八月号から。「ささやく」の読みを持つ文字を列挙し、ひとつの「口」とひとつの「耳」が《いちばん近い》と首肯させる。他に「咠」という文字も「ささやく」と読むが、やはり横並びになるほうが《近い》のではないか。連作では、ひとつ前に《耳三つやつぱりあつた聶(ささや)くと言はれて耳を揃へる感じ》の歌がある。いわゆる「品字様」の漢字を発見した喜びをそのまま書く初句・二句が微笑ましいが、三句以降、「耳」が集う《感じ》から、聴覚領域への刺激が立ち上がっているといえよう。永田はこうした字謎の遊びを、諸橋徹次の漢和辞典と付き合うことで行っていると述べている(「漢和辞典に遊ぶ」WEB『塔短歌会』二〇二一年十月号)。
 二首目。歌集『うすがみの銀河』から。同歌集には《「路」を「露」に「下」を「雫」に変えてゆくあめかんむりの雨季が来ている》がある。あまりに理路整然としてはいるが、字謎というテーマによりふさわしいのは、こちらかもしれない。対して掲歌は、よりシンプルかつ原始的にもみえるひらがなの内に字謎が見出されており、文字の呪術性・魔性が立ち上がっているように思う。むろん、仮名に真名は先行しているのだから、こうした感じ方は倒錯しているのだが。より「無意識に効く感じ」があるという点で、アナグラムとの共通性があるようにも思う。
 俳句の例をみよう。

わたくしは辵(しんにゆう)に首萱野を分け      澁谷 道
英娘鏖(はなさいてみのらぬむすめみなごろし)    小津 夜景

 一句目。作者名の「道」を字謎的に解し、座五で受ける。白川静によれば《古い時代には、他の氏族のいる土地は、その氏族の霊や邪霊がいて災いをもたらすと考えられたので、異族の人の首を手に持ち、その呪力(呪いの力)で邪霊を祓い清めて進んだ》(『常用字解[第二版]』、平凡社)とある。《わたくしは》という出だしも凄いが、手に首をぶら下げて道を切り開く語り手の覚悟・怨念が迫ってくる座五に迫力がある。
 二句目。訓読みの長い漢字を用いた三文字俳句による連作のうちの一句。「はなさいてみのらぬ」の訓読みを持つ字には、他に「秀」がある。ふたたび白川静に依拠するなら、これは穀物の穂が垂れて花が咲いている形(一般に「秀」は会意文字だが、白川の説では象形文字である)。これが実ると「穆(ぼく)」(「白」の部分が実)となり、実が落ちると「禿(とく)」となる。花咲くときがもっとも美しいとされるから、秀でるの意味に用いられる。掲句ではおおむね似た意味の「英」が使われている。この字の音符「央」には《美しく、盛んなもの》という意味があるのだが、象形文字としての「央」は《首に枷を加えられている人を正面から見た形。(…)手や足ではなく体の中央に近い首に加える刑罰であるから、「まんなか」の意味となる》(同前)。「災い」「尽きる」の意味が削ぎ落とされ、「中央」さらに「美しい」の意味に転じてきたのだろうが、掲句において、「産むべき」という枷をはめられた娘たち、という本義を再獲得したといえよう。  (続)


いつの間にか、藤の花は終わり
ガガンボが止まっていました。

草臥れて宿かる比や藤の花
(くたびれてやどかるころやふじのはな) 
芭蕉 『笈の小文』

一日の旅の疲れにそろそろ宿を借りてゆっくりとしたいものだが
藤の花も重たく垂れて春の憂いの中にいるようだ。
春の芽吹きや新緑の旺盛なさまに、気持ちは追い付いていかなくて
疲れるのだ。

もう晩春なんですかね~
今年も季節の何もかもが早く過ぎ去っていき
菜種梅雨とはいえ、
降り方が激しいときもあって・・・

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