知る人ぞ知る元NHKTVアナウンサーの鈴木健二さんが3月29日に亡くなられました。95歳だったとのことです。今や遠くなった昭和の時代。そのおよそ3分の2を生きてきた私にとっては、言わずもがなの有名人です。
その鈴木さんの数多くの著書の中のある1冊を読むと、鈴木さんは昭和42年頃にあの糸賀一雄さんと会っておられます。
その時、目の前で、今で言う知的障害の子どもたちが行うある光景を見た時の鈴木さんの発言を聞いた糸賀さんは、鈴木さんにこう言われたそうです。
「鈴木さん、それはあなたの間違いです。(中略)この子達はみんな嘘をつきません。人をだましたりしません。純粋そのものです。この子達こそ人間の光なのです」
(中略)私はその時すでに二十数年前に経過していた青春の日に、雪の中で出会ったあの洗濯をする女の子を思い出しました。(後略)
皆さんお分かりのように、糸賀さんの鈴木さんへの言葉は「この子らを世の光に」の原点です。
そう言われて、20数年前の洗濯をする知的障害の女の子との出会いを瞬間的に思い出している鈴木さんの人の命、あるいはその人生に関わる感性の鋭さ、深さに、私は驚くばかりです。そして、その20数年前の、洗濯をする知的障害の女の子に出会った時に感じた衝撃は、鈴木さんのその後の人生に大きく関わっていくのです。
けれども私は、もう今となっては叶うものではありませんが、鈴木さんがお元気な時に、今私が3度目のお世話になっている全国重症心身障害児(者)を守る会の全国大会での記念講演をお願いしていたら、果たして鈴木さんはどんなお話をされただろうかと思うと、残念至極でしみじみとするばかりなのです。
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