先日、大事な用件で隣県の広島市へ出かけて来た。秋晴れの気持ちのいい一日だった。
午前中から出かけて、午後の早い時間に用を終えたので、その建物の近くの平和公園に行ってみようと思った。正確ではないが、7~8年振りかと思う。
本川と元安川に囲まれた平和公園。本川の対岸の歩道を少し川上へ歩き、川に架かる相生橋を渡るのだが、歩道を歩きながら対岸を見ると、観光バスのなんと多いことか。しかもバスは途切れることなくやって来ている。木々の間からちらちら垣間見える姿は大半が小学生、中学生、高校生と思われる子どもたちだ。社会見学、平和教育の一環だろう。
平和公園に通じる原爆ドームの前の道を行くと、国内外を問わず、人は皆、立ち止まってはドームに向かってカメラやスマホを構え、各々のタイミングでシャッターを押している。
「サンキュー!」の声に、カメラを手渡しながら「ノープロブレム!」と言い交す男女。
お互いに笑顔で手を振りながら別れる、若く背の高い外国人男性と若い日本人女性。いい光景だ。
平和公園では至るところで、5~6人ほどの子どもたちに囲まれて、時折、遠くを指差しながら年配の男性が語っている。この被爆地広島についての話だろう。子どもたちは話を聞きながら、熱心にノートにペンを走らせている。女性の語り手もいる。
平和記念公園。今、国内外の人たち、老いも若きも、男も女も、多くの人々が集う地球上の一点。
秋晴れの午後。雲のない青い空。そばを流れる滑らかな静かな川の流れ。橋を渡る柔らかな風。紅葉して輝く公園のたくさんの木々。そして、私の予想をはるかに超えて集う多くの人たち。
原爆ドームの佇まいは少年の頃から幾度となく見上げた原爆ドームのままだ。
平日の午後、人もまばらな平和公園を想像していた私は、秋の澄んだ日差しの中に原爆ドームと原爆慰霊碑を重ねるように遠くに見ながら、平和公園のその多くの人たちの静かな熱気に気おされるように包まれていたのです。
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