以前、平成31年3月25日(月)付けのこのブログに「昭和の長嶋、平成のイチロー」と題した文章を載せた。今、それに「令和の大谷」を加えたい。
アメリカ大リーグ・メジャーの世界に飛び込んで4年目の今年、全米野球記者協会によるアメリカン・リーグのMVPに、予想通りの満票で選ばれたロサンゼルス エンゼルス大谷翔平。
今年の彼は投手としても、打者としてもそのプレーの質の高さは群を抜いていた。日本にいた時も、アメリカに渡ってからもかまびすしかった投打二刀流挑戦への賛否。
彼は高卒の新人として日本ハムに入団したのだが、その時の監督が栗山英樹だったことが彼の野球人生を大きく前進させた。イチローに監督仰木彬との出会いがあるように、大谷には監督栗山英樹との出会いがあった。二人の監督に共通するのは監督として偉ぶらないこと。そして選手の個性を受け容れ、それを伸ばそうとしたことだ。
大リーグでの彼の投打二刀流の活躍ぶりは様々な報道で周知のとおりだ。それは大リーグの歴史を変え、リトルリーグからプロ野球、大リーグへと連なるすべての野球選手のプレイヤーとしての在り方を大きく変えるものとなった。
そしてそれに加えて、彼の言動も大きな話題になっている。対戦相手選手をリスペクトし、グラウンドでのプレーを楽しみ、笑顔を忘れず、必要以上にオーバーなリアクションをせず、グラウンドのごみはさりげなく拾う。また、がたいもルックスも悪くない。それらは彼を見る私たちをワクワクさせてくれる。
彼は私たちには想像できない果てのない高みを目指している。まだ社会や人生の、その正体を知ることのなかった少年の彼が抱いていた夢。その夢を27歳になった今も、彼は持ち続けているのだ。多くはその人生の途中で、社会の構造や育ちの環境に責任を押し付け、変更や縮小を重ねてすごすごと年齢を経ていく私たち。
しかし、彼は大きな大谷少年となった今も、その夢にまっすぐに向かうことを止めない。
そんな彼を見ていると、私がまだ小学生、中学生だったかの頃にテレビで見聞きした歌を思い出す。
1 野球小僧に逢ったかい 男らしくて純情で
燃える憧れスタンドで じっと見てたよ背番号
僕のようだね 君のよう
オオ マイ・ボーイ
朗らかな 朗らかな野球小僧
2 野球小僧はウデ自慢 凄いピッチャーでバッターで
街の空き地じゃ売れた顔 運が良ければルーキーに
僕のようだね 君のよう
オオ マイ・ボーイ
朗らかな 朗らかな野球小僧
3 略
(野球小僧 歌:灰田勝彦 作詞:佐伯孝夫 作曲:佐々木俊一)
リズミカルなテンポのいい、明るい歌だ。灰田勝彦の独特のその歌声もいい。
もちろん大谷は、いかにも昭和昭和したこの歌など知る由もないだろうが、1番の歌詞の「男らしくて純情で」と2番の「凄いピッチャーでバッターで」は彼にぴったり合っていると思う。そして繰り返される歌詞「朗らかな 朗らかな野球小僧」が常に野球を楽しんでいて、みんなをも楽しくさせている感じが何とも言えず、いい感じだ。ぜひ一度、ネットでこの歌にアクセスして聞いてみてほしいものだ。
先日の日本記者クラブ主催の記者会見の席でも、質問者に対して常に穏やかな表情で丁寧に答える姿は、彼の育ちと性格の良さ、そして何より彼の見ている世界の大きさを感じさせていた。それはいつまでも少年の頃の夢を胸に抱く「野球小僧」大谷の面目躍如といったところだ。
まだ終わってはいない。いや始まったばかりの彼の野球人生がどう展開していくのかは分からない。長嶋もイチローも怪我には十分注意していた。怪我や故障は大敵だ。二刀流ならなおさらのことだ。どうか心身をしっかり鍛え、怪我に気をつけて、自身の果てしない高みの夢に向かって突き進んでもらいたい。
なお、本日、大谷は日本政府からの国民栄誉賞授与の打診を「まだ早いので」とし辞退したとのことだ。まだ始まったばかりの彼の挑戦。更なる高みへの挑戦、精進に期待しよう。
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