調剤薬局での不思議な体験

2022年10月26日 | 日記・エッセイ・コラム

 今日、長年通うクリニックでの久しぶりの診察を終えて、いつもそうしているようにすぐ近くの調剤薬局に行き、受付で処方箋とお薬手帳を出した。そして、さほど広くはない待合をおもむろに見渡して、壁際のソファの空いている席に腰を下ろした。

 3組の先客があり、一人目の方が支払いを済ませて、待合を出て行った。私が座ったソファーと小さな書棚を挟んで直角に置かれた壁際のソファーの端にその母子は座っていた。まだつかまり立ちがやっとかと思える赤ちゃん(男の子か?)がお母さんの胸に抱かれて、後ろ向きになって壁に貼られているいくつかの張り紙やポスターを気にしている。しきりに手を伸ばして触っている。手に触れる感触やその音を楽しんでいるようだ。

 すると、見るともなく見ていた私に気がついて、彼(?)は私を認めて私から目をそらさずにじっと見つめてきた。そんな彼を見ながら、お母さんは小さく笑っていた。

 まん丸い二つの黒い瞳に見られて、私は思わず、「こんにちは! こんにちは!」と声をかけてしまった。自分でも驚いた。

 それでも彼は私から目を離さない。離さないどころかそのまま「抱っこ!」とでも言うように、私に向かって両手を伸ばしてきた。

 「いやぁー、それは無理、無理」と言いながら、私は彼に向かって手を振った。お母さんは苦笑いをしながら、彼を抱き直した。それでも彼は私の方を向こうとしている。

 いつの間にか二人目の方は支払いを済ませて帰っていた。

 ほどなく名前を呼ばれて、お母さんは彼を抱いて立ち上がり、背中にバッグを背負ったまま、たぶんいつもしているように後ろ手に手探りでポケットを探して、黄色い小さなぬいぐるみをしまった。

 彼のための薬だろうか。渡された薬袋を受取り、支払いを済ませ待合を出て行くとき、お母さんは私に向かって頭を下げた。二人に視線を送っていた私は「またお会いしましょう」と声をかけて、頭を下げた。彼はまだ私の方を見ていた。

 不思議な体験をしたと思った。もう会うことはないだろうが、人からあんなに見つめられた経験はないなぁーと、思った。いつか二人にまた会いたいと思った。

 

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我が家の(?)すずめ

2022年10月10日 | 日記・エッセイ・コラム

 ヤクルトスワローズの村上選手の話題のあとに、すずめの話題で恐縮です。

 私が一昨年度末に長年の勤めを終えて1年半になる。が、今もその長年勤めた仕事関連のお手伝いをさせてもらっている。なので、時にはここ岩国市から山口市などへ出張ることもあるが、依然としてコロナの感染防止対応もあって在宅での仕事が多く、我が家の2階の部屋で日がな一日、机に向かっていることもあったりする。

 そうした日々だが、ずっと前から毎日のようにベランダの屋根の雨どいにすずめが2羽やって来てはチュンチュン鳴いている。仕事に集中していると何ともないが、ふと気がつくとチュンチュン、チュンチュンとうるさいこと。

 なので、時折、閉めているレースのカーテンをぱっと開ける。するとすずめたちはあわてて羽ばたいて、お隣の家の屋根瓦の先に飛び移る。そしてこちらを気にしながら、なおチュンチュンと鳴くのだ。しばらくすると、あきらめたように屋根の向こうに飛び去って姿を消す。そんなことを日に何回か繰り返している。

 やって来ないと「来ないなぁー」と思い、知らぬ間にやって来て鳴くと「うるさいないぁー」と思う。巣を作られると困るが、この程度のことならと思わないでもない。が、糞には困る。

 宅配の車のエンジン音やジェット機の爆音やご近所の方の話し声などに交じって、すずめの鳴き声はもうすっかり私の耳馴染みの音になっている。そんな日々にあって私の仕事はといえば、はかどったり滞ったりだ。

 令和になって俄然、自然も人間も、日本も世界も、相当な危機状況に陥ってきていると思う。人間が何人も何万人も、いや何十万人が殺されようとも、何一つ解決に至らない世界の在りよう、人類の在りようはどうだ。

 チュンチュン、チュンチュンとうるさくはあるが、いたって気ままでのんきそうに見える(我が家の?)すずめたちが羨ましくもある……か!?

 

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最終打席の快挙

2022年10月04日 | 日記・エッセイ・コラム

 昨夜の日本プロ野球今シーズンセリーグ最終戦となったヤクルト対DeNA戦(神宮球場)。

 私たちがあからさまに期待していたホームラン。そのホームランをヤクルト村上宗隆は猛烈なプレッシャーのかかる中、今シーズンの最終打席となる打席での初球を見事に捉え、高々とライトスタンド上段に打ち込んだ。第56号!

 それまでのシーズン本塁打日本人最高記録は王貞治の55本。その58年間破られることのなかったホームラン記録を村上が更新した。

 ペナントレース終盤に来て、13試合の生みの苦しみを味わった村上が61打席ぶりに、最後の最後で放ったホームラン。テレビで見ていた。試合は8-2でヤクルトが勝った。

 その後のテレビ報道のインタビューに応えていた男性ファンのひと言。

 「村上はさすがです。持ってますね」

 持ってるかどうかはこれからに譲るとして、あまりに話がうまく出来過ぎていて、野球漫画やアニメでもこんなに出来過ぎた万々歳の展開はあるまいと思ったが、それが現実となった。若武者ヤクルトスワローズ三塁手村上が現実にして見せた。

 テレビニュースで、あるプロ野球解説者は「初めて会った時から素材がいいとは思った」と言っている。確かにいいガタイをしている。身長も体重も体型も申し分ない。そしてその打撃を見ても守備を見ても、野球で必要な運動神経が備わっていると思わせる。いや、その上、何より性格がいい。尖ったところがない。秘めたる闘争心も垣間見える。

 九州熊本の出身。熊本城の復興にも協力、支援していると聞く。

 まだ22歳だ。笑うとあどけなさの残る笑顔を見せる。

 まだまだこれからの野球人生。慢心せず、己の心身を甘やかさず、よく鍛え、常に前を向いて、その素直さと高みを求める姿勢を忘れずに行こう。

 

 祝 56号ホームラン 三冠王  村上宗隆

 

 ちなみに、私のごひいきは広島カープです。にわかファンです。カープは今年もボロボロでリーグ5位でした。でも、来年も応援します。

 

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