2塁打

2018年06月26日 | 日記・エッセイ・コラム

 先日の休みに、たまたまプロ野球をテレビ観戦した。その試合は中盤までは一方的かと思われる展開だった。しかし、予定通りに中継ぎとして登板した投手が大乱調。3連続四球などであっという間に同点になり、試合は振り出しに戻った。そうなれば大概は追いついた方に分があるのだが……。その試合はなかなかそうとはいかなかった。
 追いついた地元チームの士気は上がり、球場全体の雰囲気もイケイケムードになった。同点になって次の回に出て来たのが登板間隔が長くあいた、久々に登板する投手だった。その回の先頭バッターにいきなり左中間に2ベースヒットを打たれた。普通なら打者は1塁で止まる打球と思われたが、その打者は打球の方向と外野手の動きから判断して、最初から2塁を陥れる勢いで1塁ベースを蹴っていたのだ。同点に追いつかれはしたが、彼は何としても試合の流れを相手に渡したくなかったのだろう。動揺した投手は次の打者がセオリー通りにバントした打球を何を慌てたのか、1塁に悪送球したのだ。2塁ランナーは一気に3塁を回って生還した。球場の雰囲気が変わった。
 そのあとはワイルドピッチあり、満塁ホームランありで、結局大差がついてゲームセット。
 両チームとも浮いたり沈んだりの試合展開だったが、見ている私は、結果、ひいきのチームが勝ったので満足した試合だった。
 その瞬間瞬間の1つの判断、1つの動作、ちょっとした心の動き、そしてそれに敏感に反応する球場全体の雰囲気。息詰まる投手戦も面白いが、こうした選手の気持ちの持ちようの違いで戦況が大きく変わる試合が面白い。
 球場のみんなが単なるヒットだと判断した打球を2塁打にした選手が呼び込んだ勝利だ。ヒーローインタビューは満塁ホームランを打った選手だったが、真のヒーローは単打を2塁打にした彼だ。
 野球で大事と言われる走攻守の技術も、それだけでは役に立たない。強い心が伴ってはじめて力になると思う。


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季節の変わり目の頃

2018年06月20日 | 日記・エッセイ・コラム

「梅雨になった!」
「そう、梅雨になったねー」
「散歩、行かれん」
「そう、雨が降るけー、散歩行かれんよ」
「散歩、行かれん」
「そう、散歩行かれん。散歩に行って雨に濡れたら風邪引くよー」
「はーい!」「梅雨が終わったら、夏になる!」
「そう、梅雨が終わったら夏になる。○○さん、よー知っとるねー」
「夏になったら、セミが鳴くよ」
「そうー、夏になったらセミが鳴くねー」
「夏になったら、セミがミーミー鳴く!」
「そう、よう知っとるねー。夏になったらセミがミーミ―鳴くねー」
「夏になったら暑い!」
「そう、夏になったら暑い。汗かくよ」
「汗かいたら、タオルで拭く!」
「そう、汗かいたら、タオルで拭きます」
「はーい!」「夏になったら、花火がある!」
「おー、そうじゃねー。夏になったら花火があるねー」
「夏になったら、花火見る!」
「○○さんは花火、好きかねー」
「花火、好きー!」
「そうかね。花火、好きかねー。いいねー」
「はーい」

 午前中の作業の時間ですが、作業には向かわず、ドアを開けている園長室の前を行ったり来たりする○○さん。
 元気な声で園長に話しかけてくれます。
 季節の変わり目の頃になると落ち着かなくなる○○さん。そんな時、○○さんは園長の話し相手をしてくれます。
 時に、心持ちが不安定になるのか、大きな声を上げたり自分を叩いたりする○○さんですが、園長の話し相手をしてくれるときは、穏やかで優しい○○さんです。
 ○○さんの「はーい!」の返事がいいんです。○○さんの「はーい」の声を聞くと、なぜかうれしくなる園長さんです。


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椅子の座り方から

2018年06月10日 | 日記・エッセイ・コラム

 仕事上、いろいろな研修会、講演会、委員会など、人の話を聞いたり自分の意見を述べたりする場に臨むことが少なくありません。そこではいろんな仕草を見せる出席者に出会います。
 例えば、先日のことです。ある会合で、会場の比較的後方に席をとった私の目に入った光景に感心してしまいました。
 出席者は一様に会議机の上に資料を置いて、正面の発言者の発言に目と耳を傾けています。しかし、その後ろ姿はまちまちです。私には、そこには各出席者の各人各様の、それぞれその会に出席する構えの違いがあるように思われてきました。ていねいに発言内容をメモ用紙に書き込んでいると思われる人。発言のポイントと思われることを手短に書き込んでいると思える人。また、発言者が発言するたびに頷いている人。頭も手も動かず、じっと聞いているかのような人。頭や肩が揺れており寝ているかと思われる人。スマートフォンか何かを机の下で操作しているような人などなど。
 そんな出席者の思い思いの仕草の中、ある人の椅子に座った後ろ姿に目が留まりました。
 その人は椅子の背もたれに沿って背筋をすっと伸ばして、両足をきちんと揃えて座っています。メモを取るときにはやや前向きになりますが、書き終わると、元の背筋を伸ばした姿勢に戻ります。その間、揃えた両足は少しも乱れません。私は最初はそんなことを気にすることもなく、見るともなく見ていたのですが、その内、その姿勢が少しも乱れないことに気がつきました。特に両足が常にきちんと揃えられたままであることに気がつきました。驚くべきことです。
 その人のその姿は背後からの視線を気にしているからなのでしょうか。あるいはそれはその人が幼い頃から家庭で躾けられた生活習慣の一つなのでしょうか。それともある時思い立って、自ら努力して身につけた習慣なのでしょうか。そこにはその人の生活振りや生き方が表れているようにも思います。
 椅子に腰かける時は深くすっと背筋を伸ばして、両足はきちんと揃えて座る。
 両足をきちんと揃えて背筋を伸ばして椅子に腰かける姿の何と美しいことか。
 それは私には到底できていないことです。会場の後方から見た多くの出席者の背筋や机の下にあるその足の動きも、誰かから見られていることなど思いもよらぬことで、猫背気味になっていたり、両足をごそごそ動かしてみたり、中には靴を半分脱いでみたりと様々です。それは発言者の話に集中しているからかもしれませんが。
 私たちは自分の後ろ姿を直に自分の目で見ることはできません。また、後ろ姿が他の人からどう見えているのかをさほど気にして生活してはいません。私たちが鏡を見て確認するのは、そこに映っている体の前面の頭、顔、服装の印象が大半です。しかし、他人からは前面だけではなく、常に全身を見られています。
 人の振り見て我が振り直せ。
 人の振り見て自分もそうかもしれないと反省して改める。また、人の振り見て自分もそうありたいと願って改める。
 椅子の座り方に限らず、人の振りから学ぶことはたくさんあります。



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