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毎年この時期、地元の周防大島高校福祉科の1年生がさつき園で「障害者施設実習」をします。今年も先週の火曜日(23日)から29名の高校生が4班に分かれて、1日1班(7人~8人)ずつ、全4日の予定で、利用者と一緒に作業をするなどして「さつき園」を体験してくれました。<o:p></o:p>
そのとき、毎年、「どうして?」と思うことがあります。<o:p></o:p>
それは整列した彼らと、朝と帰りにあいさつを交わす時のことです。<o:p></o:p>
班長の生徒が「気をつけ!」「礼!」と号令をかけると、彼らはまず一斉にお辞儀をします。そして顔を上げて、私たちと顔を見合わせて、ややあって「よろしくお願いします」とか「ありがとうございました」と声をそろえて言うのです。<o:p></o:p>
今、全国各地で高校野球の、いわゆる夏の甲子園の地区予選が盛んに行われていますが、そこでの対戦するチーム同士のあいさつ場面でも、また本番の甲子園球場でのホームベース付近でのそうしたあいさつの時にも、それは見られるように思います。<o:p></o:p>
どうして、彼らは礼をしてから言葉を発するのでしょうか。<o:p></o:p>
先言後礼という言葉がありますが、私たちは日常生活の習慣としてはまず言葉を発して、それから礼(お辞儀)をします。なのに高校生はどうして礼をした後に言葉を発するのでしょうか。<o:p></o:p>
中には言葉を発しながら礼をする、というような大人の人もよく見かけますが、私たちは元々、お礼の言い方やお辞儀の仕方をきちんと教えてもらったことがないのかもしれません。私の場合もこういった「礼義作法」に属するようなことは、中学校時代の運動部の部活を通して自然に見よう見まねで身につけたように思います。<o:p></o:p>
今、高校では集団であいさつをしたりお礼を言う時は、先ず礼をして、それから言葉を発せよ、と教えているのでしょうか。<o:p></o:p>
礼をした後で言葉を発するなんて、何とも間の抜けたことではないかと思うのですが。皆さんも、自分がそのあいさつを受ける立場を体験してみてください。お辞儀の後のあの顔を見合わせる時の一瞬の沈黙に、きっとドギマギされることと思います。一瞬、「えっ、この沈黙は何!」と内心慌ててしまうのです。私は未だにそのタイミングに慣れません。毎回、ドギマギしてしまっています。<o:p></o:p>
あることが終って解散などする際には、「気をつけ!」「礼」と言えば、次にくる言葉は「お疲れ様でした」とか「さようなら!」なのです。さつき園でも利用者の終礼では、当番の利用者が「気をつけ! 礼!」と号令をかけると、みんなで「さようなら!」と言って、帰って行きます。<o:p></o:p>
だから、周防大島高校福祉科の1年生が1日の施設実習が終わって利用者とあいさつを交わす時、例え班長の生徒がお礼を言うために自分たちに向かって「気をつけ!」「礼」と号令をかけても、すぐに続けて「ありがとうございました」と言わないものだから、その沈黙の瞬間に慣れていない利用者は、「さようーなら!」と言ってしまうのです。それは毎回のことでした。<o:p></o:p>
どうして、彼らは礼をした後、顔を見合わせてから言葉を発するのでしょうか。あの一瞬の沈黙に、利用者も私も面喰らっています。<o:p></o:p>
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