土曜通所日の今日。
朝の利用者送迎便がそれぞれ利用者を乗せて、さつき園に戻って来ます。すると、徐々にさつき園内が賑やかになってきます。土曜通所日なのでいつもの半数ほどの利用者ですが、玄関ロビーや中庭では利用者同士の賑やかな会話が響きます。
そんな中、開けている園長室のドアぐち辺りから、○○さんの声が聞こえてきました。
振り向くと、
「おめでとうございます!」「もうすぐ誕生日。園長さん、おめでとう!」「お花をどうぞ!」
と言いながら、笑顔の○○さんが花束を差し出します。花束はお手製で、新聞のチラシで束ねたブーケのようでした。
「えっ? あっ、そうよ。もうすぐ園長の誕生日じゃのぉー。誕生日のお祝いかね。そりぁーありがとう!」
握手して、○○さんから花束を受け取ります。
深い赤と明るい黄色とつましい白の花びらがたくさんの緑の葉に囲まれています。その色合いはなかなかの組み合わせです。今朝、自宅の花壇に咲いている花を摘んで持って来たのだそうです。しかし、残念ながら、そういった花や草などに疎い私にはその花々の名前は言えません。
束ねるのに苦労したのでしょうか。チラシはしわくちゃです。束ねた先は輪ゴムで縛ってあります。
「まぁー、ありがとう! よー知っとったねー」
「ウン!」
「ウンじゃない。返事はハイじゃ」
「あっ、ハイ。いつも知ってますよ」
「そうかね、いつも知っちょるかね。えらいのぉー」
「ハイ。園長さん。園長さん、体に気をつけてこれからも頑張ってください!」
「ハイ、頑張ります!」「きれいな花をありがとうね。園長室に飾っちょくけぇーね」
「ハイ。じゃぁー頑張ってねー」
少し背中が丸くなってしまった○○さんが手を振りながら、園長室を出ていきます。
さっそく、ごった返している園長室の書類や荷物の中から長めのガラスのコップを探し出して、水を入れて、応接のテーブルに飾りました。
すると、お昼の休憩時間には、園長室に顔を覗かせた□□さんが、
「あっ、きれいな花じゃねー」と笑顔で声をかけてくれました。
「もうすぐ園長の誕生日じゃけー、今朝、○○さんがプレゼントしてくれたんよぉー」
「あー、そうですかぁー。それはよかったですねぇー。きれいな花じゃねぇー」
いつもおっとりした受け答えの□□さん。それが今日はいつも以上にうれしく感じられます。
もういい歳(何歳!?)なので誕生日はスルーしてしまいたい心持ちですが、こんなふうにお祝いされたり、言葉をかけてもらったりすると、何だかじわりと心の奥のほうがうれしくなってきます。
利用者の人生と私の人生が交差する瞬間です。
もうすぐ誕生日。今日は思いがけない一日となりました。
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