(仮想講話 私が学んだ知的障害者と呼ばれている人たちのこと 第6回)
障害と病気は何が違いますか。障害と病気は何が違うと思いますか。どこが違うと思いますか。
病気には、医学や科学が進歩すると治る病気があります。もちろん中にはまだ治らない病気がありますが。でも、障害。中でも特に知的障害は治らないのです。今の医学や科学では治らない。ただ軽くはなる。一生懸命訓練すれば軽くなったと思えることはある。だけどそれは治ったとは言えない。そこが現在の病気と障害の大きな違いなのです。
だから、ある事業所で知的障害者がある作業をしていて、どうしても出来ないことがある。すると職員はイライラして「昨日も言うたじゃろうが。ちゃんとせんかー。何べん言うても分らんのー」と大声で言う。だけど本人は障害があるから出来ないのです。努力が足りんから出来ないんじゃないのです。それを周りの人間が出来るまでやらせようとして、叱り飛ばしてやっていると、それが虐待になるのです。
障害と病気は違うのです。お腹が痛いとかの病気は治る。治ったら元気になる。けれども障害は治らない。軽くはなる。訓練して習慣づければ軽くなったとみえることはあるが、根本的には治らない。それを私たちは理解しなくてはならない。で、いつまで経っても出来るようにならないから、子ども扱いして「ちゃん」付けで呼ぶようになる。「あ―こりゃもうだめだ。なんぼ言うてもつまらん。子どもと同じじゃなー」と言って子ども扱いする。それは私たちに障害への理解が足りないからそうなるのです。「あーこれはもうなんぼ言うてもつまらん、分からんのじゃのー。子どもと一緒じゃのー」となる。それは障害者に問題があるのではない。私たちの理解が足らないのです。私たちに問題があるのです。
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