山口県岩国市黒磯町にあった独立行政法人国立病院機構岩国医療センターが先日の平成25年3月24日(日)、新築移転先である岩国市愛宕町で開院し、その業務を開始しました。<o:p></o:p>
さつき園は医療センターがまだその名称を国立岩国病院といっていたころから、病院の玄関前のバス停を岩国市内から通所してくる利用者の、さつき園通所送迎車両(岩国便)の待ち合せ場所としていました。それをこのたびの移転に伴いどこに変更するかについて、慎重にご家庭との協議や職員による試走等を重ねた結果、さつき園からの距離も遠くなり、渋滞も予想されるものの、やはり移転した医療センターを待ち合わせ場所にすることとしました。医療センターにも快く理解していただきました。<o:p></o:p>
3月25日(月)から新しく設定した医療センター玄関前での朝の待ち合わせを開始しました。どうなることかと心配でしたので、その週は毎朝職員を1名派遣し、状況を確認することにしました。保護者の皆様もご心配だったようで、みなさん初日、二日目、三日目と利用者と一緒に出かけてこられていたようです。<o:p></o:p>
ところが、どうにも職員のやり繰りがつかない状況が生じ、後半の2日間を私が担当することになりました。<o:p></o:p>
その2日目のことです。<o:p></o:p>
朝の9時近く。岩国市営バスが各方面からやってきては、医療センターのバス停で発着していきます。すでに3人の利用者がそれぞれにバスで到着しており、さつき園からの岩国便の到着を待っていた時のことです。一台の市営バスがバス専用路を入ってきました。私はだれかさつき園の利用者が乗ってはいないかと、じっと遠目ながら車内に視線を送ります。が、そのバスに利用者は乗っていないようでした。ところが、そばで待っていた利用者の○○さんと□□さんがそのバスに向かって手を振り始めたのです。<o:p></o:p>
『えー、だれが乗っとるんかいな?』と、私はもう一度バスに視線を送ります。<o:p></o:p>
よく見ると、何とバスの運転手さんがこちらに向かって手を振っているのです。『何で?』と思う間もなく、そのバスから運転手さんのこんなアナウンスが聞こえてきました。<o:p></o:p>
「○○君、お早う!」「□□君、お早う!」<o:p></o:p>
すると、その言葉に「お早う!」「お早う!」と○○さんと□□さんがうれしそうに応えたのです。私は驚いて思わず二人の顔を見やりました。二人は『いつものことじゃん』といった顔をしています。 <o:p></o:p>
ところが、そこでまた私がびっくりすることが起こったのです。<o:p></o:p>
なんとその運転手さんは続けてこうアナウンスしたのです。<o:p></o:p>
「○○君、□□君、今日も頑張りましょう!」<o:p></o:p>
二人がそれに「頑張りましょう」と応えたのはもちろんです。そして二人は、方向転換して出発していくバスに一生懸命に手を振って、見送ったのです。<o:p></o:p>
もう、感激でした。<o:p></o:p>
彼らは彼らなりに、自分たちの力でこの社会の中の一員としてたくましく生きているのです。岩国市営バスのその運転手さんがどなたかは分からずじまいですが、感謝、感謝のできごとでした。<o:p></o:p>