今年はお流れになってしまいました

2020年02月28日 | 日記・エッセイ・コラム

 マスクが不足しています。体温計も不足しているようです。手指消毒液も不足気味と聞きます。
 国から、全国の小中学校・高校・特別支援学校に春休みまでの臨時休校要請が出ました。さつき園のすぐお隣の大島中学校はどうするのでしょうか。人生にとっての大事な経験となる別れと出会いの季節が、不安と焦燥の季節になっていきます。
 中学3年生の諸君はどう気持ちを立て直すのか。
 大島中学校では毎年、3学期に1年生が3日間ほどさつき園で利用者とともに作業をしてくれています。それが今年はお流れになりました。
 彼らの人生で、今後あるかないかの、せっかくの障害者との交流の機会がお流れです。誠に残念です。
 障害者との出会いは、その出会う時期が大事なのです。やみくもに、とにかくいつでも構わず出会えばいい、というものではないのです。出会うには出会う側の感性が児童期から思春期になりかかろうとする頃がいいのです。自我に目覚め、親に反抗的になり、社会の在り方に疑問を持ち始める頃がいいのです。それは言葉遣いや行動が乱暴になる頃でもあります。それが彼らが中学1年生から2年生になる頃なのです。
 その頃に、今こうして中学校に通っている自分たちと同じ時間と空間の中で、自分たちと同じ空気を吸って、障害がありながらも、明るくしかも優しい眼差しをもって生きている人たちがいる、ということを、彼らが彼ら自身の心身で実感することが大事と思うのです。そこから、きっと何かが芽生えるのです。私たちはそういう機会を彼らに与えねばなりません。
 ただ漫然と、福祉教育などと称して書物や映像を提供し、あるいはそのような所の見学を試みても、そのことが彼らの実感として、彼らの心に深く刻まれることは稀なのではないでしょうか。
 だから止む無しとはいえ、今回の新型コロナウイルス感染拡大防止のための一斉休校は悔しい限りです。今年の大島中学校の1年生に、さつき園での利用者との3日間の作業体験という、彼らの人生に2度とないかもしれない交流の機会を彼らに提供できないことが、本当に残念でなりません。
 彼らの人生で、今後あるかないかのせっかくの障害者との交流の機会が、思わぬことで、今年はお流れになってしまいました。


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無症状感染

2020年02月14日 | 日記・エッセイ・コラム

 中国で発生した新型コロナウイルスが、今、世界各地に蔓延してしまっています。国内でも初めての死亡者が出てしまいました。
 そうした各地、各国での新型コロナウイルス感染の状況を伝えるニュースを見聞きする中で、私は「無症状感染」という言葉に反応しています。
 その「無症状感染」とは、例えば今回の新型コロナウイルスに感染していたとしても、その感染による症状が外に現れず、本人にもウイルスに感染しているという自覚がないというものです。そして、そのまま日常生活を送っていると、関わり方にもよりますが、誰かをウイルスに感染させてしまっている場合がある、ということのようです。
 その「無症状感染」という言葉に反応した私は、その瞬間、何を思っていたのか。
 その時、私が思ったこと。
 それは、私の抱える命題に事寄せれば、世間の人々がほとんど無自覚、無意識のうちの障害者に対する偏見や差別意識を他者へ感染させてしまっているということと同じじゃないのか、という思いでした。
 人間の無自覚、無意識のうちの発言や行為、行動が、図らずも他者に対して、予想もしない思わぬ感情を抱かせてしまう、ということ。
 当の本人にも自覚されずにいる障害者に対する差別や偏見。それは本人に自覚されていない分だけ、何のこだわりや抵抗もなく、日常の中で発言されたり、あるいは行為として為されたりしています。しかしそれが繰り返し、また繰り返し、他者に向かって為された時、他者の中に障害者に対する偏見や差別の意識が芽生え、他者の無垢だった感情にその芽生えがにじり寄り、じわりとそれらの感情を呼び起こすのではないのか。そしてそれは、私たち人類が動物生から人間生へと変容する時代のことだったのではないだろうか。
 こうして私たちはお互いが意識しないまま、いわば無症状感染として、また次の他者へ累々とウイルス感染を繰り返していったのです。
 果たして、私たちは人類の長い長い歴史の中ではびこってきてしまっているこの「無症状感染」の連鎖をどうしたら断ち切れるのか。
 新型コロナウイルス感染の蔓延はいつまで続くのでしょうか。未だ収束の兆しは見えません。


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えらいことになってきました

2020年02月05日 | 日記・エッセイ・コラム

 えらいことになってきました。
 さつき園でも利用者がマスクのことを心配しています。
「園長さん、マスク、どこで売りよるかねぇー」
「いやー、もうどこにもないんじゃないかのー」
 利用者とそんな会話をして、夜帰宅すると、テレビ画面に横浜港沖に停泊している豪華客船が、まるで宇宙空間に浮かぶ宇宙ステーションのように映し出されていました。明かりのついた窓が幾層にも重なって見えています。停泊している事情を知らなければ、ロマンティックにさえ思われる映像です。
 乗船客の一人が香港で下船したのち、今回の騒ぎの新型コロナウイルスに感染していたことが分かり、もう大騒ぎです。豪華客船にいるおよそ3700人は予想外、予定外の船旅を経験させられてしまっています。そして、近隣各国は入国禁止措置をとってきています。
 思えば、地球上の人間の移動は、ぼーっと地球儀を見ていたのでは分かりませんが、一人ひとりの人間の移動を赤い線で表せば、地球が真っ赤になるほどなのでしょうね。新型コロナウイルスに感染した人が世界中に飛び火のように散らばっている様子を見せられるにつけ、そう思います。
 科学や医学と自然との闘いです。人類が持てる英知を集めて、自然と対峙し闘っています。
 人類はこの先、今回同様の事態襲来に際して、自然に勝利することができるのでしょうか。未勝利が続くと、自然への憧れ、あるいは自然への嫉妬心から生まれた宗教に頼るほか、為す術がなくなるのでしょうか。太古の時代の人類を思います。
 果たして、この状況はいつまで続くのでしょうか。
 えらいことになってきました。

 

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