元NHKTVアナウンサーの驚きの感性

2024年04月09日 | 日記・エッセイ・コラム

 知る人ぞ知る元NHKTVアナウンサーの鈴木健二さんが3月29日に亡くなられました。95歳だったとのことです。今や遠くなった昭和の時代。そのおよそ3分の2を生きてきた私にとっては、言わずもがなの有名人です。

 その鈴木さんの数多くの著書の中のある1冊を読むと、鈴木さんは昭和42年頃にあの糸賀一雄さんと会っておられます。

 その時、目の前で、今で言う知的障害の子どもたちが行うある光景を見た時の鈴木さんの発言を聞いた糸賀さんは、鈴木さんにこう言われたそうです。

 

 「鈴木さん、それはあなたの間違いです。(中略)この子達はみんな嘘をつきません。人をだましたりしません。純粋そのものです。この子達こそ人間の光なのです」

(中略)私はその時すでに二十数年前に経過していた青春の日に、雪の中で出会ったあの洗濯をする女の子を思い出しました。(後略)

 

 皆さんお分かりのように、糸賀さんの鈴木さんへの言葉は「この子らを世の光に」の原点です。

 そう言われて、20数年前の洗濯をする知的障害の女の子との出会いを瞬間的に思い出している鈴木さんの人の命、あるいはその人生に関わる感性の鋭さ、深さに、私は驚くばかりです。そして、その20数年前の、洗濯をする知的障害の女の子に出会った時に感じた衝撃は、鈴木さんのその後の人生に大きく関わっていくのです。

 

 けれども私は、もう今となっては叶うものではありませんが、鈴木さんがお元気な時に、今私が3度目のお世話になっている全国重症心身障害児(者)を守る会の全国大会での記念講演をお願いしていたら、果たして鈴木さんはどんなお話をされただろうかと思うと、残念至極でしみじみとするばかりなのです。

 

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辞令交付式にて

2024年04月02日 | 日記・エッセイ・コラム

 新年度を迎えました。

 全国的に遅かった桜の開花も始まりました。

 昨日、ある社会福祉事業組織の辞令交付式に出席してきました。

 会場の正面に向かって椅子に座っている8人の新入の人たちの緊張が伝わってきます。組織の代表から各人に辞令が渡されます。

 私には遥か49年前にあったであろう辞令交付式の記憶はまったくありません。以来、新年度初日に行われる辞令交付式は私にはありませんでした。

 組織の代表の挨拶の後、来賓の挨拶を促され、私も幾人かの来賓に混じって挨拶をさせていただきました。

 一つ。この組織を利用する人たちに敬意を払って接してほしいこと。

 一つ。その人たちの人生に関わっているという自覚をもって職務に携わってほしいこと。

 一つ。地域を意識してほしいこと。地域は私たちのことをじっと見ています。常にこの地域にある組織、団体の職員であることを忘れないでほしいこと。

 そして、最後に、この組織を利用するその人たちを虐待せぬように、と。あなた方が好むと好まざる

とに関わらず、あなた方の存在はすでにその人たちをどうにでもできる立場なのだから。

 あなた方が何年ここに勤めるのかは分からないけれど、これらのことを大事に思い、与えられた職務

に励んでほしい、と。

 すると交付式の後、ある出席者から「厳しいことを言われますなぁ」と言われました。

 厳しくはありません。私の障害福祉関係の仕事に携わってきた長年(?)の体験、経験からの実感で

あり、総括なのです。

 ブログに向かうことが少なくなっておりますが、今年度も日々の時間の中で思ったこと、感じたこと

を拙くも綴ってまいろうと思います。

 皆様、新年度もどうぞよろしくお願いいたします。

 

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