ASAKA通信

ノンジャンル。2006年6月6日スタート。

「記憶」20240416

2024-04-16 | Weblog

 

 


 記憶の総体は生き物であって、
 絶えず個々の成分の比重を変えている。
 現在に生きることが過去の重みを変える。

        ──中井久夫『徴候・記憶・外傷』115

 

忘れたくなくても忘れることがある
忘れたくても忘れることができないことがある

内なる〝記憶係り〟のいとなみは意識の希望を斟酌しない

ある記憶の一角をきれいに消去できればどうなるのか
この仮構された空白の展開をたしかめるすべはない

記憶係りは絶えまなく経験を編集しつづけている
ときどき編みながら編み直すかのように
召喚を命じて、突然こみ上げることもある

一つだけ明らかなことがある

編集作業に直接手を入れて操作することはできない
ただ新しい経験のアイテムが書き加わえられるとき
記憶の全体は意味と配列をみずから変化させていく

 

 

 

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