ASAKA通信

ノンジャンル。2006年6月6日スタート。

「ゾンビ化と大本営ニッポン」(参)

2011-03-29 | 参照

*「THE JOURNAL」http://www.the-journal.jp/contents/kokkai/2011/03/post_252.html

つい最近、プロ野球セ・リーグの開幕日をめぐり、日本的権力システムの作動のわかりやすい見世物が展開されました。

当初の予定開幕日を強弁する大ボスの命令一下、力み返り、表情を歪め、絵に描いたようなfaithful dogとして振る舞う、コミッショナー・球団オーナー・球団代表とされる人びと。まさに「カッコ悪さ」の極みでしたが、ここに「個」はなく、閉鎖集団内の価値命題に感染死したゾンビの振る舞いだけがありました。

これと同様のシステムの作動は、メディア・検察・省庁・ビジネス他においても、日々継続中であることが容易に類推されます。「小沢放逐」もこうしたゾンビ集団によることは、すでに多くの国民の明察するところです。

とても面倒なことですが、いよいよゾンビ撲滅へ向けた戦いを本格化する必要がありそうです。


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「pray」

2011-03-29 | photo

*TIME_0328_10 Hideo Kudo and his son pray at the place where his missing father was last seen in Tanohata, Iwate prefecture on March 27, 2011.
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変わりゆく空Ⅱ(2006)

2011-03-26 | Weblog
   *

透明な神殿を戴くエリアXには
猛烈な解体の嵐が吹き荒んでいる

神殿を取り巻く有象無象は祭司や神民として連なり
巨大な伽藍の運営にあらん限りの精励を尽くす

酷薄な眩惑と誘引に満ちたその大伽藍が
絶滅のエロスに輝くオレたちの故郷だ

   *

いま、変わりゆく空の下で
どんな残照も消し去るように
解体の嵐は巨大な渦巻きとなって
最後の光芒へ向かって日々拡大している

神殿の更新スピードは加速し
オレたちが記憶し制御する速度を陵駕しながら
新たなコードがぞくぞくと名乗りを上げていく

神民においては無意識へと撤退することは許されない
どんな苛酷に出会っても
どんな陶酔に出会っても
ただ、強いられた覚醒を生きることができるだけである

   *

キミには信じられないかもしれないが
オレたちはみずから望んで表層を疾走し
われにもあらず深層には寂滅の光景を広げている

抱かれた希望や夢や善意は
惑星を一周めぐると悪夢に変わっているかもしれない

求められた平安や礼節が殺戮や拷問を準備することもある
理想がたどる道は絶滅へ通じているかもしれない

もっと遠くへとまなざしを凝らしたオレたちは
地上の幸福を酷薄に見捨てる可能性もあった

   *

めざすべき達成はいつも眼前にぶら下がり
それが本当に望まれたものかどうかはわからないが
神殿を埋め尽した果実たちは
永遠の憧れにも等しくオレたちを眩惑し続けている

加担することなく加担し
悪意することなく悪意し
共犯することなく共犯し

一切は推定無罪の裁定において
善き心の蝟集とその帰結において
絶滅への驀走を暗示している

  *

巨大な渦巻きはすでに最後の光芒に放つように
オレたちの街の風景を煉獄として照らし出し
エリアXは限界をこえた煩悶に身を捩っている

状況は想像を絶しているが
零れる闇の正体は不明だが
すべては必然の途上にあるように嵐は拡大している

 *

オレたちが生息する惑星において
どの時代も生存の厳しさは等しく人間を包むが
苦悩と慰安はいつも破格のバリエーションにおいて現われる

オレたちの経験は感慨を結ぶ前にゴミ化し
燃えるものと燃えないものに分別される前に
正体の知れない回収車に投げ入れられる

むごたらしくも懐かしい記憶は寂滅に染まり
あの空を満たした感情は虫の息のまま焼かれていくが
速やかに酩酊とエクスタシーが接続される

風景は鮮やかにクリーンアップされ
ただ、オレたちの生存を祝福するように
祝祭のトランスだけが持続していく

   *

エリアXとは何か
オレたちの勇気と悲しみと孤独を駆動した
一度も語られたことのない最後の圏域だ

   *

キミには見えないかもしれないが
なにもないあの空の下には神がいる
君臨する神は仮称的にMと呼ばれる

Mは命令しない
威圧も脅迫も教唆もない
ウルトラの戒律において
ただ、決済する

腕を捩じ上げる理不尽な暴力も
忍従を強いる地獄のエージェントも存在しない
ただ、自動化された神民の精励が持続しているだけだ

   *

「どこかにあると信じていた?」

   *

いつからかオレたちの儚い夢は
巨大なMの視覚の中心に向かって吸い込まれ
粉砕され 原形を失い 攪拌されながら
次なる再結合のマテリアルへと変換されていく

至るところにうず高く積まれた瓦礫は
新たな生成の回路へ向けて待機の状態に入っていく
この循環のスピードは猛烈に加速している

順番を待つ瓦礫は数え切れないから
渦巻きが回転するための調達コストは限りなくゼロに近い

滅ぼす力は同時に生成の栄光を讃えられ
みずからとみずからに関係する数多の血族に対する
蹂躙と殲滅の軌跡が同時に希望へと接続される

汲みつくせない希望の泉はどこか
オレたちの絶望や辛苦はあの空の向こう側で
永遠に正体を現わさないMへの憧れに変換されていく

   *

Mの戒律は神民の日常にくまなく遍在し
戒律することなく戒律し
断罪することなく断罪しながら
Mの大御心の太っ腹の裁定において
一切はなかったことにされて不問に付される

周到に準備された世界創出のイメージがあるわけではない
回帰すべき過去が祭壇を飾るわけでもない
ただ、内部調達されたエネルギーが前方へと直列されていく

妙なる媚薬は惜しみなく伽藍に振り撒かれ
猛烈な解体と再結合の目のくらむような循環のサイクルが
絶滅のオーガズムめがけて驀進していく

背信と異端と瀆神に向かっては
容赦なく排除と駆除のメカニズムが作動し
速やかにリサイクルの方策が手当てされる

   *

「いま、キミはどこにいるのだろう」

   *

なにもない空の向こうに心は深く交わり
赤く染まる時間を悲しく受け入れながら
オレたちは投げる言葉をもたなかった

オレたちが感慨を結ぶより先に季節は移ろい
流れる雲はいつの間にかオレたちを追い抜いていった

   *

定位された日常のプログラムの進行は厳格である
厳格であるが柔軟である
柔軟であるが酷薄である

オレたちはいつも吹きさらしの中で
指定されたやすらいの場所でやすらい
指定された方法で疲れた情動を慰撫する

自動化された祭司と神民の生活は決して外部を教えない
Mの準則に殉じる神臣という自覚もなく
神殿の巨大な伽藍の内側で虫のような生涯を閉じていく

   *

神意は偉大である
オレたちのエネルギーの回路は制御されるが
それは明示された託宣に従うからではない
神意はただ忖度され、ただ自発の従属が調達される

神殿を埋め尽くす万能の媚薬は霧となり
普遍の駆動装置と慰安装置が同時に作動させている

神殿に連なることごとくは
Mの決済へ向けて組織され
強制された覚醒の最大化を促すように
決済のオノは打ち下ろされ
オレたちは新たな物神の創出へ向けて蝟集していく

   *

かくしてエリアXは惑星の運航に従うがごとく
限りなく物理に接近し

惑星の四季は大御心のままに
生誕から消滅へ向かう営為の一切が
システム化されたエネルギーの波動に准じていく

惑星を貫通する神殿の力動においては
滅ぼすチカラも生かすチカラも巨大である

あらゆる現象はリミッターを振り切り
偉大さもバカさ加減も度をこえて増幅される

増幅メカニズムにおいて
理想化された生存のカタチは不在だが
逸脱のボーダーだけは確定されている

神殿に刻まれた準則はシンプルである
永遠のフリーダム
永遠のフェアネス
永遠のジャスティス

Mの裁定に黙示の時は示されないが
そして最後の時は永遠にやってこないが
最後の時はいつかどこかで
オレたちの永遠の憧れへと転位するかもしれなかった

   *

「私のこと忘れないでね」
   
   *

「きっと」

   *

「ありがとう」
  
   *

「ありがとう」





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2010 エージェントのゆくえ10

2011-03-09 | Weblog

「理性に対してシステムの作動は自律的です」
「むしろ理性の活動はその一部に含まれる?」
「自律的かつ基底的かつ包摂的といえます」
「理性はあくまでもサブシステムであると?」
「そう考えるのが妥当ですが、ただ理性の自尊感情はそのことに自足できません」
「逸脱しやすい?」
「理の厳密な定義にしたがえば、理の徹底は非理の気づきに至ることになります」
「しかし頭でっかちになる。なぜでしょう?」
「ポイントは理に与えられた自由エネルギーの性格にあります」
「ただ泳がされているだけ?」
「概念やイメージの使用には、錯誤や矛盾の自由も与えられている」
「なるほど」
「そこには理由がありますが、重要なのは背景です」
「機能的要請のみなもとですか?」
「はい。理性的であろうとする動機は、理の内部をさがしても見つかりません」
「みずからの起源を知らない?」
「知らないことが推進力の源泉と云えます。しかしシステム全体にとってその権能は限定的です」
「お釈迦さまのてのひらに乗った孫悟空でしょうか?」
「機能的役割ははっきりしています」
「どんな役割ですか?」
「創発への貢献です」
「どのような貢献でしょうか?」
「カオス的撹乱の準備と云えます」
「わかりません」
「順番に話しましょう。第一に、環境の変化は予測不可能性のもとにあります」
「はい。対応するには新たなアルゴリズム的な編集形式を見つけなければならない」
「自己編集機能はビルトインされているのではないでしょうか?」
「そうなのですが、いったん書き込まれた形式には慣性の法則が働きます」
「保守的なチカラが作用するということですか?」
「ええ。既存の記述形式には一定の現実的な裏づけがあり、その意味で有効性をもちます」
「簡単に記述形式が変わっては困る」
「適応とは生存をかけた営みですから、いちど成功した形式は捨て難い」
「現状維持にとどまろうとするのですね」
「しかし既知の形式が自明化すると、システムの営みは反射運動に埋め尽くされていくことになります」
「惰性化あるいは陳腐化する」
「習慣化あるいは自明化するとも表現できます」
「つまり旧式化する」
「このことは適応ポテンシャルの低下の可能性を意味します」
「はい」
「そうしたリスクを回避するには、新たな選択肢をプールする必要があります」
「そのためのサブシステムですか?」
「ええ。すべてではありませんが、そのための重要な一端を担っています」
「一端とは?」
「システムは環境変化に対応する変化システムですから相応の自己編集的自由度があります」
「そうでしたよね」
「しかしそれだけでは担保できないものがあります」
「それは何でしょう?」
「ひとことで文化的なモード選択と云えます」
「変化の道具立てすべてをシステム本体ではまかなえない?」
「はい。それを理解するにはニンゲンの進化の特殊性を認識する必要があります」
「特殊性?」
「類的な相続財産は遺伝子レベルに加えて外部装置が担っています」
「ロゴスあるいは文化的ヘリテージ?」
「ええ。特殊性はこの外部装置そのものが第二の環境を構成する点にあります」
「ということは両面作戦を展開する必要があるということでしょうか?」
「ただし自然的環境と非自然的環境を明確に区分することはできません」
「なぜでしょう?」
「例えば食べることは動物の摂食行動であると同時に文化的行動でもあります」
「エネルギー補給だけではないですね」
「食う寝る遊ぶに住むところ…、すべてが生命的かつ文化的な振る舞いです」
「階層的に積み上げられたものではない?」
「真善美など文化的な価値判断は生命的営みに浸潤し尽くしています」
「それがニンゲンの特殊性なあり方にかかわるわけですか」
「文化的エロス性は身体化されています」
「イメージしにくいですね」
「つまり、システムの作動はイメージや概念や物語がつくるコードを経由して出力されます」
「動物の本能図式とは異なる」
「そこであらためて問題となるのがサブシステムとしての役割です」
「そうでしたね。そこでカオス的撹乱ですか?」
「はい」
「カオス的撹乱とは?」
「データの撹乱、自明性の破れとも云えます」
「もう少し具体的に」
「システムの展開には、データの読み替えや新たな連結関係や接続先を見出す必要があります」
「既知の内部ではその契機がない」
「ええ。環境に創発するためにはカオス的契機が必要です」
「自由エネルギーはそのために確保されていると?」
「はい。自明性を破り出る契機がなくてはならないと云えます」





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Ludwig Josef Johann Wittgenstein(1889~1951)

2011-03-03 | photo

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