みずから加担し、みずから招きながら
どんなにそうでなければよかったか
そう思うことの先に別のなにかを用意する
それがなにかは自明ではなくとも
わからなくてもクリアすべき課題とする
ひとつの結審を転移して新たな展開の始発点とする
そのことを第一のこととして
そうして生き抜いた連中がいると思う
できなくても真似をしたいと思わせる連中がいる
みずから加担し、みずから招きながら
どんなにそうでなければよかったか
そう思うことの先に別のなにかを用意する
それがなにかは自明ではなくとも
わからなくてもクリアすべき課題とする
ひとつの結審を転移して新たな展開の始発点とする
そのことを第一のこととして
そうして生き抜いた連中がいると思う
できなくても真似をしたいと思わせる連中がいる
白組と紅組。善と悪。幼稚園児の塗り絵レベルの思想もどき。
右と左、片側だけではなく両側良くみて横断歩道を渡りましょう。
正義はときどき、しばしば、あるいは常時、走りすぎる。
走りすぎて、真逆のものに転化する変質点がある。
ゆるぎない信念、不動の真理、断固のかたまり。銅像ですか。
先鋭化するとき、不正義は撲滅、せん滅対象になる。
関係世界から、寛容、対話、協議の位相が消滅して、
みずからめがけるものとは真逆の世界を呼び寄せる。
非戦を望むなら、正義不正義の塗り絵とは別のまなざしがいる。
存在も意志も明かされない
気配は消えている
命令でも要請でも倫理でも道徳でもない
非人称の光源に加わるように
再帰するまなざしの回路を封じ
虚数空間のきらめきに殉じるかのように
ただ受け取るものの側に委ねられている
そんなことがあるのか?
ああ、たしかにそういう人間の営みがあると思う
おそらく俺たちの世界を支えているものだ
にっこりすればにっこりする
にらめばにらみかえす
ああいえばこういう
やられたらやりかえす
収支を合わせるように
ノシをつけてお返しする
自然の文法がそうせよと命じる
感情のエコノミーが動いている
贈与、交換、応酬の原始感情、原始経済
主題はすべて関係をめぐっている
外してはならない決めごとのように
墨守すべき天命に服するように
ふりかえればどれも似ている
展開のシルエットは区別がつかない
どんな個もどんなクラスも
あちらこちら、同じ場所でグルグル回っている
この経済ゲームには限界がある
どこへも行けない、そう思わないか?
ちょっと外してみないか
原始経済、自然の文法では記述不可能な圏外
人間だけに許された広大な展開域がある
ひとつの意識だけの平面上では展開するのが原理的に不可能であり、
融合しないふたつの意識を前提としている出来事、
ある意識がもうひとつの意識にまさしく他者として関係することを
本質的な構成契機とする出来事がある。あたらしさをもたらす、
唯一で不可逆の創造的出来事とは、すべてこのようなものである。
──バフチン(桑野隆『生きることとしてのダイアローグ』)
照らす対象をもたない光は永遠の虚空へ消えていくしかない
対象にぶつかり反照されてはじめておのれの姿を告げられる
そうしておのれのチカラ、限界、用法、修正可能性に気づく
なにもない真空の闇に光の合流点をあつらえるように
この反照関係が維持されるとき第三の展開域が生成していく
人類は任意のクラスわけを順次30回ほど繰り返すと
近代が描いた希望の原理「民主主義」の基礎単位、「個」に分解する
クラスの思考が支配した前史からの離脱を掲げた近代の思考
一切の始発点は「みな兄弟」ではなく「みな他人」に置かれる
個が個として生きうる集合的地平を構想する
そのための必須の前提であり始発点を意味する
しかし「個」はいまだ顕現の本質的契機と出会っていない
われわれはそこに至る手前のクラス分けの段階に留まり
「個」に分解するはるか以前のクラスの一員として自らを規定し
相互に規定しあう関係のゲームのなかにいまも生きている
いまだクラスの思考の内側にあって
それぞれのクラスの一員として出会い、交わりながら
ことばの営みはグループ交際の水準にとどまっている
個人的体験は深刻であっても、その照らし出す範囲は限られている。
──中久夫『「思春期を考える」ことについて』84
*
教訓ではないよ、ましてや道徳ではありません
学びとか、くさいタイトルはいらない
結論のことばとか、経験にうんこを塗ることになる
経験を横取りしないでね
ひとりの一回的経験、体験としての物語、そんな本との遭遇がある
心になにが起きているか、おとなの期待や思惑や想定の外の出来事さ
わかったふりはやめてください
ほんとうの研究って、調べものして、偉そうにことばを盛るためのものではないよ
ひとりひとり、心に起きたこと、その経験を経験として引き出し守るためのものです
経験の成就を阻害するものが世界には溢れている
ひとりひとりの経験に介入して壊すもの、強権的なことばの包囲と支配
研究と称しながらその仲間に加わらないでくださいね
経験をことばにするレッスン、交換するためのレッスンがある
一つの正解、一つの結論、一つの真理にたどりつくためではないよ
異質な読み方、異質な感情、異質なことばに出会う広場があって
この広場を生きることで経験と感情とことばを拡張していく
それをよろこびとしてともに生きる方法と技術を研いていく
包囲するゴミをびとつひとつ適切にていねいに掃除する
そのうえで、まっすぐに物語を経験してもらう場をあつらえる
セットアップを万全にして、ひとりひとりの経験を守りぬく
学校の第一のミッションです
みずからを供犠に捧げるように
天上に奉り上げてきたもの
地をたぶらかし地を裁くものすべて
天上から降ろすのではなく
天上まるごと地に降ろす
そうするたしかな根拠がある
地を見下しおとしめる天の視線を廃棄する
なぜそうするかの理由ははっきりしている
地のいとなみを価値として生きるために
天地のからくりすべて
それが生まれた場所に正しく引き戻す
引き戻してはじめて天地の由来が明らかになる
天地の創設、その主犯、生の闘争が導く必然
この闘争を対話そしてセッションへと位相変換する
ここですべてはセッションの用材として資源化される
そうしてはじめて俺たちは地に生きる意味と条件を手に入れる
「欲求の相剋性の平面ではなく」
「この平面を離脱し、外的規制も内的規制も
ミニマムにしてゆく方向に解き放たれていくゆくという進路」
「宮沢賢治は「ほんとうの」しあわせとか考えとか世界を求めた。
竹田の断念は、〈真実〉を方法の場所に、……しずめている」
「どのように科学・技術が発達しても、文化・文明が身体を変質しても、
人間は動物である。動物としての欲望は残る。欲望の矛盾も残る。
欲望の矛盾を矛盾であるままに、相剋性から相乗性に転回すること、
生きる矛盾をみにくい連鎖から、うつくしい連鎖へ転回することだけである」
「これまですべての宗教の課題は〈超越〉ということだったと、植島らはいう。
その〈超越〉の方向が現在みえないのだと。
今わたしたちがほんとうに求めているのは、わたしたちを、
もういちど〈内在〉させる力をもつ思想ではないだろうか。
あるいは超越を超越する思想、世界を新鮮な奇跡の場所として開示する、
ひとつの覚醒ではないだろうか」
」
虚仮不実のわが身にて
清浄の心もさらになし(正像末和讃)
善人面のほがらかなのぼせあがり、むごたらしさ、残忍さ
この光景はきちんと胸に刻んでおいたほうがいい
ゲスも悪党も鬼畜もはぐれ者も暮らすことが許されない
清く正しく抗菌処理された遊園地エリア
魂のチャイルドシートに着席して生きる、その閉域性について
みずからをいと高きものへと連結して舞い上がるその倒錯について
泥にまみれ雑菌にまみれてはじめて耐性は身につくんだぜ
泥だらけ雑菌だらけの存在を見下さない方がいいな
地獄の釜を守る鬼たちはいつも身ぎれいにしている
衛生管理が行き届いた煉獄のエージェント、無慈悲な優等生さ
「善人なおもて往生をとぐ。いわんや悪人をや」(歎異抄)
天と地をわける柵をいったん撤去してはじめて開かれる境位がある
むずかしくても一度は考えるに値するかもな
かんちがい野郎、センチメンタル野郎、のぼせた飲んくれたのボケ
くそみそのことばを押し返すことができない
できるはずがねえだろ、金輪際
だったら、これでもくらえ、いいかな
おまえが聴くに値する、そう思える歌がある
けっこう普遍的テーマかもしれないぜ、わからんけど
おお、ありがとうよ
Barbara - Mon enfance (Audio officiel) - YouTube
善も真理も正義も悪もないはじまりの頃、先史時代
ただ生きる意志がぎりぎりに世界をスキャンする
シンプルな世界分節、自然が刻んだ快と不快の文法
やさしいものを感じて心のうちにハントする
無力な生の意志が願うもの、不安の全解除──
逆向きにいえば、そこに生きる主題がある
幼い心が願い求める最大の生の報酬、だっこ、愛撫
存在まるごと抱きしめられること──
全肯定、全承認、全的受け止めの地平を生きること
この主題は生涯にわたって変化しないまま刻まれている
伝えたい相手がいる
受けとめたい相手がいる
感じているものを感じてほしい
感じているものを感じていたい
ふたつの心を連結するように
抗えない幻想に導かれるように
日常の楽譜に小さな休止符が書き込まれ
魂が息つぎするスペースが開かれる
やわらかく心がほどかれ
やさしい感情が満ちてくる
(この感覚には覚えがある)
しあわせな時間を生きている
そんな幻想をともにする出会いがある
「はじめにことばあり」
この記述命題は正しく次のように変換される
はじめに生の意志あり
よりよく生きんとする欲望ありき
この変換の必然は以下のとおり──
ふたつの生が出会い、交わり
連結するように二重記述が現象する
ふたつの性が出会ってそうするように
子(ことば)は懐胎され産み落とされる
生の意志を母として子は生まれ育まれる
この展開の原理は動かすことができない
子は母を産むことができない
子がおのれの起源を忘れたとき暴走がはじまる
母の願いを裏切るように、真理化し、超越化し
呪術化し、悪魔化する、子の、ことばの歴史
母をいたわり母をいつくしむ心をもたない子の専制
母を支配し蹂躙し殺める、おのれの起源を踏みにじる倒錯の歴史
(願わくは、母をささえる心やさしい子として)
この不幸な用法と歴史からはやく離脱しなければならない
けっして追い越すことができない
心臓に近接した生の前線があって
〝いまここ〟を告げる作動がある
向かう方角はどこか
頌歌なのか悲歌なのか
未来なのか過去なのか
考えるよりはやく
世界への着生は告げられ
読み切れないシグナル群の明滅を縫うように
新たな結界へ導く光の通り道が示される
より生の祝祭が沸き立つ方角へ