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私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

レリーフ「大地」制作記録映像「三人の手」上映会

2024-04-12 14:13:25 | 映画観賞・感想
 「三人の手」とは、1960年代に北海道に縁のある著名な彫刻家だった本郷新、山内壮夫、佐藤忠良の三人の手を表している。彼ら三人は、北海道銀行本店に掲げられている幅41m、高さ3.3mの国内でも他に例をみない巨大なレリーフ「大地」を共同で制作したのだった。

     

 昨夜(4月11日)、市民交流プラザのSCARTSスタジオにおいて本郷新記念札幌彫刻美術館が主催する表記記録映像の上映会があり、参加した。
 実はその巨大なレリーフは、北海道銀行本店が移転と建物取り壊しとなるため、間もなく私たちの目の前から姿を消す運命にあるのだ。銀行などには縁のない庶民の私は通常の預貯金などで訪れたことはなかったが、本店ロビーで開催される「道銀ロビーコンサート」などで時折り訪れた時にはその巨大なレリーフを眺めさせてもらっていた。
 上映会は上映時間が短い(22分間)こともあり、3回の上映が設定されていたが、私は初回の午後6時の部に参加した。定員は60人ということだったが、満員の大盛況で後から椅子を補充していたことから80人近くがいたのではと思われ関心の高さを伺わせた。
 さて三人の彫刻家とは、当時国内的にも著名だった本郷新山内壮夫佐藤忠良の三人である。三人の作品は大通公園にもそれぞれ展示されている。
 その三人が「大地」というテーマのもと、北海道の産業や歴史風俗をどのように表現するのかというディスカッション、そしてデッサンと共同で作業を進める様(場所は東京の本郷新のアトリエだったようだ)が克明に描かれていた。
 そして実際の制作模様が描かれていたのだが、そこで私は意外な光景を目にした。彫刻ではまず最初に粘土でもって成形するのだが、その段階で彫刻家たちは粘土を丸めて壁にぶつけるようにして貼り付け、それを指でもって平らに均していた。それから各々の手で粘土を成形していた。私は巨大なレリーフを制作するというのに、なんと非効率的な方法を取っているのかと思った。最初の段階など、何か機械によって平均に均された粘土を用意してもよさそうにと思ったのだが…。あるいは彫刻家にとっては、そうした些細な作業の過程が大切というのかもしれないと思わされた。
 続いて成形された粘土の造形を石膏によって型取りがされ、最後にその石膏にポリエステル樹脂を流し込んで完成という過程を辿った。
 巨大レリーフは、1m四方のポリエステル樹脂板93枚に分割されて制作され、それを銀行本店の壁に設置されるまでを映し出してくれた貴重な映像だった。
 レリーフは見たところブロンズ製のように見えたが、実際はポリエステル製だということだった。その訳は、ポリエステルが銅の重さの13分の1という軽さで、銀行本店の壁に設置するには危険もなく好都合ということがあったのかも知れない。
 さて、問題は北海道にとっては貴重な文化遺産でもあるレリーフ「大地」だが、巨大ゆえに転居先が見つからず、しばらくは倉庫に眠らざるを得ないということだ。どこかで再び私たちの目の前にその巨大な姿を現してほしいと願うのだが…。


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