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私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

寺島実郎「世界潮流と日本」を語る

2010-05-21 15:10:37 | 講演・講義・フォーラム等
 世界の動きを両手で鷲掴みしたように捉え、それを寺島流の解釈を加え、伝える力は当代随一といっていいのではないだろうか? 寺島氏が語った日本と極東ロシアの行く末を反芻してみた…。 

                            

 少し時間が経ってしまいましたが5月13日(木)、北海道銀行主催で「極東ロシアビジネスフォーラム2010」が開催され、そこで「世界潮流と日本~極東ロシアでのビジネスの将来性」と題して寺島氏が基調講演をされたのを聴くことができました。

 内容の濃い寺島氏の話の全てを再現することなど到底できることではありません。
 氏の語った言葉を断片的に羅列してみることにします。(私の脚色も少し入っていますが…)

        

 寺島氏はまず日本とロシアの歴史的な関係を次のように整理しました。
◇歴史的に見て、ロシアは相当に早い時期から東進(日本進出)を狙っていた。
◇1705年にはロシアの旧首都サンクトペテルベルグに日本語学校が開設されている。
 (この頃日本では、1703年に赤穂浪士の討ち入りがあった時代である)
◇1792年にはロシアの船が根室に接岸している。(黒船来航は1853年である)
◇1860年代には極東にウラジオストックを建設し、ウクライナ人65,000人を移住させ、東方進出の拠点とした。ちなみにウラジオストックとはロシア語で「東を征服せよ」という意味である。
◇一方、徳川幕府もロシアからの進出を食い止めるため、北海道(蝦夷)の守備を固めようと力を入れ始めた。
◇明治に入ってからは「屯田兵」制度の導入によって北海道の守りを固めようとした。
◇こうしたことから、北海道も極東ロシアも人工的な開拓が進められた経緯が非常に似通っている。寺島氏はそのことを両者は双生児のようであると話した。
◇その後、日本とロシアの2国間には不幸なせめぎあいが長い間続くこととなった。

                

 現代における日本・ロシア2国間の関係
◇日本が米国との貿易で成り立っているという図式は過去のものである。
(米国から穀物と飛行機を購入しなくなったら対米貿易割合は1割を切る。)
◇日本のエネルギーの対中東依存率は9割である。日本にとって極東ロシアはエネルギー依存の相手でもある。
◇ロシアもエネルギー戦略をヨーロッパからアジアへシフトし始めている。
◇ロシアは日本に安定的にエネルギーを供給できる相手国であり、日本はハイテクを活用したインフラ整備に力を注ぐことで戦略的に提携すべきである。
◇特に北海道は地理的な優位性を生かし、極東ロシアとの間に空も海も使って物流・人流を盛んにし、強固な関係を構築すべきである。
◇将来において対極東ロシアとの間は、脱エネルギーの可能性を探りながら、環境に力点をおいたプロジェクトを模索すべきだろう。
◇いずれにしてもロシアがこれまで以上に積極的に日本を見始めてきた。
◇そこにはたくさんのビジネスチャンスも存在する。

 非常に雑駁なレポートであるが、私自身が理解できねばレポートの意味がないので、私流の理解・解釈がかなり入っていることをお断りしておきます。
 世界の動きや流れが一論者が考えたり、予測したようにはいかないのが常であるが、寺島氏の論には聴く者をある種納得させる分析力、解釈力そして伝達力のようなものが備わっているように思えるのです。
 いい時を過ごしました。


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2 コメント

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ロシアと北海道 (三四五白のヨン    )
2010-05-21 20:49:59
 過去において江戸幕府が北海道を治めてなかったら、札幌もロシアに横取りされていたのかなとか、あるいは将来はエネルギー資源が無い日本はこれからロシアに依存することになるいのかなとか、いろいろなことを考えさせられたレポートでした。
 あまりロシアについて注目したことが無いのでこの講演はロシアについてまた考えさせるきっかけになりました。
Re:ロシアと北海道 (田舎おじさん)
2010-05-22 11:14:56
 これまで私たちは欧米や中東の動きばかりを気にする傾向があったように思います。
 最近の講演なり、論者の話を伺っていると、ロシアとか東南アジアの動向に目を向け、そうした国々との連携が大切であるという論調が多いことに気づきます。
 世界は動いているということでしょう。そしてその中で日本はどの方向に向かって進んでいくのか注視したいところです。

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