駒子の備忘録

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『Mr.ソクラテス』~韓流侃々諤々リターンズ18

2020年09月14日 | 日記
 2005年、チェ・ジノン監督。キム・レウォン、カン・シニル、イ・ジョンヒョク、ユン・テヨン。

 チンピラ青年がスパイにするためヤクザ組織に勉強を教えられ、警官にそして刑事になるが…というお話なのですが、今の韓国映画にはもうこういうものはないのかな、それとも表に出てきていないだけで未だ一ジャンルとして連綿と作り続けられているのかなあ。
 つまり、とてもマッチョな作品なんですよ。基本的に力、というか暴力や威嚇、恫喝で物事が進むから、というのもあるんだけれど、何より精神的にものすごくマッチョ。そしてそれは別に男女差別的だとかそういうことではないの。ただ男の男による男のための作品なの。実際、女性キャラクターも女優もほぼ出ていなかったと思う。情婦とかバーのママとかキャバクラ嬢とか、出てそうだけど全然いなかった。ただし映画スタッフにはかなりの数の女性がいたでしょうし、ほぼ補佐的な業務ばかりをさせられていたことでしょう。それは問題だけれど、そこが今は改善されているのであれば、こういう作品は好きな人が好きな人のために好きな人と作ればいいのだし、廃れないのではないかしら、と思いました。それこそ性差がある限り。
 もちろんこういうのが好きじゃない男性もいるとは思う。でも女性は全員が嫌いか、興味ないんじゃないかな。そういう性差に根ざした作品だと思いました。
 要するに、ヤクザのスパイとして働かされるべく刑事にさせられた主人公だけれど、刑事としてヤクザを摘発することを選んで終わる、というお話です。男のロマンなんでしょうね。でもフツーにちゃんと警官、刑事になりたくて勉強して合格してちゃんと働いている男女がフツーほとんどだから、以上終了、ってだけのことな気がしちゃうんですよ。イヤ家庭環境その他でグレちゃうような人々にも救済を、とかはもちろんわかるけれど、それはまた別の問題なのであってさ。この主人公のこの選択かっけー、ってのは、ホントしょーもなさすぎると思うのです。
 でも、キム・レウォンもラブコメのテレビドラマで人気が出たスターだから、こういう映画をやりたくなっちゃったんでしょうね。そういう点も含めてホント精神的マッチョ映画だな、と辟易しました。
 ただし映画としてはとてもきちんと作られていて、俳優陣も豪華です。でも、なんせ退屈するのでした。
 ちなみにタイトルはソクラテスの「悪法も法なり」という言葉から来ています。ソクラテスも泣くよ…



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