駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

2017年総括

2017年12月30日 | 日記
 去年の『シェイクスピアイズ』元日初日遠征に続いて『グラカル』元日初日遠征という、まさかの二年連続ムラ年越しで始まった2017年でしたが(そしてこの年末もムラなんだけど!笑)、今年も元気に楽しく劇場に通いました。ちなみに去年の総括はこちら
 観劇回数は139回、去年より6回減。9割が宝塚歌劇、7割が宙組かなあ。バレエ、オペラ、歌舞伎、クラシック・コンサートには全然行きませんでした、反省。来年はもう少しいろいろ観たいです。

 外部で印象的だったのは『危険な関係』かなあ。本当に観ていてワクワクしました。『子供の事情』も素晴らしかったですね。大空さんなら『円生と志ん生』。来年の『人形の家』も楽しみです!
 『君が人生の時』とか『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』みたいな、ラストのラストにどかんと来る形のお芝居も印象深いです。
 あと『あさひなぐ』がよかったのも思い出深い! 周りで観られている人が全然いませんでしたが、単なるアイドル舞台として片付けるにはクオリティが高すぎたと思います。観られてよかった!
 観劇納めはまさかのサンリオピューロランド『不思議の国のハローキティ』でした。来年1月末日で千秋楽というので年末にいそいそと出かけてきたのですよ。以前、別の演目のDVDを確かミロワールさんで見せていただいて、すごくちゃんとしているミュージカルだったしフィナーレが完全に宝塚仕様だったので、いつか生で観てみたいとずっと思っていたのでした。
 ややネタバレになりますが、お話は、白兎と出会ったキティがアリスと間違われて…というもので、おお珠ちゃぴやんとか思っていたのですが、赤の女王が夫の心を取り戻すためにアンチエイジングに励んでいたり、ハートを失くしてジャックとまさかの不倫展開になりかけたりで、「おいおいイケコ、ファミリー・ミュージカルじゃなかったの!?」と悶えつつも爆笑し、されでも素晴らしい歌唱とダンスに感心しているうちにあれよあれよとラストは家族愛を歌い上げて大団円、というものすごいもので、さらにそこからまさしく正しいフィナーレが始まったのでもう大悶絶でした。
 ロケットの次に男役群舞、センターはダニエルで紫のスパン燕尾でビシビシ踊り、キメに指差しまでもらってキャーッ!となったところに赤いスパン燕尾のキティ・ザ・トップスターが大階段に登場! 下手袖から赤いスパンドレスのミミィがスススと躍り出て始まるデュエダン、そしてママのエトワールから始まるパレード…! カンペキでした、大満足!!
 キャラクターものにあまり興味がない私ですが、それでもランド自体もとてもおもしろく、みっちり一日いちゃいました。もちろんメインの客層は家族連れなんだけれど、もう少し空いている時期や時間を選んでまたゆっくり行きたいなと思ったくらいだったのでした。なんせいろんな組カラーグッズがあるのが楽しいんですよ!(笑)

 というワケで、今年は宝塚歌劇ならやはり『AfO』がベスト・ワンですかね。これと同じレベルで一幕ものができれば、それが私が宝塚歌劇に求めるベスト・オブ・ベストかもしれません。私は宝塚歌劇の本公演は二本立てが基本スタイルだと思っているので、一本ものはそれだけでやや減点なのです。また、好みとしては柴田ロマン悲劇が好きなのですが、やはりハッピーエンド活劇ラブコメというエンタメ性は高く評価したいのです。
 あとは別箱公演では原作未読で臨んでしまった分ちょっとあわあわ観てしまってもったいなかった、複数回観たかった『阿弖流為』を挙げたいです。あやなキターーー!!!ってのも大きかったです(笑)。でもまだ大丈夫(大笑)。
 贔屓ラブ活動の今年の三大思い出は、『王妃の館』大劇場初日の「やられたらやり返チュー」に湧いたどよめきと拍手、『AM』東京前楽会総見での会席みんなでの「あっきー!!!」の掛け声、『神クラ』東京公演のある日の楽屋入り待ちで「来週からもっと寒くなりますよ」と、脅かすのではなくただ正しい情報をあらかじめお教えするので防寒に努めてくださいねというつもりで言ったのに「やだぁ」とタダこねられたこと…ですかね(笑)。ゆるゆるふわふわ平和だなあ。今年も笑顔いっぱいの幸せな一年でした。

 映画は『メッセージ』と『ドリーム』が印象的でした。本はヴォルコシガン・サーガの完結が最大トピックかな。『名誉のかけら』から、あるいは『戦士志願』から、あるいは『自由軌道』から始まるロイス・マクマスター・ビジョルドの一大スペースオペラ・シリーズで、創元SF文庫から刊行されています。『バラヤー内乱』は何度読み返しても本当に萌えて燃える心の1冊です。私はいつどうして出会ったんだったかなあ…とにかく足掛け10年くらい読んできたと思います。

 年明け、仕事始めだよという日に人生初のインフル罹患が発覚して長い冬休みになったり、久々の海外出張があったり、でも海外旅行は行けなかったり、仕事では去年大きな異動をしたのに同じ部署内とはいえまたずいぶんと大きな担当業務の変更があったり、まあまあいろいろありましたがそれでも楽しい一年でした。
 おかげさまで家族も元気で健康で、お友達ともたくさん遊び笑い食べて呑んで語って、新たな出会いもあって、充実していました。
 来年はまたまた台湾遠征もありますし(笑)、南の島にも行きたいし、去年の異動から忙しくて行けていないソシアルダンス教室通いも再開したいし、ウォーキングとラジオ体操を復活させてダイエットにまた励みたいし、宝塚歌劇は引き続き全演目観たいです(今年は無事に達成できました)。おもしろい本や映画にもたくさん出会いたい。豊かに、元気に生きたいです。
 でも年明け早々から『ポー』でまた熱く暴れていたらすみません…(^^;)
 いつも読みに来てくださるみなさま、コメントをくださるみなさま、ありがとうございます。来年もぼちぼち更新ですががんばります、おつきあいいただければ幸いです。みなさまにも実り多き一年となりますようお祈りします。そして世界も少しでも良いように変化しますように。できることはがんばりたいです。なんせ長生きする気満々ですからね!(笑)
 良いお年をお迎えください。




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すごいダイバーシティ小説を読んだ気がする!

2017年12月24日 | 乱読記/書名か行
 ローレル・K・ハミルトン『輝ける王女の帰還』『嘆きの女神の秘密』ともに上下巻(ヴィレッジブックス)

 「妖精王女メリー・ジェントリー」というシリーズタイトルでもっとたくさん書かれているようなのですが、第二弾までで訳出が止まっているようです。おーい、続きは出ないの!? 人気がなかったので翻訳打ち切りなの…?(ToT)
 でもわからないこともないです。私はおもしろく読んだのですが(^^;)。以下、その理由を例によってねちねち語らせていただきます。
 舞台は現代のアメリカ・ロサンジェルスですが、現実とは違った歴史をたどった世界でのお話で、アメリカ合衆国第三代大統領トマス・ジェファーソンによってヨーロッパからの移住が認められた妖精族が、イリノイ州の遺跡の地下に妖精国を築いて人間と共存しながら暮らしている、という設定の世界です。
 ヒロインのメリーは、超自然的な事件の魔力による解決を専門とする探偵事務所の女性探偵。しかしてその正体は、良い妖精の王を伯父に、悪い妖精の女王を伯母に持つ妖精王女、メレディス・ニクエススだったのです…!
 というワケで、適度にファンタジックな設定もありつつミステリーの体裁も取りつつ、基本的にはロマンス小説なんでしょ、と思って読み始めたのですが、なかなかどうして、これがまた、という代物でした。
 まず、ヒロインの一人称なのはいいとして、アバンというか最初のキャッチ―なエピソードを提示したくらいのところで、ある程度設定説明というか、実際の現実の世界とこの物語の世界との違いをうまく説明するくだりが欲しいところなのですが、それがないままに突き進み、あれよあれよと展開して謎また謎が続くので、脱落する読者がかなり出るだろうな、と思われます。なんせ純粋な人間のキャラクターがほぼいなくて、出てくるのはみんななんらかの妖精なので、その常識とか行動倫理とかが人間のものと違いすぎて理解しづらく感情移入もしづらいのです。
 仮にもファンタジーを読もうという者、エルフとかドワーフとかくらいは知識として押さえているとは思いますが、しかしこのお話に出てくる妖精たちの設定って欧米の読者ならまず常識なんでしょうかね? そのあたりの定義とか説明もほぼないので、これまた混乱し脱落する読者が多数かと想像できます。
 妖精、というのはそもそも何を指すのか?とかね。シーとは上級妖精のことなのかな? 良い妖精がシーリーで悪い妖精がアンシーリー、は説明があるからわかるとして、下級妖精のブラウニーってどんなもの?とかゴブリンってそもそも何?とか、小妖精デミ・フェイってティンカー・ベルみたいなああいうの?とかとか、よくわからないままに多数の種族が出てきてみんな反目し合っているのです。何ができて何ができないとされているのか、何が正しいとされているのかがわからないので、読んでいて立ち位置が定まらず不安になるんですね。これはつらい。
 それでも目をつぶって読み進めれば、なんだかんだ言ってヒロインが総モテの逆ハーレム展開になるのでそこはロマンス小説の華、と思えるのですが、スリリングでセクシャルな展開が続くわりには肝心の濡れ場の描写が超あっさりで淡白で、これじゃ萌えないよ!となっちゃうんだと思います。
 かつ、そのセクシャルさがけっこうエグいのです。たとえば日本のTLコミックとかBLには3Pって実はそんなに珍しいモチーフじゃないと思うんですけれど、こうした欧米のロマンス小説にはほぼ出てこないのはやはり、キリスト教的な何かがあるんでしょうかね? イヤ私もほとんどの女性は一夫一婦制というか一対一のおつきあいというかこの世にただひとつの恋みたいなものを理想としていると思っているのでそれはもちろんわかるのですが、でも恋愛ファンタジーって、妄想ってもっと自由なものだとも思ってるんですよ。でも、この作品はさらに自由すぎる気がしました(笑)。
 なんせわりと最初のセクシャル展開が触手だし(笑)。これが本命の相手役かな?と思われるキャラクターとのセックスのあとにはヒロインが「仔犬が産まれるかもしれないわね」とか言うし、小人みたいなものでペットみたいだったキャラクターとも結局やるこたやるし、最初こそプライバシーにこだわってふたりと同時になんて冗談じゃない絶対無理とか言っていたのにいつのまにか三人同衾全然OK、みたいになってるし…
 これはけっこうついていけない、となる人が多いと思うんですよね。過激すぎるというか…もったいないし残念ですが、仕方ない気もします。
 それでも私が何をおもしろがったかと言うと、なんかものすごく新時代のダイバーシティを感じたというか、リベラルな多様性故のカオスと新時代のロマンスの香りを嗅ぎ取ったからです。
 ヒロインは様々な種族の混血で、妖精のように不死ではなく、純潔の人間より老化は遅いものの死すべき者であり、魔力も弱く、妖精の宮廷からは差別されて育っています。けれど女王の姪で宮廷の権力争いから暗殺の対象になったりしたので、幼少期に人間界に避難してそこで育ったという設定で、心ある父親から様々な種族の文化や常識や儀礼を学び、誰とでも対話ができるし交渉もできるスキルを持っている、という設定です。だから非力でも、反目し合う妖精たちの隙をぬって味方を作れたり助力を引き出せたり協力態勢が組めたりする。それで次期王座を争う女王の甥に対抗できるのです。
 これってまんま、人間の民族とか文化とか宗教のことだよな、と思うのです。理解し尊重すれば友達になれる、知らないからぶつかる喧嘩になる戦争になる。このヒロインは新時代のヒロインたりえるな、と思ったのです。
 そして恋人がたくさんいるんだけれど、実は全然恋愛していないのもおもしろい。なんせ次期王座を得るのは早く子をなした方、という争いをヒロインがライバルとしているので、妊娠するために恋人たちの中から毎夜相手を変えて順番にいたしているという状態で、彼らもヒロインになんとしても妊娠してもらいたいからお互い嫉妬するとかはない、というかそもそも妖精って多情で精力抜群だけど繁殖力が弱いとされているし嫉妬とか束縛とかがなくて…という、なんかあまりしんみりシリアスにならない世界でのお話なのです。だからロマンチックでないとも言えちゃうのですね。でもそれもまたおもしろいと私は思うのです。
 でもなー、アンケート結果とかが悪かったのかなー、どうも続きが出てないようなんだよなー、それも含めて商売だからなー、残念です。こういうことがあるから、完結してから読もうってなるんだけど、でもそうやって売れないと途中で終わっちゃうんですよね…悲しい…

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『タカラヅカスペシャル2017 ジュテーム・レビュー』

2017年12月23日 | 観劇記/タイトルた行
 梅田芸術劇場、2017年12月21日14時(初日)。

 日本初のレビュー『モン・パリ』誕生90周年を記念して、レビューに焦点を当て、また今年の公演を振り返るコーナーなどバラエティ豊かな構成。監修/石田昌也、構成・演出/中村一徳、藤井大介、齋藤吉正、音楽/吉田優子、西村耕次、鞍富真一、手島恭子、青木朝子、高橋恵。花、月、雪、宙組選抜メンバーに専科を加えての公演。

 去年はライビュでやや寂しい思いをしたので(イヤなかなか楽しかったけれど、結局見たいところが映らないわけだし!)、今年はなんとか出かけてきました。ちなみに一昨年の感想はこちら。弾丸日帰り遠征で、これで今年の観劇納めでした。
 というワケで主に贔屓ばっかり見てきたので、そういう感想になってしまって申し訳ない。真ん中はそのうち映像で見ますね…

 オープニングは各組の今年の公演を振り返る映像から。幕が落ちて引かれて、出演者全員で板付きチョンパ。トップコンビやイシちゃん、二番手スターさんが何を着ていたかは記憶がなく…その他はピンクの燕尾でした。スカステニュースのお稽古場映像で見たとおりに、下手端からわかば、りく、あっきー、あきらと並んでいて「ふおおおお」という感じでした。全員で『ザ・レビューⅢ』より「ボンジュール宝塚」。
 イシちゃんの「PARFUM DE PARIS」にトップ娘役四人が絡んで、まずはゆりかちゃんの「シャンソン・ド・パリ」。ここで早速バックダンサーとしての出番なのですが、振りがかなりおもろかったですよ尚すみれ先生の振り付けですがどうしたことですかね!? みつるにマギーにちなつ愛りくとまあまあ上級生が揃ってるんですけど、ラジオ体操みたいな幼稚園のお遊戯みたいな、腕を胸の前でグルグル回して屈んで伸びてパッと開く、みたいな振りがツボすぎました。
 続いてだいもんが「パリの太陽」を明るく爽やかに。大空さんのショーとかでも聞いたことがあったな、好きな歌で嬉しい! 珠城さんが「メモアール・ド・バリ」で、紳士的で優しい雰囲気。みりおが二番手四人を従えて『ウィ・ウィ・パリ』より「楽しいわがパリ」、そして全員で『華麗なる千拍子』から「幸福を売る人」で客席降り。私は一階センターブロックやや下手寄りにいたので、下手通路をあっきーが降りてきたときにはたぎりました! 中通路を折れてさらに下手に行っちゃったんですけどね(^^;)。わかばが近くて、ニコニコしてくれました。また戻り際にあきらとアイコンタクトしてタイミング合わせて戻っていくというレアなあっきーが見られて、満足でございました。
 オープニング・トークは、イシちゃんとトップ四人が(途中で先にみりおが抜けましたが)パリ縛りであることやパリに行ったことがあるかどうか、みたいな話を軽く。珠城さんだけが行ったことがなくて、パリを舞台にした『AfO』も上演したけれど自分は田舎のガスコーニュ出身だったしと言い訳し、自分も田舎出身なので…と言っていましたがイシちゃんもゆりかもたいがい田舎の出だからその話題はやめておいたら、と思ったら特に拾われずスルーで安心しました。就任順ではゆりかが最下ですが学年順では珠城さんが最下なので、以後いじられ役に回ることになったようですね。愛しい。
 組コーナーは花組から、ブルーのスーツとワンピース、トップコンビは金の衣装にブルーの差し色。『雪花抄』から『ハンナ』の2曲、『金砂』、『EXCITER!!』、そしてキキがいないのでちなつセンターでの『MY HERO』、カレーちゃんにしろきみちゃんと華ちゃんで『はいからさん』、『邪馬台国』そして『Sante!!』で盛り上がってシメ、でしたかね。
 月組は黄緑っぽいグリーンで。やはり『グラホ』の歌はなくて、カルーセルから『長崎しぐれ坂』と来て、ちゃぴとわかばくらげさくさくかれんちゃんという激ラブリーな「もし私が女の子なら」、『瑠璃刻』からみやちゃんとれいこが歌い継いで、最近すぎる気もするありちゃんの『Arkadia』、としゆりわかばの『クリタカ』、『鳳凰伝』そして『AfO』でシメ。
 雪組はピンクで、『ドラS』から。きーちゃんの「S! S!!」がゆうみちゃんとはまた違っていて可愛かったです。そしてだいもんの台詞入りで『琥珀』、色気がヤバい…「セ・ラ・ヴィ」を挟んで咲ちゃんの『ネモ』キタコレ感もたまりませんでした。あーさとみちるちゃんも続いて、その後はなぎしょの『幕末』、ひとこの『NW!』、そして『ひかり路』、『SV』だったかな。
 なので宙組は黄色だよな、レモン色かなひよこ色かなと思っていたらほとんどオレンジ色でしたね。『ビバフェス』のあといきなりゆりかが「愛の賛歌」を歌うので、FNSもあったけどこれが実質的なトップデビューで持ち歌がないトップはつらいなオイと思いましたよ…よく考えたら巴里祭ってことだったんでしょうけれど。キキちゃんもシャンソンを歌い、続く『パーシャルタイムトラベル』では公演時はずんちゃん主演作でまどかヒロイン、って感じだったのがもはやトップ娘役のまどかに花を添える相手役のずんちゃん、みたくなっているのがツボでした。そして愛ちゃんをセンターにあきりくで『A Motion』主題歌。まぁ様がいなくてもがんばっております!と胸アツでした。そして『王妃の館』のあとゆりかまどかで『神土地』ありさラッダの歌を…! いろいろな意味で泣けましたよたぎりましたよ!! シメは『クラビジュ』。
 続いて専科三人が赤いラテンの衣装で「シャンパーニュ」、カワイコちゃん揃いのエイトシャルマンがたまらん!
 そして一幕ラストはタカスペの華、トップコンビ・シャッフル! まずはゆりかエリックにちゃぴクリスティーヌの「Home」でしたが、ここのちゃぴがめっかわでした! そしてだいもんヴァルモンとゆきメルトゥイユの「あなたがいたから」、色気と不倫感がすんごかったですアレはヤバい! 珠城さんときーちゃんで明るく爽やかに『パリ空』で口直し、みりおとまどかで『アデュー・マルセイユ』と、ここはもうちょっとザッツ・デュエットな選曲が良かったけれど他になかったのかな…そしてそのまま「ジュテーム」の四組デュエダンになるのですが、今度はみりおちゃび、珠城さんゆきちゃんという同期コンビにだいもんまどか、ゆりかきーちゃんというのも目新しくてときめき、最後は正カップルに戻ってのキメ!で、大興奮のうちに幕となりました。

 二幕はイシちゃんが『ラ・ヴィオレテラ』より「夢の花すみれ」を歌って始まり、そのまま「ブギウギ巴里」、「ボン・ビアン・パリ」。あっきーは黒燕尾でレビューの紳士の歌手。みつるの「ファイン・ロマンス」、専科四人で「ビギン・ザ・ビギン」のあと、「水に流して」で男役群舞。二列目センターがゆりあきシンメで「はわわわわ」となりましたよね…!
 続いてせーこセンターでパステルの組カラードレスの娘役ちゃんが勢揃いして「ラ・ベルたからづか」。咲ちゃんが歌い継いで、「タカラジェンヌに栄光あれ」が愛ちゃんセンターでちなつなぎしょが両脇に立ち、そうよねうちの三番手さんですもんね上級生別格スターを従えますよねと思っていたら交互にセンターを回し始めたので私は怒り心頭でした。プログラムでもれいこと愛ちゃんのいるページになぎしょを置いたことは解せません。明確に明示されているのは各組二番手スターまでだけれど、月組の三番手がれいこで宙組の三番手が愛ちゃんであることは(そして今回は出ていないけれど星組の三番手がかいちゃんであることは)確定していると思うのですよ。でも花と雪はそうじゃない。あきらちなつマイティの扱いには細心の注意が払われていますし(博多座の役替わりには驚いたけれどね…!)、雪組に至ってはあーさなんでしょ暴雪風はなぎしょじゃなくてあーさの場面だったじゃんそれを見越して様子見てんでしょ?と私は思ったんですけどどうなんでしょう? ちぎちゃん時代は彩彩ダブル三番手でよかったのでしょうが、だいもん体制になって咲ちゃんが二番手になって、なぎしょは番手を外れて別格スターになったんじゃないの? 番手って当人にとっては上がっていくものであり、組織としては下級生に向けて流れて路線を組んでいくものでしょう? 大空さんみたいな逆転とか、一時のまゆえりとかみりだいとかの同期並びはあくまで例外なんであってさ…
 「パレード・タカラヅカ」でもみやちゃんカレーちゃんのシンメというのは…と慄きました。同じ二番手スターでも最上級生と最下じゃん、カレーちゃんはまだ二番手として公演していないじゃん。てかみやちゃんにはもっと敬意が払われ場面が与えられてしかるべきなのではあるまいか…
 「ハロー・タカラヅカ」はあきらにれいことずんちゃん。「タカラジェンヌに乾杯!」はキキちゃんにあーさとありちゃん。そして二番手四人を中心に全員で「TAKARAZUKA FOREVER」。というわけでいわゆる『シトラス』オープニングなどでよく見る組カラー衣装でしたが、ずんちゃん以下のそら、あーちゃん、もえこがブルーを着ていて引っかかりました。パープルの数が足りなかったのかもしれないし、東京公演で参加していない星組の分の色も揃えたかったのかもしれないけれど、ずんちゃんが濃い青のお衣装ですごい特別なスターさんに見えちゃう気がしたし、デリカシーがないなと思いましたよ…(ToT)
 MCは新企画で、二番手スターがレポーターとして客席に行って観客をひとり選び、トップスターと有名な台詞の掛け合いをするというもの。なかなか楽しかったです。初回はカレーちゃんレポーターで、みりおと『ミーマイ』の「私は一生結婚なんかしないで死んじゃうんだから!」「俺もそうさ」でした。
 そしてゆりかが娘役に囲まれて「レビュー、明日への希望」を歌い、だいもんが若手男役に囲まれて「夢人」を歌い(とにかく上手い…!)、トップ娘役四人の眼福耳福の「白い花がほほえむ」になり、珠城さんが『ザ・レビューⅡ』より「Who Can I Turn To」を歌うと四組デュエダンになってあっきーはなんとかがりりちゃんとのカップルでした。ここの娘役は他にべーちゃん、わかば、ひらめで誰と組むことになっても見たことないので嬉しい!とワクワクしていましたが、優しげでホントよかったわー!!
 そしてみりおの「愛の旅立ち」となり、イシちゃんが「UNO」を歌って(私はこれだけが知らない歌でした。『ザ・レビュースコープ』より、とのこと)、フィナーレは白燕尾で「モン・パリ」「すみれの花咲く頃」、アンコールに「アイ・ラブ・レビュー」でした。

 往年のレビューの名曲とパリにちなむ作品縛り、というコンセプトがわかりやすく、オーソドックスで上品なタカスペだったと思います。一曲たっぷり歌うことも多かったので、数年前にあった、スターが数小節ずつ歌っては入れ替わるような慌ただしさもなくてよかったです。
 ただ、お稽古は大変でしょうが歌だけでなく、がっつり踊る場面もひとつくらい欲しいかも。各組その年の公演のショーの名場面をひとつ再現するとかね。
 あと、これまたお稽古は大変でしょうが、スターの組み合わせももっと多彩でいいと思う。各組二番手スターとトップ娘役のシャッフルや別格スターと三番手のシャッフルとかでがっつり絡ませるとか、喜ばれると思うのですよ。
 それから、今回のメンバーはシンプルに新公主演経験者で揃えているのだと思いますが(なのでれんこんを出してやってくれよー!)、こういうときに宙組の娘役の育て方の下手さが露呈しますよね。ありさとゆうりちゃんが卒業してるからせーことららたんしかいないって…べーちゃんやわかば、ひらめとか、これくらいの学年の娘役さんでないと出せない魅力があるのよ育てなきゃダメなのよ!(>_<)
 私は寒い笑いが苦手なのでパロディーコーナーはなくてもいいけど、なきゃないで寂しくはありましたね(^_^;)。今年は各組とも本公演が悲劇と喜劇両方だったので、おもしろく仕上がったろうなと思うと少し残念。見たかったですよ、まどかオリガに「このレンブラント、超ワタシ好み〜!」とか言われてひるむゆりかルイ14世とか、鬘を回す成金ラスプー愛ちゃんとか、ずんちゃん戸川くんがエルミタージュツアー中に急にキレて「あんたたち貴族にはリストラの不安なんかわからないんだ!」とか言ってあっきーコンスタンチンを殴って、りくクレヨンが血相変えて立ち上がるとか。りんきらアレクサンドラがコソ泥して下田夫妻に説教されるとか、「美しいものを書くことには意義がある」とか言ってせーこ早見くんが小説に書こうとするとか。キキの役がないんだけどさ(^_^;)。
 まあでもとにかく目が足りなくて、あわあわしているうちに終わってしまいましたが、複数回観るなんて贅沢はできず、ライビュも仕事で見に行けなかったので、記憶にしがみついて反芻していきたいです。宙組は来年は東京公演で出られませんしね。ニュースでたくさん映りますように!(><)




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劇団メリーゴーランド『Tri-anGle』

2017年12月21日 | 観劇記/タイトルた行
 神楽坂THE GLEE,2017年12月20日19時。

 中部ヨーロッパの、昼でも暗い深い森の奥。打ち捨てられたような小屋に、ふたつの人影がやってくる。第一王子の誘拐計画、やがてもうひとりの謎の人物もやってきて、事態は予想もつかない展開に…
 脚本・演出/平野華子、俵ゆり、作曲/内海治夫。女性だけでオリジナル・ミュージカルを発表し続けている劇団の特別公演。

 前回公演の感想はこちら
 今回は第2部のショー・タイムが過去のショー作品からの歌とダンス、そして同人音楽サークルson voyageの『Dispute desang~Gardienの悲劇~』のスペシャルバージョンという、豪華三本立てメリクリ幕の内弁当!みたいな公演でした。
 斎桐真くんに加えて月夜見翔くんの新加入もあって、第1部のミュージカル・プレイは男役三人の例によっての密室芝居。三人でトライアングルで神器のトライアングルが出て来るというベタさ、ふたりの王子と隣国との戦争と取り替え子というモチーフ、タイプが違う三人の絵面の良さとキャラ立ちも素晴らしく、あれよあれよといううちにお話が転がって、今回も大満足でした。
 次こそもう少し大きい舞台での本公演が観たいです! 確実にできることが広がっていますよね、期待しています。

 ショーナンバーでは私が新参ファン故知らない歌もありましたが、妃桜みおんちゃんの超絶歌唱力を堪能し、清花紗海ちゃんのキラキラルリルリ力にアテられウィンクまでいただき、はわわわわとなりました。さらに特別企画パートが、いわゆるオペラのコンサート版のような、でも十分音楽劇として成立しているかのような出来で、これまたキャラ立ちと世界観が素晴らしくまたメリゴオリジナルにはまずない悲劇性が素晴らしく(笑)、堪能しました。これまたもっと大きな舞台でちゃんとやればいいのに観たいよそこらのバウ公演より全然ちゃんとしているよ!とコーフンしました。でもトークはただの漫才なんだよね…羽良さんの全快と復帰を心よりお祈りしています。



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スティーグ・ラーソン『ミレニアム 1』上下巻(ハヤカワミステリ文庫)

2017年12月17日 | 乱読記/書名ま行
 月刊誌「ミレニアム」の発行責任者ミカエルは、大物実業家の違法行為を暴く記事を発表した。だが名誉棄損で有罪になる。そんな折、大企業グループの前会長から、およそ40年前、彼の一族が住む孤島で兄の孫娘が失踪した事件を調査してほしいと依頼される。ミカエルは受諾するが…

 映画化もされているスウェーデン・ミステリーで、いつか読もうと思っていて手を束ねていたのですが、文庫が出揃ったようなので読み始めました。全6巻だそうですね。というか続く構想もあったのに作家が急逝しているんだとか? ひー、ちゃんとオチてるんでしょうね!?
 また、私の中ではどういうわけか、これまたイメージだけで実はちゃんと見たことがないんだけれど『Xファイル』(この表記でいいのかもわからん…)と似たような作品なのかと思っていて、猟奇的な、あるいは超常現象すら絡むような犯罪というか事件を解決するようなコンビもの…というイメージを抱いていました。それは結局正しいのだろうか…? 物語を序盤を読む分には、なんの話になるのかさっぱりわからないというか、このミカエルが主人公でエリカが相棒なの?それにしては…と不思議な思いで読み進めました。
 上巻の巻末にある訳者あとがきでやっと概要がなんとなくわかり、そのときにはリスベットというキャラクターにもう惹かれていたので、未だミカエルと邂逅していないような状態でしたが、そこからは信じて楽しく読みました。とりあえず第2部、第3部も楽しみです。
 執筆に関しては「パートナーである女性の協力を得て」とありますが、彼女の影響はかなり大きいのではないでしょうか。推理小説が扱う題材として猟奇事件、かつ性犯罪が絡むものは決して珍しくないし、探偵役に女性キャラクターが配されることも最近は多くなってきましたが、この作品に関して言えばリスベットはもちろんミカエルの在り方の特異さが際立っていると思いました。
 だって男性作家が、「美しくセクシーだが賢いとはいえない典型的な女性キャラクターの男性版としてミカエルを描」くことなんて、かつそれを明言することなんて、なかなかないことだと思うのですよ。そしてリスベットが「男性的」な部分を請け負っているんだけれど、もちろん単なる男女役割逆転だけではないところがいいんだと思うのです。
 ミカエルのこの単純さ、気の良さ、人好きのするところは美点です。でも彼自身は男社会では苦労するんだろうなあ、事実男友達がいなさそうですし。でもそれを苦にしていなくて、女とゲイの同僚の間で自分にできる仕事をして楽しく生きてそれなりに幸せそうという、かなり変わった男性だけれど、決してファンタジーだとは思いません。こういう像がもっと描かれるといいと思うし、こういう人がもっと増えるといいと思います。親友で共同経営者で人妻のエリカとつかず離れずセックスしつつも恋人ではなくつきあっている、というのもなんかすごくわかる気がするし、ある種の納得ができました。
 彼が囚われて裸にされて吊るされたところにリスベットが助けに来るところなんて、完全に単なるパロディですよね。そこまでさせる必要はない、でも立場が逆ならそういう場面があってなんら不自然と思われなかったことでしょう。このサービス場面(笑)の在り方に、私は本当にこの小説の新しさを感じました。もちろん男性でも性犯罪の被害者たりえる、ということを訴えるためにも必要だった場面なのかもしれませんが、きっと多分違うと思う。でもそんな作者の発想の柔らかさが愛しいです。
 リスベットの謎というか過去というかはまだあまり明かされていませんが、くれぐれも彼女が、この先恋を知ってただの普通のよくある女になってしまうことのないよう祈っています。束縛とか嫉妬とか詮索とかするリスベットとか、ヤダわー。まあすでにエリカをそういう女性に描いていないので大丈夫かとは思いますが。
 早く続きを買ってきたいです。お正月休みには読めるかな?


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