東京宝塚劇場、2012年8月11日ソワレ、18日ソワレ、21日ソワレ、23日ソワレ(新人公演)。
新生月組お披露目公演。
星組版の感想はこちら、雪組版の感想はこちら、外部版の感想はこちら。
フランス版来日公演は10月かな? 観に行く予定です。
まさおロミオを2回、みりおロミオを1回観ました。
とにかく楽曲が文句なく素晴らしいですし、演出もどんどんブラッシュアップされている感じがしました。
ここが足りないとかここがいらない、ここがおかしいというようなことを感じずに観ていられる、ストレスのない舞台なので、楽しく感情移入し、楽しく泣いて観られる公演です。
まあ普遍的すぎる物語でもありますしね。
なので主にキャストの感想を。
まさおロミオは…聞いてはいましたが本当にキラッキラで、初見時はその幼さに仰天しました。
たんぽぽを手に「いつか」を歌うロミオは恋に恋する少年…ですが、ホントに恋がなんだか知ってるのボク?って感じでとにかく可愛らしい。
「世界の王」でもモンタギュー一族の若者のリーダー、一家の総領息子というよりは、みんなに可愛がられている末っ子感がハンパなく、これはこれで新しいロミオ像だなあ…と衝撃的でした。
ちゃぴのジュリエットが歳相応の、現実的なところもしっかりしたところもある「ごく普通の少女」に見えただけに、そんなきちんとした女の子が、恋の熱にただ浮かされて「結婚しよっ!」とか言っちゃう少年に引きずられて、「なんですって!?」と聞き返しながらも、次の瞬間には同調している…そんな「純粋な恋の恐ろしさ」をまざまざと見せ付けられた気がしました。
これもまた、『ロミジュリ』の物語のひとつの形ですよね。
だからロミオが、マーキューシオを殺したティボルトに激情のあまり復讐してしまうくだりが、歴代ロミオの中で一番納得しやすかったです。
逆に言うと「僕は怖い」はとても唐突に感じました。こんなに子供で、世界がまったきものだとまだ信じていられるようなまっすぐさ、多幸感にあふれたロミオに、死の影を感じ取ることなんてできないんじゃないのかなあ、と…
まさおが歌が上手くて低い音もよく出ているだけに余計に、不思議な違和感を感じました。
でもそういうところもみんなひっくるめて、おもしろかったです。
ベンヴォーリオにジュリエットの死を告げられて叫ぶ「嘘だ!」なんて台詞もとてもよかった。
ラストに愛に見守られてジュリエットとはしゃぎながら踊りまわるくだりの、ジュリエットの「捕まえてごらんなさい」ふうの動きと、逃げられて「なんだよ、もう!」みたいなプンプン、の仕草がまたたまらん。
素敵なロミオでした。
対するみりおティボルトは…私には精彩を欠いて見えました。
キタさんほどじゃなくてもいいけれど、まずティボルトにしてはいかにも小柄で、キャピュレットの若者のリーダー、には見えなかったのが気になりました。
そしてギラギラ差が足りないというか、スネている感じが足りないというか…だからみりおは正統派なヒーロー、いかにも主人公然としたキャラクターがニンなタイプの役者なんだなあ、と思いました。
『スカピン』のショーヴランは悪くない悪役っぷりだったと思うんだけれど、何故なんだろうなあ…
なのでみりおは圧倒的にロミオがよかった、はまり役だった。
そしてまさおはロミオも良かったけれどティボルトも良かった。
演目としてはだから、みりおロミオにまさおティボルトのパターンのほうが落ち着きがよく見えましたが、それはやっぱり問題だと思うし、新生月組のこのトップスター構造とか役替わりありきの演目企画とかがやっぱり引っかかるなあとは思いました。
みりおロミオは…「いつか」のアンニュイで内省的な感じ、これでは確かにモンタギューの中でも浮いていただろう、と思わせられる特別感が素晴らしかった。
そんな、性格的なものなのかなんなのか、何故か実年齢より早く大人になってしまったところのある青年が、ジュリエットとの出会いによって恋を知り、歳相応の状態にやっとなって、突っ走ってしまう幸福感と、それゆえに巻き起こる悲劇…という物語の構造がとてもよく浮き彫りになっていたと思いました。
対するまさおティボルトは、わかりやすくアンチヒーローです。乱暴者で周りが扱いかねている感じ、確かに喧嘩っ早いけどそれは義侠心ゆえのものでもあって本当はけっこう純真である感じ、でもそれがなかなか周りに理解されていない感じ…そういったあり方がとてもよく出ていました。
みやちゃんのマーキューシオは、私は好きです。
狂気が足りないと見る向きもあるかもしれませんが、私はこれくらいの崩れ方に留めておいてくれた方が、ロミオの友達にちゃんと見えるし、いいなと思ったのです。死に際の歌や演技も良かったです。
マギーのベンヴォーリオは…泣きの芝居歌で聞かせた「どうやって伝えよう」がさすがに良かった。でもなんかキャラクターとしては中途半端に見えたかなあ…兄貴分なのか粗忽者なのか思慮深いタイプなのか心配性なのか…よくわからなかった。
越リュウのキャピュレット卿の現役感は色っぽく、すーちゃんのキャピュレット卿夫人は健闘していたけれど歌がやはりギリギリだったかな…
驚いたのはモンタギュー卿夫人のあーちゃんで、もっと聖母ふうの役作りでくるかと思っていましたが、どっしりとしたおばさまっぷり、歌もとても低い音が出ていて聞かせてくれました。
歌といえば抜擢に近いかもしれない大公もさすが素晴らしかったです。
道化ふうに作ってきた乳母もさすが歌では泣かせました。
ゆうきくんの愛はとても柔らかく見えました。たまきちの死は健闘していたけれど、この世のものならぬシャープさとか冷たさとかはニンじゃなかったかな…
あ、あちょうピーターの「ハイ!」が可愛くて、毎回笑いを取っていたのも印象的でした。
フィナーレは…もっと普通にしてください…
ヤングでヒップな振り付けとかは寒くなりがちなんでやめてください…
大階段の紫スーツの組長のブロマイド発売してください…
でもパレードからラストの「GO!!」は良かったです。
新公は、仮面舞踏会から始まるのでなんとも難しいところではありますが…
たまきちのロミオはのびやかで明朗で、屈託がなくて、優しく温かな人柄、ニンがよく出ていました。
最初はものすごく緊張しているように見えましたが、だんだんエンジンかかってきたかな。
咲妃みゆちゃんは歌がしっかりしていて好感を持ちました。物怖じしていない感じも素晴らしい。メイクはこれからもっと上手くなるのでは…
ゆうきくんのティボルトは私にはみりおティボルトと同じ方向性に見え、これまた暗かったり斜に構えている感じが上手くないタイプなのかなと思ったり。
晴音アキちゃんの乳母は歌に期待していたのですが、むしろ演技が良かった。「エメ」に入る前のジュリエットとのやりとりに泣かされました。
輝月ゆうまくんのベンヴォーヘオが色っぽくて、長身だけれど年上感はなくて、たまきちロミオに情愛を抱いている感じが漂っていて、ゲイゲイしくてよかったトヨコのベンヴォーリオ以来のベンロミときめきを感じてしまいました。
「エメ」カゲソロのゆめちゃんの美声が素晴らしかったこと、ピーターの麗奈ゆうのお人形のような美形っぷりが素晴らしかったことも印象的でした。
みくちゃんのキャピュレット卿夫人がまた大人っぽくてよかったです。歌、もっと聴きたかったなー。
ちなっちゃんの死の怪しい表情も素敵でした。
新生月組お披露目公演。
星組版の感想はこちら、雪組版の感想はこちら、外部版の感想はこちら。
フランス版来日公演は10月かな? 観に行く予定です。
まさおロミオを2回、みりおロミオを1回観ました。
とにかく楽曲が文句なく素晴らしいですし、演出もどんどんブラッシュアップされている感じがしました。
ここが足りないとかここがいらない、ここがおかしいというようなことを感じずに観ていられる、ストレスのない舞台なので、楽しく感情移入し、楽しく泣いて観られる公演です。
まあ普遍的すぎる物語でもありますしね。
なので主にキャストの感想を。
まさおロミオは…聞いてはいましたが本当にキラッキラで、初見時はその幼さに仰天しました。
たんぽぽを手に「いつか」を歌うロミオは恋に恋する少年…ですが、ホントに恋がなんだか知ってるのボク?って感じでとにかく可愛らしい。
「世界の王」でもモンタギュー一族の若者のリーダー、一家の総領息子というよりは、みんなに可愛がられている末っ子感がハンパなく、これはこれで新しいロミオ像だなあ…と衝撃的でした。
ちゃぴのジュリエットが歳相応の、現実的なところもしっかりしたところもある「ごく普通の少女」に見えただけに、そんなきちんとした女の子が、恋の熱にただ浮かされて「結婚しよっ!」とか言っちゃう少年に引きずられて、「なんですって!?」と聞き返しながらも、次の瞬間には同調している…そんな「純粋な恋の恐ろしさ」をまざまざと見せ付けられた気がしました。
これもまた、『ロミジュリ』の物語のひとつの形ですよね。
だからロミオが、マーキューシオを殺したティボルトに激情のあまり復讐してしまうくだりが、歴代ロミオの中で一番納得しやすかったです。
逆に言うと「僕は怖い」はとても唐突に感じました。こんなに子供で、世界がまったきものだとまだ信じていられるようなまっすぐさ、多幸感にあふれたロミオに、死の影を感じ取ることなんてできないんじゃないのかなあ、と…
まさおが歌が上手くて低い音もよく出ているだけに余計に、不思議な違和感を感じました。
でもそういうところもみんなひっくるめて、おもしろかったです。
ベンヴォーリオにジュリエットの死を告げられて叫ぶ「嘘だ!」なんて台詞もとてもよかった。
ラストに愛に見守られてジュリエットとはしゃぎながら踊りまわるくだりの、ジュリエットの「捕まえてごらんなさい」ふうの動きと、逃げられて「なんだよ、もう!」みたいなプンプン、の仕草がまたたまらん。
素敵なロミオでした。
対するみりおティボルトは…私には精彩を欠いて見えました。
キタさんほどじゃなくてもいいけれど、まずティボルトにしてはいかにも小柄で、キャピュレットの若者のリーダー、には見えなかったのが気になりました。
そしてギラギラ差が足りないというか、スネている感じが足りないというか…だからみりおは正統派なヒーロー、いかにも主人公然としたキャラクターがニンなタイプの役者なんだなあ、と思いました。
『スカピン』のショーヴランは悪くない悪役っぷりだったと思うんだけれど、何故なんだろうなあ…
なのでみりおは圧倒的にロミオがよかった、はまり役だった。
そしてまさおはロミオも良かったけれどティボルトも良かった。
演目としてはだから、みりおロミオにまさおティボルトのパターンのほうが落ち着きがよく見えましたが、それはやっぱり問題だと思うし、新生月組のこのトップスター構造とか役替わりありきの演目企画とかがやっぱり引っかかるなあとは思いました。
みりおロミオは…「いつか」のアンニュイで内省的な感じ、これでは確かにモンタギューの中でも浮いていただろう、と思わせられる特別感が素晴らしかった。
そんな、性格的なものなのかなんなのか、何故か実年齢より早く大人になってしまったところのある青年が、ジュリエットとの出会いによって恋を知り、歳相応の状態にやっとなって、突っ走ってしまう幸福感と、それゆえに巻き起こる悲劇…という物語の構造がとてもよく浮き彫りになっていたと思いました。
対するまさおティボルトは、わかりやすくアンチヒーローです。乱暴者で周りが扱いかねている感じ、確かに喧嘩っ早いけどそれは義侠心ゆえのものでもあって本当はけっこう純真である感じ、でもそれがなかなか周りに理解されていない感じ…そういったあり方がとてもよく出ていました。
みやちゃんのマーキューシオは、私は好きです。
狂気が足りないと見る向きもあるかもしれませんが、私はこれくらいの崩れ方に留めておいてくれた方が、ロミオの友達にちゃんと見えるし、いいなと思ったのです。死に際の歌や演技も良かったです。
マギーのベンヴォーリオは…泣きの芝居歌で聞かせた「どうやって伝えよう」がさすがに良かった。でもなんかキャラクターとしては中途半端に見えたかなあ…兄貴分なのか粗忽者なのか思慮深いタイプなのか心配性なのか…よくわからなかった。
越リュウのキャピュレット卿の現役感は色っぽく、すーちゃんのキャピュレット卿夫人は健闘していたけれど歌がやはりギリギリだったかな…
驚いたのはモンタギュー卿夫人のあーちゃんで、もっと聖母ふうの役作りでくるかと思っていましたが、どっしりとしたおばさまっぷり、歌もとても低い音が出ていて聞かせてくれました。
歌といえば抜擢に近いかもしれない大公もさすが素晴らしかったです。
道化ふうに作ってきた乳母もさすが歌では泣かせました。
ゆうきくんの愛はとても柔らかく見えました。たまきちの死は健闘していたけれど、この世のものならぬシャープさとか冷たさとかはニンじゃなかったかな…
あ、あちょうピーターの「ハイ!」が可愛くて、毎回笑いを取っていたのも印象的でした。
フィナーレは…もっと普通にしてください…
ヤングでヒップな振り付けとかは寒くなりがちなんでやめてください…
大階段の紫スーツの組長のブロマイド発売してください…
でもパレードからラストの「GO!!」は良かったです。
新公は、仮面舞踏会から始まるのでなんとも難しいところではありますが…
たまきちのロミオはのびやかで明朗で、屈託がなくて、優しく温かな人柄、ニンがよく出ていました。
最初はものすごく緊張しているように見えましたが、だんだんエンジンかかってきたかな。
咲妃みゆちゃんは歌がしっかりしていて好感を持ちました。物怖じしていない感じも素晴らしい。メイクはこれからもっと上手くなるのでは…
ゆうきくんのティボルトは私にはみりおティボルトと同じ方向性に見え、これまた暗かったり斜に構えている感じが上手くないタイプなのかなと思ったり。
晴音アキちゃんの乳母は歌に期待していたのですが、むしろ演技が良かった。「エメ」に入る前のジュリエットとのやりとりに泣かされました。
輝月ゆうまくんのベンヴォーヘオが色っぽくて、長身だけれど年上感はなくて、たまきちロミオに情愛を抱いている感じが漂っていて、ゲイゲイしくてよかったトヨコのベンヴォーリオ以来のベンロミときめきを感じてしまいました。
「エメ」カゲソロのゆめちゃんの美声が素晴らしかったこと、ピーターの麗奈ゆうのお人形のような美形っぷりが素晴らしかったことも印象的でした。
みくちゃんのキャピュレット卿夫人がまた大人っぽくてよかったです。歌、もっと聴きたかったなー。
ちなっちゃんの死の怪しい表情も素敵でした。