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経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

緊縮速報・中長期試算の読みがたい税収と今後の目標

2024年01月28日 | 経済(主なもの)
 2024年冬版の中長期の経済財政の試算が公表された。今回の特徴は、2023年度から2024年度にかけての基礎的財政収支の緊縮幅がGDP比2.1%と抑えられていることだ。これは、2024年度に3.2兆円の定額減税などが行われるためである。あとは、例によって、実際の税収が、政府の控えめな見積りより、どれだけ伸びるかで緊縮幅が決まるが、今年は見通すのが難しくなっている。

 2023年度の国の税収は11月分まで出ており、累計の前年比が-7.2%と異様に少ない。名目成長率が高く、大きな減税もないことを踏まえると不自然で、2022年度の税収が多めだったことから、収納年度にズレがあるようだ。そこで、2021年度の税収をベースに、マクロ数字を使って予想すると、税収の上ブレにより、財政収支は、2023年度がGDP比1.0%、2024年度が1.3%、上方にシフトすると見ている。

 これにより、2025年度に基礎的財政収支をゼロにする財政再建の目標は、楽に達成されるわけだが、政府の試算であっても、目標までGDP比-0.2%しかなく、財政支出を物価上昇率より抑制することは難しくないので、目標には届くと思われる。むしろ、論点は、税収の上ブレによって、2024年度限りとされた定額減税を続けても、目標に届くので、2025年度も続けるのか、あるいは、少子化対策などで再分配をするのかになろう。

 いずれにせよ、永らく目標とされてきた基礎的財政収支が達成されると、次に何を目標にするのかが焦点となる。これからも、ひたすら緊縮を進めていくのだろうか。財政は、どんどん健全になって行っても、社会は、少子化が加速して、破綻へと向っている。目標が達成されたとき、財政は、一体、何のためにあるのかという根源的な問いに答を出していかなければならなくなるのである。

(図)



(今日までの日経)
 中国、余る住宅1.5億人分。米IT、終わらぬ人員削減 コロナ下大量採用の反動。米経済、軟着陸軌道に。韓国1.4%成長 25年ぶり日本下回る公算。


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