経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

4/28の日経

2021年04月29日 | 今日の日経
 3月の商業動態・小売業は、前月比+1.2の104.4と高めの伸びを見せ、1-3月期が前期比+0.4の102.2となった。消費増税後コロナ前のピークが2020年1月の102.2だったから、モノの消費については、コロナ禍を克服している。特に、自動車、機械器具の水準が高く、消費増税の駆け込み期並みである。衣服は3月に大きく伸びたものの、コロナ前にはまだ差がある。感染予防の制約の中で、消費は健闘している。

 さて、新型コロナの感染確認数は、大阪がようやく横ばいとなり、東京が速度は鈍りつつも増加が止まらない。緊急事態宣言が出され、人流を減らす作戦が取られたが、昨夏は人流が減らなくとも、飲食店の営業規制で収束しているので、人流は間接的指標と考えられる。本質がいかに会食を減らすかにあるなら、「4人以下、20時まで、マスクを脱着しつつ、アルコール抜きならOK」として、「会食を控えて」としない理由が分からない。

 作戦により、大手百貨店では、物販は閉め、食堂は開くという対応になったが、買い物が会食より危険なのだろうか。東京では、感染は20代に多く男性が多いが、意外に性差が少なく、多人数の飲み会だけでなく、少人数の食事での感染も疑われる。変異株の感染力が強いとなれば、職場では、テレワークは無論、お昼の孤食黙食の徹底、来客へのお茶無用、マスクなし会話厳禁、マスクでも会話は15分内など、行為に着目して予防を図りたいものだ。

(図) 



(今日までの日経)
 米の富裕層増税、10年で160兆円 バイデン政権が格差是正に新構想、子育て・教育に支援策。60年超原発、再稼働へ。「子ども庁」へ政府3案。病床の使用率、10府県50%超。緊急事態初日の繁華街、人出3~4割減。経済教室・消費回復へ賃金デフレ脱却。

※米国は景気回復期の後押しと子育て・教育の支援か。日本がしないといけないことだね。

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続少子化論・結婚をあきらめさせる社会とは

2021年04月25日 | 社会保障
 2030年には男性の3割、女性の2割が非婚となる。その背景には、未婚男性が妻により仕事も家事も求め、未婚女性も男性に学歴・職業・経済力を求める傾向が高まっており、強い結婚意欲を持つ未婚者は減る傾向に変化してきたことがある。結婚へのハードルが高まっているのだ。松田茂樹先生の新著『[続]少子化論』は、非婚化の原因をデータに基づいて丁寧に分析し、具体的な政策提言をしている。

 男性の非婚化については、雇用の問題があり、無職や非正規のみならず、年収300万円以下の正規でも結婚が難しい。一方、女性については、非正規の結婚難は、経済力ではなく、出会いの少なさによるとする。非正規の職場には経済力ある男性が少ないためだ。他方、仕事と子育ての両立が困難だからという説に関しては、非正規の女性の結婚の出現率が低いことから否定的である。また、仕事重視の価値観は、男女とも結婚に強い影響を与える。

 ここから導かれる少子化対策は、若者の雇用の改善だ。経済力をつけるとともに、出会いの機会も用意されることになる。他方、仕事重視で結婚をしない自由も認めざるを得ない。そうなると、結婚を望む人には、望まない人の分も含めて、次世代を残してもらえるようにしなければ、少子化を克服して社会を持続可能にすることができない。ここからは、多子世帯やひとり親世帯への手厚い支援が必要とされる。

………
 日本の少子化対策は、両立支援を重点としてきたが、十分な成果を上げることができないでいる。そこでは、非正規の女性の希望をかなえようという観点が乏しかった。それは、非正規では、育児休業給付も、乳幼児保育も利用しがたい現実に端的に現れている。少子化対策と言いながら、女性が働くことに価値を見出しても、女性の子育てそのものの社会的価値を十分に認めてこなかったためである。

 例えば、年金の負担を衡平なものにするためには、子供のない人には2倍の保険料を払ってもらわなければならない。なぜなら、通常の保険料は親の扶養に充てられ、本人が老後に受け取る年金は、子育てという投資で担保されるからだ。子供を持たないのなら、2倍の保険料で子供の代わりに貯蓄をしておかなければ、次世代に負担をかけてしまう。子育てには、普通に思われているより遥かに大きな社会的価値がある。

 したがって、非正規の女性が仕事をやめて乳幼児の子育てをする場合でも、十分な給付を受けられ、生活の心配なく乗り切れるようにするくらいは当然ではないか。デフレ経済によって、生活を保障できるだけの経済力を持つ若い男性が減ったのだから、制度が補完しなければ、両立以外を望む女性の選択の自由は確保されず、少子化は進むことになる。最近、「こども庁」が議論されているようだが、そこに非正規の女性の観点はあるのだろうか。(具体策は「財源なしで大規模な乳幼児給付を行う方法」を参照)

………
 社人研の出生動向基本調査では、調査を追うごとに、女性の予定ライフコースで「非婚就業コース」が増大している。これを理想とする女性がほとんど増えていないにもかかわらずである。「結局、結婚できずに働き続けるのだろう」という女性のあきらめの気持ちが表れているように思える。そして、理想のコースは、専業主婦+再就職コースが過半数であり続けている。少子化で衰亡の道を歩む日本は、結婚をあきらめさせる社会でもある。最新の第16回調査は今年の実施だ。この傾向は更に明らかとなろう。


(今日までの日経)
 緊急事態を適用 4都府県に まん延防止地域も拡大。日本、温暖化ガス13年度比46%減 2030年目標。米は増税前に徴税強化を。

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4/21の日経

2021年04月21日 | 今日の日経
 大阪は、「マスクで会食」を推し進めていたが、感染を押し止めることができず、緊急事態宣言に追い込まれてしまった。年末の第3波での失敗を繰り返した形である。いくら言われても飲み会をやめられない人は一定割合いる。「マスクで会食」は、そうした人たちにマスクをさせるより、言われれば会食を控える協力的な人たちに、「マスクをすれば大丈夫」と思わせて、会食を許す結果になっているのかもしれない。

 「自粛疲れ」と一口に言われるが、感染拡大や営業規制に「忖度」して会食そのものを控えるのではなく、要請に従って、昼間や20時までに会食をするように適応し、会食が増えてきていると思われる。リスクある行為を明確にせず、「不要不急の外出自粛」といった「忖度」に頼るようでは、不安に慣れた今では効果が上がらないと思われる。リスク・コミュニケーションの在り方には反省が必要であろう。

 さて、3月の日銀・実質輸出は前月比+3.4となり、1-3月期の平均は112.2に達した。この水準は、輸出が最盛期で景気のピークだった2018年4-6月期に匹敵する高さである。1-3月期は輸入も増えているので、GDPを押し上げることにはならないものの、コロナ禍と消費増税の後遺症で内需が低迷する中、景気を支える役割を果たしており、幸運な巡り合わせと言える。これに安心せず、次の手を準備しておきたい。

(図)



(今日までの日経)
 大阪、大型商業施設も休業。大阪、緊急事態要請へ。「まん防」効果薄く 人出減でも感染拡大。中国、結婚減 ピークの6割。ワクチン全員分、9月末までに確保。

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会食に関する感染防止策への疑問

2021年04月18日 | 経済
 感染確認数が日に1200人にもなった大阪は、増加率こそ鈍ってきたものの、未だ1週間で1.37倍のハイペースで伸びており、3度目の緊急事態宣言も危ぶまれる状況だ。金曜にマンボウの再拡大が決定されて、埼玉・神奈川・千葉・愛知も対象とされたが、先行した大阪がこの状況では、先行きが心配だ。東京は、緩やかながら増加率が上がっている。マンボウを始めて1週間が経過し、効果か見えてくる週明けからが注目される。

………
 新型コロナは、ある意味、分かりやすい感染症で、会食に比例する。初めに気がついたのは、東京の第1波の4月で、緊急事態宣言の効果が出るより先に感染が減り始めたことだ。都知事の「夜の街自粛」で潮が引いたように人が減ったためと解釈するのが自然だった。そして、夏の第2波が飲食店の営業規制で収まったことで、会食こそが感染の最大のリスク行為であると確信するようになった。

 そんな認識だったので、忘年会シーズン前の11月に政府が「マスクで会食」を言い出したことには危惧を覚えた。これは、感染症を専門にする沖縄の高山義浩医師も同じ見方だった。案の定、12月には感染が急拡大し、2度目の緊急事態宣言に至ったわけである。そんな失敗策だったが、再び登場したのが、大阪の4月のマンボウ対策であり、未だに抑え込むことができないでいる。

 理屈で言って、マスクなしで15分話をすれば濃厚接触者になるのだから、食う度にマスクを外しつつ1時間も過ごしたら、リスクがあると考えざるを得ない。政府は、「5つの場面」として、休憩室や更衣室でマスクを外すのも注意の対象にしていることを踏まえれば、アクリル板と換気で十分に防げるのなら、明確な根拠が必要だと思う。そもそも、4人以下に限るのは、防ぎ切れないからではないのか。

 そんな中、都知事は、「東京に来ないで、買い物は3日に1回に」を求めているようだが、どのようなリスク行為の防止に結びついているのか判然としない。通勤電車やレジ待ちがリスクというわけではなかろう。むしろ、自粛を強化するなら、4人以下で20時までをOKにしている会食を締めるべきではないか。全面的な自粛が求められないのなら、2人だけ、30分以内といった制限の仕方もあると思う。変異株の感染力が強いならなおさらだ。 

 若者に感染が多いことに関して、若者を非難する向きもあるが、人ではなく、行為を対象にすべきである。若者とて、マスクをしていない者はほとんどいない。問題は、やはり会食だ。所帯持ちは家に帰って話ができるが、独身の若者はそうではない。そんな寂しさを汲みつつ、我慢を求める必要がある。若者は予防が足りないとするだけでは、きまじめな若者から反感を招くし、会食の問題は若者だけではない。

(図)


………
 飲食店の営業規制を早々と解除した大阪は感染の蔓延に苦しみ、愛知も解除した途端に急増し、福岡も少しラグをおいて増えだしている。一方、宮城は営業規制をかけて減少させることに成功した。会食こそが問題という状況証拠は積み重なっている。こうして見ると、営業規制は、繁華街を抱える大都市では、ワクチン接種が普及するまで外せないのかもしれない。終わりは見えているのだが、まだコロナとの戦いは続く。


(今日までの日経)
 日米首脳会談 「中国」「脱炭素」米が問う覚悟。コロナ下 売れる高級品。半導体不足、耐えるトヨタ。埼玉・神奈川・千葉・愛知、「まん延防止」適用へ。「財政赤字は悪」今は昔。TSMC独走、世界のリスクに。

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4/15の日経

2021年04月15日 | 今日の日経
 2月の機械受注は、民需(除く船電)が前月比-8.5%の低下とだった。製造業は堅調に推移していて、消費増税後水準から上をうかがう状況にあり、非製造業も大きく下げたが、この3か月程で均してみれば、コロナ禍後のレベルを保つ。驚いたのは、外需の大幅な伸びであった。大型案件も然ることながら、世界経済の回復ぶりを反映している。今後も、輸出を牽引役に設備投資も上向くものと思われる。

(図)



(今日までの日経)
 1人10万円給付、高所得層は貯蓄 大半。 福島第1 処理水の海洋放出決定。大阪府 感染1000人超。 子ども庁、党公約に。 米消費者物価 伸び加速。中国輸出入とも最高。ワクチン高齢者接種開始。

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不運の重なりと幸運の意味

2021年04月11日 | 経済
 悲劇は不運が重なったときに起こる。重ならずに済んだ場合が幸運なのだ。NHKメルトダウン取材班による『福島第一原発事故の真実』を読むにつけ、改めて、そう思わざるを得ない。そして、重なった一つひとつについて、これを防げたならばと考えてしまう。10年を経て明らかにされた真実は、献身的な現場の踏ん張りにもかかわらず、ベントも注水もできず、わずかにできたことが汚染やデブリを加えてしまうという過酷さである。現実とは、かくも厳しいものなのか。

………
 『事故の真実』には、身につまされるような教訓がいくつもある。結果の重さを思えば、教訓と言うのが辛いほどだ。小さなリスクを避けたために、大きなリスクを招いてしまう、一気に情報が押し寄せ、最重要の情報を認識できなくなってしまう、対応が現場に集中し、トップの指揮は現場を疲弊させるだけに終始してしまう等々、日本では特に弱点になりがちと感じさせられるものも多い。 

 現場が情報と対策を一編にやり、トップは容喙するだけになるのは、現場が強いからこそであり、弱いと、そうなりようもない。現場が強いのなら、トップは、現場にさせるタスクの範囲を決め、補給や予備の投入を考え、情報の総合と分析に力を注がないといけない。現場を超える情報と兵力がなければ、単に前任者が同じ立場で注文をつけるようなもので、現場の邪魔になるだけだ。

………
 金曜にマンボウの拡大が決まった。新型コロナは、会食が最大のリスク行為である。大阪府は、緊急事態宣言の解除後、すぐに大阪市外の飲食店の営業規制をやめてしまい、市外から市内、府外へと感染が拡がった。今回、対象になった京都府は遅れて急増した。対象外の奈良県の増加も著しい。愛知県も、営業規制を終えてから増え始めた。会食のシーズンに規制をやめることを重ねたがゆえの失敗であった。 

 他方、宣言の解除が3週間遅かった東京都は、その前から緩やかに増え、トレンドが変わらない。神奈川県は東京都と同様のトレンドにあり、埼玉県と千葉県は、未だ安定している。しかし、感染の水準が上がり、12月に加速したとき並みになったこともあり、東京はマンボウを選択した。4月に入れば、会食の圧力は弱まってくる。昨年も、4/14頃がピークだったから、これからの収束に期待したい。

………
 そんな中、景気は強まっている。3月の景気ウォッチャーは、現状判断の「水準」で見ても、雇用がコロナ禍前の40台を回復した。企業も、製造業は昨年8月以来の高さである。当然、「方向性」となれば、もっと高く、雇用と企業は50の節目を超え、家計を含む合計でも49.0ともう一歩のところに来た。むろん、この背景には、輸出の好調さがある。鉱工業生産の4月の予測の非常な高さが象徴している。

 米国では、ワクチン接種が進み、急速にポストコロナへと向かっている。しかも、回復期に手を緩めず、重ねて景気対策を打ち、成長の巡航速度まで一気に持ち上げる戦略だ。成長が低いままでは、コロナ禍での債務がしこってしまう。財政出動に伴う金利上昇も懸念されるが、法人税率の引き上げを掲げ、見通しを示して不安を鎮めるようにもしている。戦略なき日本も、おこぼれの恩恵に与っているわけである。

(図)


………
 福島では不運が重なったが、コロナでは国民のマスク習慣が幸運だった。ただし、会食は幸運の穴であり、予防の要になっている。景気は、やらずもがなの消費増税をして、コロナ禍になる巡り合わせとなったが、足下では、輸出に恵まれ、外需まで失う不運に遭わずに済んでいる。不運を重ねないためには、場当たり的な対応に引きずり回されず、本質を探りつつ戦略的に対応する余裕を持つことが大切だ。


(今日までの日経)
 膨れる高リスク資産。東京・京都・沖縄「まん延防止」。大阪、夜の人出2割減。出産支援策競う世界 出生数、コロナで急減。子ども庁へ府省部局統合。派遣料金、高値を維持。

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4/8の日経

2021年04月08日 | 今日の日経
 2月の景気動向指数は、先行指数が+1.2と更に水準を上げ、2018年の中頃の景気の最盛期並みになってきた。一致指数は、前月比-1.3と低下したが、前月に伸びた反動もあり、足踏みの状況にある。一致指数の中心を占める鉱工業生産の予測は、3月もマイナスだが、4月には高い伸びが見込まれる。大阪の感染拡大で再び不安感が増しているが、ワクチン接種で先行する米国の景気回復に引かれて、景気は基調を強めている。

(図)



(今日までの日経)
 東芝、英ファンドが2兆円買収提案。成長率、米中が突出 財政出動・ワクチンで上方修正。個人事業主に識別番号。工作機械など7業種で改善 4~6月、産業天気図。

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スガノミクス・マンボウと景気の行方

2021年04月04日 | 経済(主なもの)
 今週は、ヤンボウ、マンボウ、景気予報といったところか。景気の基調は強く、2月の商業動態・小売業は102.8と消費増税「後」の最高となり、鉱工業出荷(除く輸送機械)は前月比+2.9の103.7となって、消費増税「前」の水準を取り戻した。そんな中、3月下旬になって、大阪を中心に感染がぶり返し、「まん防」が発動されるに至った。5月には高齢者へのワクチン接種が本格化し、コロナ禍の終わりも見えてきた中、最後の難所にさしかかった。

………
 2月の小売業は、コロナ蔓延による1月の減少の反動もあって、前月比+3.1と大きく伸びた。その水準は、消費増税「後」並みである。構造を見ると、飲食料品は、増税の対象外だったこともあって、増税後も水準を維持し、外食が規制された分、やや高めだったりする。小売業全体は、増税により水準が低下しており、衣服・身の回り品は、コロナ禍の外出自粛の影響を強く受けている。モノに関しては、コロナ禍より消費増税の悪影響が強く残る。

 2月の鉱工業出荷は前月比-1.4となったものの、設備投資の動向を示す資本財(除く輸送機械)は前月比+2.9だった。これで1,2月の前期比は+7.3となったので、景気をリードする設備投資は、前期に続き1-3月期も大きく伸びそうである。ちなみに、3,4月の生産予測が-13.1、+31.5と激しく動いているのは、季節変動の3月のピークが4月にズレ込んだためと考えられ、基調は強いと見るべきだろう。

 雇用については、2月の労働力調査の就業者数は、前月比+3万人と若干の増で、6,697万人だった。コロナ禍前のピークとは、まだ50万人ほど差があるものの、景気が悪くなかった2018年末頃と同じくらいの水準にある。失業率は2.9%と前月から横ばいだった。新規求人倍率は、前月比-0.15の1.88倍となり、2か月連続のマイナスだ。前月からは、求職が増え、求人が減るという形での悪化である。

(図)


………
 首都圏より3週間早く緊急事態宣言が解除された大阪府では、感染確認数が急増している。週に2.2倍のハイペースなので深刻な状況だ。ところが、同時に解除された福岡県では、感染確認数に変化がない。愛知県は、大阪府に遅れての増加となった。おそらく、こうした違いは、飲食店の営業規制を解除した時期の早さによる。大阪では、すぐ解除された大阪市外で感染が拡大して全体に波及した。福岡県では、規制の解除は3/22になってからである。 

 新型コロナは、会食が最大のリスク行為である。会食を増やせば、感染が増える。減らせば、減る。ある意味、単純だ。その点、「マスクで会食」や「外出の自粛」は、リスクとのつながりがボヤけてしまう。会食には季節性があり、3月は意欲が強いので、そこで規制を緩めると、感染増につながる。会食をいかに増やさないか、特に、意欲が強い時期に抑制することが予防のカギとなる。

 首都圏は、規制の解除が遅く、限定的だった。宣言の解除から10日が過ぎ、その結果が出始めているが、緩やかな増加で済んでいる。4月以降の会食の意欲の低下に伴って、落ち着いてくればと願っている。5月には高齢者へのワクチン接種が本格化し、コロナ禍の終わりも見えてくる。最後の難所を越えれば、輸出が先導する景気の基調は強いので、消費増税の悪影響に苦しみつつも、展望が開けてくるだろう。


(今日までの日経)
 「一億総中流」もはや過去。新規感染増、43都道府県に。米雇用復調、91万人増。「まん延防止」大阪・兵庫・宮城。「子ども庁」検討指示 自民に。景気「K字型」鮮明に 3月日銀短観。大阪、時短緩和で感染拡大 解除直後の10倍。

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