経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

アベノミクス・レの字型での回復

2020年05月31日 | 経済(主なもの)
 コロナ禍で4月の経済指標は大きく悪化したが、5月半ば以降、順次、緊急事態宣言が解除されたことで、5月の消費者態度指数は上向きに変わった。谷は深いにしても、底を打って、回復の過程に入っていく。そのスピードは、意外に早く、6月には3月の水準まで戻るのではないか。打撃は大きいものの、実態を冷静に捉えることも必要だろう。そこから先は、消費増税後の成長力が試される。停滞のレの字がメイン・シナリオとなるが、10万円給付金の経済対策がどのくらい効くかにもよる。

………
 4月の商業動態・小売業は前月比-9.4と大きく低下した。落ち込み幅は、3,4月で-14.1にも及び、東日本大震災時より大きいけれども、名目の水準は同じくらいである。業種別では、巣ごもり消費もあって、飲食料品が+1.4だった一方、衣服等が-31.8、自動車-25.3と記録的な低下だった。ただし、これらは、外出自粛が緩和されれば、消費ができないものではないので、戻りは早いと思われる。

 また、当然ながら、4月の鉱工業指数では、消費財生産の前月比が-9.8となり、これだけ絞っても在庫は急増して、その結果、5月の予測も-7.9と一段の下げとなっている。ここで、やや意外なのは、4月の資本財(除く輸送機械)が+0.3、建設財が-1.4と、早くも下げ止まりが見られることだ。5月の予測も、それぞれ+2.8、+1.0となっている。製造業は、コロナ禍での傷は浅いわけだし、消費財にしても、6月以降は、戻りが期待できるのではないか。

 ちなみに、資本財(除く輸送機械)の過去4か月間の低下幅-9.7は、リーマンのときの1/3程でしかなく、東日本大震災直後や野田政権下での景気後退と同レベルである。それらも大変な事態だったし、今回は非製造業の打撃が大きいという事情もあるが、今回のコロナ禍を未曽有の事態として、あまり深刻にならず、過去にも例があるものだと、相対的に見ることも必要と考える。

 そして、雇用については、4月の労働力調査は、就業者数が前月比-107万人と大幅な低下となった。そのうち、女性が-70万人と過半を占める。就業者数の約6,600万人という水準は、約2年前の2018年2月以来となる。こちらも、大きな低下だが、リーマン・ショックを超える過去最大の景気の落ち込みと言われたりすることを思えば、まだ、この程度で止まっていると見ることもできるだろう。

 そして、5月の消費者態度指数は、多少とは言え、反転を見せた。雇用環境は、前月比+1.8とわずかにプラスで、水準は16.8と、とんでもなく低いにしても、リーマンショック時の最低16.5をわずかながら上回った。リーマンの際は、毎月、3ポイント程の緩やかな回復であったが、今回は、落ち込みが急であったことと同様、戻りも足早に戻ってほしいし、その可能性は十分にあると考える。

(図)


………
 今後、全住民に10万円という大実験が始まる。日経にもあるように、多くが貯蓄に回って、景気回復への効果は減殺されると見るのが普通だが、かつてなかった規模でもあり、どんな展開になるか、期待せずに見守りたい。むろん、しょせんは一回限りであり、成長のためには、後に続く再分配制度の整備が大事になってくる。再分配の乏しさゆえ、安い人件費、内需の低迷で、電子化が進まなかった日本だが、転機になるのだろうか。


(今日までの日経)
 1位食品、2位貯蓄…生活防衛色濃く 10万円の使い道。年金改革法成立、高齢者就労後押し 受給開始の上限「75歳」。自民WT、9月入学見送り提言。 休業者 最多の600万人 4月経済統計、急激に悪化。企業支援、官民で94兆円 2次補正決定 「真水」は33兆円。

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5/27の日経

2020年05月27日 | 今日の日経
 昨日の日経・矢野寿彦さんの「日本はうまくいったのか 解除後もモヤモヤ続くわけ」は、なかなか面白かったね。野村克也監督流に言えば「勝ちに不思議の勝ちあり」というところだ。それでも、今後を占うために、仮説を立てれば、次のようなものだろう。新型コロナに対しては、早期かつ広範なマスクの着用は、大きな効果があったと考えるものだ。

 クラスターは、屋形船(宴会)、ライブハウス、スポーツジムといったマスクをしないシチュエーションで多く発生し、「密」で危険度が高く見えるにもかかわらず、マスクを着けて会話をしない満員電車やパチンコ屋では起こっていない。マスクをしないところにクラスターが限られるから、クラスター対策が極めて有効に働く。

 その対策を早期に発見した日本の専門家は非常に有能だった。東京の感染爆発を防いだのは「夜の街禁止令」で、これが決定的な効果を発揮し、局面転換に成功したと考えられる。その後の強い自粛は、より効果を高めて、感染の減少を加速させたという位置づけになるのだろうと思われる。

 こうして見れば、マスクを着けている状況に変わりはないので、強い自粛の緩和は、あまり心配せずに済むのではないか。心がけるべきは、マスクをしないシチュエーションの監視や、マスクでは防ぎ切れない濃厚さのある院内感染の防止であろう。こうした想定を置いているので、経済は緩やかに回復していけると見ている。

(図)



(今日までの日経)
 2次補正案、「真水」1次補正超え 実効性が焦点。雇用保険、財政強化カギ 失業増で積立金枯渇の恐れ 保険料上げ議論も。緊急事態 全面解除 1カ月半ぶり、経済再開に軸足。「超過死亡」200人以上か 必要な統計公表遅く。

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1-3月期GDP1次・緊急対策から構造調整

2020年05月24日 | 経済
 1-3月期GDPは実質年率-3.4%と大幅なマイナス成長となったが、事前の予想ほどではなかった。消費総合指数は、1,2月が上方修正されたことで、3月が前月比-3.5と落ち込んだにもかかわらず、1-3月期は-0.8という結果だった。4,5月は、コロナ禍の強い自粛によって、更に落ちることは確実にせよ、その後、消費をどう持ち上げていくかが課題になる。それには、消費を抑圧してきた構造の調整が必要になる。

………
 1-3月期は、コロナ禍によって民間消費が-0.7と大きく下げた。ただ、10-12月期が消費増税で-2.9も下げたことからすると、大したものに見えなくなってしまう。その前の7-9月期に駆け込みによる盛り上がりがさしてないから、なおさらである。むろん、次の4-6月期は、強い自粛によって、一段の下げになるのは必定だが、回復の道が自粛の緩和だけでは済まないことには注意が必要だ。

 つまり、消費を拡大するには、コロナ禍で落ち込んだ水準から、消費税10%というブレーキに逆らいながら、押し上げる必要がある。これは、単に、コロナ禍で失われた所得を一時的に補うだけでなく、財政によるインフレ圧力を長く続けなければならないことを意味する。それには、思いつきのように補正予算を繰り返すのではなく、制度的な裏付けを整えながら進める必要がある。

 例えば、失業の拡大で雇用保険の赤字が続いたとしても、赤字に不安を感じて絞ろうとは考えないものだ。保険という長期的な裏付けがあるから、緊縮をしようとは思わないわけである。今後、コロナ禍からの回復には、低所得層への社会保険料と連動させた給付型税額控除がいる。もっとも、コロナ禍が一服したあとは、いつのまにか緊縮に移り、消費は低い水準で停滞というのが標準シナリオである。

(図)


………
 明日にも、全国で緊急事態が解除されるようである。4,5月を底として、6月は回復に向かい、すぐに3月の水準までは戻り、緩やかに1,2月の水準へと至るだろう。問題は、その辺りの停滞をどう跳ね返すかだ。国民一人ひとりへの直接給付の道がないことが、コロナ禍の経済対策のネックになった反省を生かし、社会的インフラを整えたいものである。必要な制度改革は、的外れな9月入学ではない。 


(今日までの日経)
 5都道県解除へ 緊急事態、政府あすにも可否判断。日米欧景況感、じわり改善 5月PMI、好況の目安遠く。
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5/21の日経

2020年05月21日 | 今日の日経
 東京の感染確認数は、今日が18人以下なら、7日後方移動平均が1ケタになる。残念ながら、緊急事態宣言は続くようだが、解除の基準に照らせば、目前である。そうなると、4,5月を底に、今後は上向くことになる。とりあえずは、3月の水準へ戻ると考えられるので、これを確かめることが必要だ。その意味で、すっかり速報性を失ってしまった3月の消費総合指数を早く見たいものである。

 昨日公表された3月の機械受注は概ね横バイで、4-6月期の見通しも若干の減である。まだコロナ禍が十分に反映されていないとも言えるが、数字が出る前から、ソフトデータを基に、あまり悲観してもいけないと思う。もっとも、3密の危険度の高い「宴会」は元に戻らないかもしれない。家に帰らず仕事関係で飲むという日本的文化は廃れてきていたが、夜は家族で過ごすのが当たり前の社会に変わるわけである。

(図)



(今日までの日経)
 関西3府県の緊急事態宣言解除へ 首都圏など継続。中小企業にも資本注入 数百社に500億円規模。検察庁法案、今国会は断念。東南ア、経済減速が鮮明。ネット診療 世界で拡大。

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収束が見えたから、後知恵といこう

2020年05月17日 | 経済
 やれやれ、東京の感染確認数は、下図のとおり、金曜にヒト桁となり、収束が見えた。この間、マスクだ、検査だと、本質から外れたところで大騒ぎし、9月入学の愚策まで飛び出す始末である。そんな的外れな戦略に苦しめられながらも、現場の頑張りで乗り切ってしまうという、とても日本的な展開になった。努力の下での冷徹さの欠如が、この国の特徴であり、それを自覚して次の流行に備えたい。

………
 今回の最大の危機は、保健所が破綻しかけたことだった。オーバーフローを起こして、事実上のトリアージが起こっていたのではないかと思う。医療崩壊には至らないまでも、それを防ぐ前段階の保健所が危機だったわけである。むろん、保健所の機能をいかに支えるかが最重要の戦略だった。しかし、そこに現れたのは、マスクが足りない、検査を増やせの大合唱であり、煽られた不安のために、保健所が更にきつくなる有り様だった。

 日本では、努力を尊ぶあまり、「やってる感」を見せるのに終始して、手持ちの戦力でどこまで戦え、どのくらいの犠牲は覚悟しなければないないかという、厳しい現実を突きつけることができない。とにかく最善を目指してがんばるというのは、現場の底力を生み出す半面、限界を超えると一気に崩壊しかねない怖さがある。リーダーに求められるのは、事の本質を見極め、がんばりの限界を知る冷徹さであって、いっしょに努力することではない。

 感染の第二波に備え、発熱の際に、かかりつけ医に電話やネットで相談し、病状を管理してもらいつつ、肺炎が疑われたら、CTで検査の上、すぐに入院できるシステムを整えなければならないだろう。新型コロナか否かに関わらず、肺炎が重くなる前に十分な処置や治療を受けられることが重要だと思う。PCR検査で陽性を出してもらわないと治療してくれないという不安にとらわれると、検査を求めてさまようことになる。

(図)


………
 今後、自粛が緩和されるにつれ、経済対策が重要になる。この点においても、とにかく大規模というだけで、戦略が見えないために、不安が募ることになる。不況の際のセオリーは、失業者ないし休業者への所得補償である。そのために雇用保険がある。コロナ禍での問題は、保険外の自営業者やパート・アルバイトが大打撃を受けたことで、これに見合いの給付をすることが焦点だった。

 自営業者に「失業手当」を出していれば、失業の期間はもらえるという安心感があり、あとで保険料の形で返してもらうことにすれば、必要のない人はもらわないし、制度の持続性も保てる。しかし、一回限りの給付金をあれこれ出すことにしたので、当座はしのげても、先々の見通しが立たない。何を保障するかの戦略的な考え方が明確でなく、とにかく全力で支援するというだけでは、補給が続かなくなる。

 自営業者にしてみれば、自らの生活保障、従業員の所得保障と来て、賃料の補助があれば、経営の見通しがたつ。ところが、こうして問題を分解して解決するのではなく、「休業要請と補償は一体」という、範囲が画定し難く、答の出ない議論に迷い込んでしまう。加えて、所得保障を給付する社会インフラが海外と比べて劣悪なままだったことが、1人10万円の給付金で13兆円を費やすにもかかわらず、不満が収まらない始末となった。

………
 東京の感染確認数は、5/16に7日移動平均で20人を切った。このペースなら、1週間後にはヒト桁になる。非常事態宣言の解除も近いと考えられる。そこへの到達は、4月末には予想できたことだった。その後、集団感染の発生でペースは乱れたが、影響を抜けたところで、元へ戻った形である。よくぞ、ここまで耐え抜いたと思う。戦略は的外れでも、現場の力で克服してしまう。それは日本の強さでもあり、限界でもある。


(今日までの日経)
 PCR検査、目詰まり深刻 第2波対応にも不安 保健所逼迫。マイナンバー活用、海外と差 10万円給付で注目 情報連携・口座接続で出遅れ。緊急事態宣言39県解除 休業要請緩和、40超の道府県で。

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遅延型9月入学は天下の愚策

2020年05月13日 | 経済
 この国では、政治主導が強まったせいか、思いつきの愚策が横行するようになった。4月入学の問題点は、卒業と入学が米国より半年遅いために、半年の空白を過ごした上で、1学年下の学生と共に入学しなければならないことだ。いわば、留学は1浪を余儀なくさせられるのと同じだから、「国際化の障害」と言えなくもない。

 それで、コロナ禍を機に、更に卒業と入学を半年遅らせて9月にしたら、どうなるか。半年の空白がなくなるだけで、何の問題の解決にもならない。改革に多くの労力を使い、若者の巣立ちが米国より1年遅くなるという大変な社会的犠牲を払って、代償として得られるのは、外国人が日本に来やすくなることくらいである。

 外国人にしかメリットのない改革がグローバル化の正体かと皮肉りたくもなる。本当に必要なのは、繰上型9月卒業であり、日本の高校や大学を半年早く卒業して、米国の同学年と9月に入学できるようにすることだ。できる子にそうした道を作ってやるだけなら、大した労力は必要ない。

 早大の田中愛治先生は、日経で、こうコメント(5/11)している。「米国の小学校は6歳の9月には入学するので現時点でも日本より半年早く教育を受け始め、21歳半で大学を卒業する。入学時期を半年遅れて設定すると、日本は米国よりも1年遅く大学を卒業することになり、今後は永遠に大卒の労働力が1年間分、少ないままに国際競争を強いられ(る)」

 新型コロナの感染者数は、下図のように収束が見えてきた。下らない議論はやめて、今は、休校による学習の遅れをどう取り戻すか、真剣に取り組まなければならない。夏休みや土曜休みの返上で足りなければ、ITを使った家庭学習の底上げなど、コロナ禍の後も身になるような改革に取り組むべきである。

(図)



(今日までの日経)
 「9月入学」課題多く 現場の声聞き、戦略緻密に 早稲田大学総長 田中愛治 目的と大義区別/国際化には他の施策も。9月入学、知事の6割賛成 グローバル化期待。G20、4月入学は日印のみ。2次補正、今国会で 中小の家賃支援/学生救済/雇調金拡充。

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消費急減はアベノミクスで3度目

2020年05月10日 | 経済
 3月の消費は急減したが、その水準は、8%と10%の消費増税直後並みであり、アベノミクスでは3度目の経験となる。今後、4月に、東日本大震災の際の水準まで落ちるかが焦点となろう。他方、日々の感染確認数は低下を続け、月内の収束を見通せるところまできた。したがって、経済は、4月を底として、5月に回復へと変わり得る状況になっている。そのため、4月の深さと5月の速度が注目される。

………
 金曜公表のCTIマクロの実質は、前月比-2.8と急減し、98.0となった。ただし、その水準は、10%消費増税直後の2019年10月98.1や8%消費増税時の2014年5月の98.1と大差がない。つまり、3度目の経験ということになる。ただし、次の4月も、外出自粛の強化のために、更に下がることは間違いなく、大震災の2011年3月の91.7を下回るかが焦点だ。自粛が緩和されれば、4月が底になるだけに、過去にないレベルになるのかが焦点だ。

 CTIの結果を受けて、1-3月期のGDPの消費は、先週、予想していたより少し低くなり、前期比-1.5くらいかなと思う。もっとも、今回のGDP速報は、コロナ禍の異常事態に対応して、特別の推計方法を用いることもあり、なかなか予想は難しい。むろん、GDPが年率-4%もの大きなマイナス成長になるのは避けがたい状況であり、その中で、どのくらいの低下になるかという程度の問題ではあるが。

 さて、新型コロナの感染確認数は、着実に低下して、全国では、7日移動平均で見て130人を割るところまで来た。過去7日間の平均減少率でトレンドを伸ばすと、感染が加速する前の3月中旬のレベルである50人以下には、5/18頃に到達する計算だ。1週間前の東京の「異常値」が抜けた関係で、足元での低下スピードが速まっているため、今後、後ずれが考えられるものの、それでも月内には到達できそうである。

 5/7以降、感染が少ない地域では、既に自粛が緩和され、一部で学校も再開した。今月初めに東京で集団感染が確認された例もあるので、油断はできないにせよ、このまま推移してくれれば、今週の感染状況の検証で、更なる緩和がなされる可能性もある。始めは部分的だろうし、経済の戻りは遅いかも知れないが、果ての知れない状況から抜け出し、回復の過程に入れる意義は大きい。

(図)


………
 コロナ禍は未曽有のものとされるが、東日本大震災から10年と経っていない。この間、財政収支の大幅な完全には成功したが、経済の基礎である消費は増えず、非正規への社会保障の適用拡大は遅々とし、給付の社会インフラは整わないままだった。すべてを財政再建につぎ込み、経済社会が劣後しているのが現実だ。その弱さがタガの外れたような全員に10万円の給付が実現する背景にもなっている。極端は極端を呼ぶのである。


(今日までの日経)
 新興国感染、先進国抜く 1日5万人超え。米失業率14.7%、戦後最悪 4月、雇用は2050万人減。米欧経済 危うい再始動。家賃3分の2、半年間補助。
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5/6の日経

2020年05月06日 | 今日の日経
 全国の感染者数は、順調な減少を見せており、3月中旬のレベルである50人以下になるのは、6/3くらいだ。到達時期が遅れたのは、5/1~5/4にかけて、東京で非常に高い数字が出て、東京の減少傾向が消えたからである。院内感染でまとまった数が出たためと考えられ、その防止が強い自粛の継続以上に重要な課題になっている。これが収まれば、減少は加速して、到達時期も早まることになる。

(図)



(今日までの日経)
 都、協力金を追加支給 1店舗50万円。緊急事態31日まで 期間内解除も。「特定警戒」外は自粛緩和も。

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アベノミクス・悲惨な景況への序幕

2020年05月03日 | 経済(主なもの)
 先週公表された3月の統計は、自粛が強まる前の時期であったから、コロナ禍の序幕を映すに過ぎない。悲惨なのは、まだ数字の出ていない4月以降だ。数字は出ていなくても、酷いことだけは確実という状況である。いまや、経済指標を眺めるより、新型コロナの感染者を数え、自粛の見通しを立てる方が、経済の行方を探る上で必要になっており、それが低下傾向にあることは、せめてもの救いとなっている。

………
 3月の商業動態・小売業は前月比-4.6と大きく低下した。それでも、1-3月期は前期比+1.6である。むろん、10-12月期が消費増税で前期比-6.9となった反動である。他方、GDPの消費に近い消費総合指数は、1,2月平均が前期比-0.3と、消費増税の下で、コロナ禍以前から不振に喘いでおり、3月の商業動態・小売業の低下を踏まえると、1-3月の前期比は-1.3%くらいまで落ちるのではないか。

 設備投資に関しては、鉱工業指数・出荷の資本財(除く輸送機械)の1-3月期の前期比は-0.5、資本財輸送用が-6.6、建設財建築用が-1.0と軒並み減少しており、GDPの設備投資は、10-12月期に-3.5%の大幅なマイナスを記録したにもかかわらず、引き続き落ちることは必至で、-1.0%を超えそうである。さらに、建設財土木用まで前期比-4.8になっている。鉱工業指数・出荷は、コロナ禍の以前から下落して来ていることが痛い。

 雇用については、3月の新規求人倍率は2.26と前月比+0.04となったが、求人が減る中で、それ以上に求職が減ったためである。新規求人数の前年同月比を見ると、3か月連続で大幅に減少しており、産業別では卸小売、飲食宿泊が大きいだけでなく、製造業や建設業でも減っている。影響は、直接、コロナ禍で影響を受けるサービス業にとどまらず、既に広く及んでいるのである。

 先行する意識指標では、4月の消費者態度指数の雇用環境は、3月の前月比-11.6に続き、-12.9と2桁の下落となった。文字どおり墜落状態であり、一気にリーマンショック時の最低記録を破った。非常事態宣言で自粛が強まった4月は、さらに酷い統計数字が出てくることは確実で、5月中の宣言の解除が望み薄となったこともあり、1-3月期の年率-4%近いマイナス成長に続いて、4-6月期のGDPは記録的低下となりそうである。

(図)


………
 今後の感染者数は、どのように推移するのか。疫学の専門家ではないが、トレンドを伸ばすことはできる。過去7日間の平均減少率が続くと仮定すると、全国では、7日間移動平均が3月中旬のレベルである50人以下になるのは、5/27という計算になる。非常事態宣言が1か月程の延長となるのもやむを得まい。もっとも、足下の感染者数は、2週間前の自粛の結果であるので、あと10日程の努力で、確定的な未来となる。

 問題は、5月中旬以降、どのくらい自粛を緩められるかである。東京では、夜の街と週末営業の自粛によって、感染者数の増加は止まったが、平日昼の商業活動を再開して、逆読みの理屈どおり、本当に増えずに済むかには、リスクがある。再開がどれくらい接触率や感染率に影響するのか、確たることが言えなければ、強い自粛の継続による経済的損失も勘案しつつ、政治がリスクを負って判断しなければならない。

 実は、東京は、5/1、5/2と2日続けて160人以上の「異常値」が出たため、予測モデルが壊れてしまった。たまたま院内感染があったという特殊要因なら良いが、今後も時折あるものというなら、低位での安定は見通せなくなる。そして、院内感染が強い自粛によって効果的に防げるものなのかという問題も提起される。こうした難しさを抱える中で、出口に向けた決断をしていかなければならない。


(今日までの日経)
 大阪府、経済再開へ基準 休業要請解除、15日可否判断。緊急事態 1カ月程度延長。中堅に資本支援1兆円。マイナス21%成長予測 4~6月民間平均、戦後最悪に。家計や企業、備え急ぐ 緊急経済対策。米GDP減少、戦後最大に 4~6月、年率40%予測。

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