経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

キシノミクス・春遅く期待の次期

2024年03月31日 | 基本内容
 2月の鉱工業生産は前月比-0.1と、1月の-7.0に続いての低下となった。資本財(除く輸送機械)は1月が-7.3だった上、2月も-3.7と重症だ。消費財、建設財も1月の低下をほとんど取り戻せていない。一応、3,4月は大幅に増加する予測であるが、そのとおりに推移しても、均せば底入れ程度にしかならない。普通に考えれば、景気は悪い。円安に伴う高収益や株高、高い賃上げもあって気分は良いが、まだ実体が伴っていない。 

………
 2月の商業動態・小売業は、前月比+1.7となったが、12月の-1.7が大きく、未だ横ばい圏内である。財の物価は、昨年10月以降、安定しているのだが、物価が上がらなくなったら、小売も伸びなくなってしまった。それでも、1,2月は、各種商業や衣服等が伸びる一方、燃料は下がるといった中身になっている。あとは、生産が制約されている自動車が戻ってくれれば良いというところだ。

 雇用については、人手不足が言われる割に、新規求人倍率は、前月比-0.02の2.26倍と停滞したままである。統計が十分に状況を捉えていない部分もあるかもしれないが、産業別では、飲食宿泊や小売業と比べ、製造業や建設業が不調であり、業種によってまだらになっているのも一因だろう。住宅着工は1,2月がマイナスで底ばいの状況であり、不調が納得できるところもある。

 また、2月の労働力調査は、失業率が2.6%と前月比+0.2の上昇だ。こちらは2年近く横ばいが続く。ただし、2月の雇用者数は、前月比22万人の高めの増加となった。男性も+11万人と久々の高さだ。コロナ後は、女性は順調に増加してきたものの、男性が停滞したままだったが、これが転機となるかどうかである。消費者態度の雇用は、1,2月は尻上がりであり、このままの勢いならいける。なお、消費者態度の3月分は4/9と遅めの公表だ。

 消費者態度や景気ウォッチャーの雇用が上昇する局面では、消費性向が高まる傾向が見られる。今は、その局面で、同様に消費性向が高まるのかも注目点である。むろん、賃上げとともに高まれば、晴れて、景気は悪くないということになる。物価は、1-3月期の東京都区部の総合が前期比+0.4と10-12月期の+0.9より落ち着いてきており、こちらも消費にはプラス材料である。

(図)


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 1-3月期は、外需の関係で早くからマイナス成長が予測され、特に、鉱工業生産は、前期比-4.8といった大幅な低下が避けられない見通しだ。期待は、賃上げと減税がある4-6月期に、加速ができるかどうかになる。あすから新年度に入り、金融政策の正常化をようやく終えて、1-3月期は過去のものとなっていく。今年の春はやや遅かったが、明るい気持ちで過ごしたいものである。


(今日までの日経)
 人手不足映せぬ政府統計。休廃業5万社、進む淘汰。少子化対策の財源、現役の負担重く。米、中国EVの流入阻止。


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