経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

緊縮速報・2024年の緊縮はどうなる

2023年12月24日 | 経済(主なもの)
 7-9月期の資金循環を見る限り、足下で緊縮は進んでいないものの、来年はどうなるのか。基礎になる2024年度予算の税収の見積もりは謎だらけである。高圧経済を唱える人たちもいるが、税収一つ見積るのだって簡単ではない。理屈は立派でも、実践できなければ意味がない。従来の「抜き圧経済」を改めるのも大変で、それさえできなかったことがデフレ経済の理由だったわけである。

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 2024年度予算の税収は69.6兆円で、2.3兆円の定額減税を勘案すれば、72.0兆円である。他方、2022年度決算の税収は71.1兆円だったから、2年間で0.9兆円、+1.2%しか増えないことになる。この間の名目成長率は、2023年度が+5.5%、2024年度が+3.0%である。これからすれば、いかにも少ない。2022年度決算からマクロの数値で伸ばすと、2023年度は74.9兆円、2024年度は78.1兆円の計算で、ギャップは6兆円にもなる。 

 足下の税収は、前年度の伸びの反動で還付が多かったりで進捗が遅れており、今後の税収がマクロの数値どおりに伸びるとは限らない。しかし、マクロ経済をコントロールする上では、マクロの数字で動くと想定して対応すべきだと考える。特に、税収が順調に伸びて、補正予算をやめれば、プライマリーバランスを達成できるところに来ているのだから、なおさらである。

 2024年度予算では、国が2.3兆円、地方が0.9兆円の定額減税を行うが、単年度とされており、2025年度に名目3%成長が続くとすると、2.3兆円の税収増が見込まれ、合わせて5.5兆円の税収増をどう還元するかが課題になる。それをしないと、またぞろ「抜き圧経済」になってしまう。デフレを脱し、名目で成長する経済になると、締めるだけの財政ではなく、いかに使うかの財政が求められる。

(図)


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 10月の人口動態速報が出て、出生は前年同月比-7.7%だった。これだと今年の合計特殊出生率は1.200を割るかも知れない。婚姻も昨年より減っており、少子化は緩むどころか、加速している。日経ですら指摘するように、3.5兆円も積み上げた異次元の少子化対策では、結婚できた正規の子育て支援ばかりで、非正規への結婚支援が欠落している。それを賃上げの促進で誤魔化しているようではラチが開かない。

 税収増の使いどころは、非正規への育児休業給付の実現だろう。それなくして、結婚・出産に踏み切れるはずもない。夫の収入で所得制限をかければ、結婚して子供が増えた分だけ給付が増える形にできるので、成功報酬型の施策になる。EBPMで言えば、これ以上、効率的な施策はあるまい。税収増を温存して人口を崩壊させる政策は、いや、この国は、本音で何を大事にしてしまっているのかをよく考えてほしい。


(今日までの日経)
 社説・この少子化対策で将来に希望が持てるか。政府、来年度の物価3年連続2%超見通し。「子ども3人扶養で大学無償化」賛否の背景は。
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