経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

12/28の日経

2022年12月28日 | 今日の日経
 11月の商業動態・小売業は、前月比-1.2となり、10,11月平均の前期比は+1.2を保っている。もっとも、実質的には-0.5になってしまうわけだが。業別では、物価高に見舞われた飲食料品が前期比+2.9なのに対し、燃料は-4.2と低下している。百貨店などの各種商業は+1.2と回復している一方、衣料等は-0.7と不調が続く。雇用では、求人倍率は2.42倍と今年最高とはなったものの、就業者数は2か月連続の低下になっている。 

(図)



(今日までの日経)
 社長アンケ・世界景気「悪化」4割 国内は「拡大」5割、賃上げ「3%台」。国債市場、ゆがみ消えず。緩和修正でも続かぬ円高 金利差・需給差。NPO「善意」の限界 社会貢献、年収は200万円。米「人口増で成長」岐路 22年0.4%増。フィリピン、中国と火種再び。

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緊縮速報・自然増収はすべて財政再建に

2022年12月25日 | 経済(主なもの)
 7-9月期の資金循環によれば、一般政府の資金過不足は、季節調整値で見て、GDP比-1.5%と一気に正常レベルに戻った。もっとも、季節調整値は振れが大きいので、4四半期の移動平均で見ると、まだ-4.8%ではある。それでも、財政再建は着実に進む。背景には、引き続き、大型の補正予算が行われる一方で、2021,22年度の2年間だけで。公式ベースでも税収が9.4兆円も伸びるという異様なほどの好調さがある。

………
 2023年度の政府予算案が閣議決定され、税収は69.4兆円と見積られている。いつものことだが、少なめである。政府経済見通しでは、名目成長率が2.1%となっているが、税収の伸びは1.5%にとどまる。特に、所得税は2年前の2021年度決算より少ない。政府経済見通しと企業業績見通しを使うシンプルな方法で予測すると、2022年度決算は70.2兆円、2023年度決算は72.2兆円と見込まれ、政府予算案とは2.8兆円もの開きがある。

 しかも、2022年度の10月までの税収実績を予測に入れると、更に1.7兆円も上回るので、政府予算案との開きは、もっと大きくなる可能性が高い。もっとも、政府も上振れを見込んでいるようで、今後、倍増される防衛関係費に、決算剰余金の半分の0.7兆円を充てることを予定している。つまり、今まで補正予算の財源にしていたものを、先取りで使途を決めしまうわけだ。

 これができるのなら、財源がないとして、少子化対策を怠ってきたことは、一体、何だったのか。本コラムは、恒常化している補正予算を使って、少子化対策をすることを、長年、主張してきたが、それは、防衛費で実現されることになる。防衛費と違って、少子化対策は、投入以上の財政上の見返りも期待できるのに、非正規への育児休業給付に必要な0.77兆円の確保すら、他日の話である。

 防衛費については、昨年度まで5.2兆円だったものを、2027年度までに8.9兆円にするのに、増税は1兆円強で済ませ、あとはやり繰りで対応する。税外収入は、2023年度に、外為特会から3.1兆円、財投特会から0.6兆円を確保し、コロナ対策の不要の0.4兆円、大手町の国有財産売却の0.4兆円と合わせて4.6兆円とし、2023年度に使い切れない分は、防衛力強化資金という「基金」に入れる。おそらく、2022,23年度に大きく上振れした税収は、ここに入れて、他には回さないつもりだろう。

(図)


………
 防衛費に充てられるのは、あくまで上振れ分で、大本の成長に伴う税の自然増収は、ほとんどが財政再建に充てられる。国の税収は、2021年度に6.2兆円増え、2022年度は3.2兆円、2023年度は1.9兆円増えると予想される。合わせると11.4兆円で、更なる上振れもあり得る。この間、当初予算の社会保障関係費は、1.2兆円しか増えていないから、ざっくり、10兆円の財政再建になっており、巨額の補正予算や予備費が剥落すれば、これが表に出てくる。地方財政でも、2022,23年度にかけては、臨時財政対策債が4.5兆円も減り、2023年度は、借入金償還を8000億円増やし、減額補正の清算も5000億円追加する。危機的な出生減にあって、少子化対策の財源論が延々と続く一方、財政再建はどんどん進んでいくというのが、この国の姿である。


(今日までの日経)
 硬直財政、成長阻む悪循環 税収伸び、米欧に見劣り。来年度予算案、最大の114兆円決定。学童保育待機1.5万人。150兆円投資 見えぬ具体策 GX基本方針。来年度1.5%成長見通し。国債空売り再燃、緩和策限界。大機・財源論、税収増にも目配りを。介護、負担増の前に効率化を・結城康博。年金、繰り下げ受給へ誘導も・駒村康平。

※再分配しないから成長しない、成長しないから再分配しないの悪循環。教育への財政支出が少ないので、できるだけ教育を受けなくて済むよう、少子化になっている。人への投資を賢いと思わないところが最も硬直的だ。

※経済教室で、小塩先生は年金の適用拡大の難しさを指摘し、駒村先生は触れずじまいだった。厚労省の従来路線では、いつになるか分からないからね。どうやればできるかは、元日にでもお見せするよ。

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12/21の日経

2022年12月21日 | 今日の日経
 10月の人口動態速報は、出生が前年同月比-4.0%だった。これで1-10月期の前年同期比は-4.8%になり、過去最低の合計特殊出生率1.26人まで、首の皮一枚となった。もう、こうなったら、いっそ、過去最低になった方が良いかもしれない。新聞の見出し的に分かりやすく、危機感がストレートに伝わるからだ。1.26人は、人口が維持できる2.06人の61%にしかならない。子世代は、親世代を支えるのに、100/61=1.63で、6割増の損な負担を強いられる。危機的とは、こういう意味である。

(図)



(今日までの日経)
 日銀、異次元緩和を転換。アマゾン、荷量増大で多重下請け生む 配れば配るほどAIの要求が高く。あるべき社会保障改革 支え手増加の勢い 後押しを・小塩隆士。雇用保険料引き上げ、来年1.55%に。訪日客の高額消費急増 百貨店、コロナ前超えも。

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子育て負担の明確化と給付の意味付け

2022年12月18日 | 社会保障
 行動を変えるには、認識を変える必要がある。少子化対策をするのは良いが、戦力の逐次投入をするのではなく、戦略性を持って行うべきだ。例えば、非正規への育児休業給付を実現すれば、出産しても生活費の心配はないという認識が作られ、結婚ができるという行動につながる。対照的に、育児用品に10万円分の支援をするとしても、少しは助かるという意味付けしか与えられなくては、結婚につながらない。

………
 2022年は少子化が激化し、危機的様相を呈している。正しくは、危機は既に起こっているわけだから、危機に備える防衛問題以上に焦眉の急である。それでも、防衛問題と同様、対応に必要な財源の確保で揉めそうであり、東日本大震災のときに、復興の中身より財源の増税で議論が白熱したことが思い起こされる。少子化が緩和すれば、財政的にも投入以上の成果が期待できるという決定的な違いはあるにせよ、意味付けは大事である。

 女性への育児休業給付は、均すと月13.5万円になっており、児童手当が月1.5万円だから、月15万円の生活保障となっている。まずは、非正規の女性にも拡げないと話にならないが、受給できている女性にとっても、やや低い。子ども予算倍増の中で、児童手当の増額も議論されているようだから、平均12か月の育児休業の期間、すなわち、0歳児には+2万円くらいの上乗せがほしい。そうすると、大卒初任給22.5万円の手取り17.6万円に近くなり、出産で働けなくても生活できるという認識が作られ、行動も変わるというものである。

 また、子供を持つかどうかの判断では、教育費をどう賄うかの悩みもある。肝心の0~2歳児の無償化がなされていないが、0歳児への給付が充実すれば、高コストの0歳児の保育を使わずに済み、実質的に無償化となる。そうやって、需要を減らした上で、1,2歳児の無償化を進めるべきだろう。3~5歳児については、年12万円の児童手当があるが、これは、公立の幼稚園の学校教育費12.1万円に、ほぼ相当する。

 小学生については、年12万円の児童手当に対し、公立の学校教育費は、授業料ゼロで6.3万円だ。中学生は、それが13.9万円で、年12万円の児童手当をやや上回る。高校生となると、公立でも28.0万円なのに、児童手当はない。児童手当は、教育費を賄うことを目的とはしないが、少子化を緩和するには、「子供を持つに当たり、教育費の不安はない」とする意味付けが重要だろう。

 大学や専門学校などの高等教育については、親が負担できなくとも、奨学金があるという形が求められる。2017年からは、給付型奨学金の就学支援新制度が始まったものの、4人世帯で年収380万円未満などと対象が狭い。国立大学の授業料でも53.6万円であり、出生率が1.75だった1980年の当時は、今の半分だったことを思えば、第2子は授業料を半減、第3子は免除といった給付を、ボリュームゾーンの世帯にも拡げるべきだろう。

(図)


………
 少子化が激化すると、年金の給付水準は下げざるを得ない。理屈上は、支えてくれる子供を持たない人の年金を減らせば、そうはならないが、社会常識として、受け入れられるものではない。子育ての負担なしに年金を受けることに対しては、子育ての負担を軽くすることでバランスを取ることになる。その負担は、政策的に明確ではないため、まずは、学校に行かせることなどと具体化し、認識の変化を目指しつつ、少子化対策を進める必要があろう。


(今日までの日経)
 投資会社化するニッポン 海外での稼ぎ、GDP比1割。医療費削減 3100億円どまり。自賠責保険料1割下げ。企業規模要件の撤廃を 年金・健保加入巡り提言。米利上げ幅0.5%に縮小。ドイツ、20年超かけ出生率浮上 男女とも柔軟な働き方ができる環境作り。出産・子育て10万円給付の財源確保、来年に議論。中国経済、需要減で再失速。

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12/15の日経

2022年12月15日 | 今日の日経
 10月の機械受注は、民需(除く船電)が前月比+5.4%と3か月ぶりにプラスとなったが、内容が良くない。製造業は前月比-6.4%と2か月連続の減となり、それを非製造業の前月比+14.0%が補う形になっている。製造業で上向きなのは、業務用機械くらいで、非製造業が伸びたのは、情報サービスの飛び跳ねによるものだ。日銀短観も出たが、大企業の製造業が下げ、非製造業が上げていても、コロナ後の対個人サービスと飲食宿泊に負うところが大きい。先行きの低下に見られるとおり、景気は停滞から沈みつつある。

(図)



(今日までの日経)
 米中GDP逆転せず コロナ余波・米規制も重荷。台韓GDP、日本を逆転へ。子育て支援、現金給付厚く 予算倍増めざす。バイト時給、11月3.4%高。防衛増税、27年度までに3.5兆円。中国、ゼロコロナ緩和1週間 感染者急増で人手不足。米消費者物価7.1%上昇 円、一時134円台。装備品、部品「共食い」27年に解消。雇用保険料0.2%上げ。給付型奨学金 中間層にも 子3人以上優先。パート時給50円増要求へ。

※日本も、最盛期には、米国を逆転すると言われたものだ。日本が1997年以降の緊縮で自縛したように、中国はゼロコロナで自らの足を撃つ。少子化が手遅れになるのも同様。国の盛衰とは、そんなものてある。
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7-9月期GDP2次・無力な成長戦略の幻想から飛び立つ日

2022年12月11日 | 経済
 7-9月期GDPの2次速報は、1次から大きな動きはなく、消費が下方修正されて、前期比+0.1とほぼ横ばいになり、代わりに在庫の寄与度が+0.1となった。法人企業統計の結果から上方修正が期待されていた設備投資は変わらずであった。ただし、設備投資は、2021年度の年次推計値の改訂によって、水準が上昇している。これで、コロナ後のキャッチアップで見込める分が消えることとなった。

………
 かねて、本コラムでは、設備投資は需要を見てなされると指摘してきた。具体的には、輸出と住宅投資の動きで、説明ができてしまう。そうすると、今回の補正予算でも7.5兆円という多額が措置された成長戦略とは何なのかとなる。そのままGDPに計上されるだけでも、設備投資が飛び跳ねてしまいそうだが、動きは感じられない。すなわち、設備投資の促進で成長させようという戦略そのものが無力なのだ。これなら、低所得者に再分配して、消費を増やす方が効率が良い。

 下図で分かるように、輸出と住宅の重回帰の予測値は、設備投資とピッタリ重なっている。年次推計前まではギャップがあったが、今回の改訂で重なるようになった。後になって設備投資が予測値に重なって来ることは、実は、ままある。それほど、輸出と住宅、時には公共投資を加えての設備投資の予測は強力だ。成長を確保する能力増強の設備投資は、需要が見込めなければ成り立たないことを示しており、経営的には極めて常識的な出来事でしかない。むしろ、消費増税などで需要を抑制しておいて、成長戦略で設備投資だけを伸ばそうという戦略こそが幻想なのだ。

 こんな幻想の戦略の思想に、日本は、1997年の消費増税で消費を壊して以来、取り憑かれている。この時は、消費の水準を戻すのに3年かかり、2014年の8%増税では、5年かかっても戻らず、そのうちに2019年の10%増税となって、足下の7-9月期2次速報においても、8兆円もギャップがありながら、頭打ちになっている。低所得層に再分配をして消費を増やしつつ、設備投資も促進していくという、至って平凡な戦略こそが求められている。

 まして、再分配の乏しさで、低所得者の社会保険料が重く、国民年金と厚生年金で勤労者への適用が分断され、非正規に押し込めれており、人手不足でも労働力を増やせずにいるのだから、やるべき政策は、社会保険料に連動した再分配なのは明らかだろう。非正規で生活が苦しく、結婚もできず、少子化が激化して、年金の給付水準の低下は不可避の様相だが、勤労者皆保険となれば、浮上させられる。1.1兆円で難なく実現だ。

(図)


………
 でも、幻想からは覚めないだろうな。だって、25年も変えられなかったんだからね。もはや、成長戦略の下のデフレ経済は、「当たり前」になっている。負担の重さ、非正規への押し込め、若い人たちが閉塞感に苛まれ、結婚なんて贅沢品は、たぶん酸っぱいブドウだろうし、希望しないんだとなるのも無理はなく、人口崩壊は呪い呪われた未来と化してきた。YOASOBIのヒット曲『祝福』のフレーズのように、「もう呪縛は解いて、定められたフィクションから飛び出すんだ、飛び立つんだ、… この星に生まれたこと、この世界で生き続けること、その全てを愛せる様に」となる日は果たして来るのだろうか。


(今日までの日経)
 防衛財源、国債を否定。原油、需要不安で売り続く。中国、不動産支援に63兆円。防衛財源、増税で年1兆円強。GDPのコロナ前回復、従来推計より早く。11月の街角景気、4カ月ぶり悪化。米実質賃金上がらぬ理由。中国、経済減速に焦り。防衛財源を別枠管理 財務省方針。

※アベノミクスの2014年度に1兆円の法人減税をしたものを戻すわけか。それで設備投資が増えたとも言えないしね。

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12/7の日経

2022年12月07日 | 今日の日経
 10月の統計局CTIミクロは、総世帯の分布調整値で見ると、名目が前月比-0.1、実質が前月比-0.7であった。ポストコロナになっているはずなのに停滞が続く。実質は、下図で分かるように、10%消費増税で水準を落とし、それが天井になっている。今年に入って、名目では上昇しているが、食料と光熱水道という減らしがたいものの値上がりによるものだ。実質では、教養娯楽、被服履物が増税で大きく水準を落としてから戻っていない。まあ、貧しくなったということだよね。

(図)



(今日までの日経)
 政府、児童手当の拡充検討。医療、高齢者にも負担増。防衛費、5年43兆円。北欧起業圏「自らを再生」。大手企業 納税額、透明化の狙い。

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キシノミクス・低下する消費と生産、課題は再分配

2022年12月04日 | 経済(主なもの)
 資源高と円安に伴う値上げが相次いだことから、実質での消費は低下しており、消費者態度に端的に現れている。賃金が上がるまで耐えるしかないが、他方、生産で陰りが出て来てしまった。欧米の引締めによる減速と、中国のゼロコロナの混乱で、輸出は崩れないだけで御の字であり、成長の牽引は厳しい。

 米国の金利は峠を過ぎ、黒田日銀の粘り勝ちで、異様な円安は15円も戻した。いつの間にか、ターゲットが賃金に変わったようだが、金融緩和が足りないからではなく、財政の抑圧が過ぎて、消費が弱いからだ。生産性格差インフレーションが足りないので、2%目標も達成できない。やはり、いかに消費を増やすかである。

………
 10月の商業動態・小売業は前月比+0.2だったが、10月のCPIの財が前月比+1.0にもなっており、実質ではマイナスである。11月の都区部は前月比+1.3である。物価高に影響され、11月の消費者態度指数は、前月比-1.3の28.6と、3か月連続の低下となり、コロナの蔓延の頃と変わらないくらいに落ちている。旅行支援によって、飲食・宿泊には回復が見られるとされるが、物価高による実質の消費の低迷は大きい。

 消費の背景になる雇用については、10月の労働力調査は、就業者が前月比-7万人、雇用者が-8万人と、横ばい状態であり、コロナ前の水準には達しているものの、増勢は感じられない。10月の新規求人倍率は、前月比+0.06の2.33倍であるが、7月に2.40倍をつけてから、上へ抜けなくなっている。特に、パートは、コロナ前の水準とは、まだ差があるにもかかわらず、伸び悩んでいる。

 そんな中、生産には陰りが見えだした。10月の鉱工業生産は、前月比-2.6と前月に続いての低下となった。経産省の基調判断も「一部に弱さがみられる」と下方修正された。11,12月の予測指数は+3.3,+2.4と上昇することになっているが、それでも、10-12月期は、前期比+0.4にとどまる。資本財出荷(除く輸送機械)も、同様の傾向であり、今後、欧米や中国の景気が不調な中で、水準を保てるか危ぶまれる。

 建設財についても、2か月連続の減であり、11月の高い伸びで10-12月期に+3.0を確保することになっているが、果たしてどうか。7-9月期は、企業の建設投資が伸びたが、これを保てるかがポイントになる。10月の住宅着工は、前月比+1.6%の増加だった。一進一退の状況の下、持ち家は低下し、貸家が補う形である。日本は金融を引き締めていないので、米国のような住宅の低下はないものの、増えてもいない。

(図)


………
 日曜の日経1面トップは、財政による家計の抑圧ぶりだ。特に、若い低所得者にはキツイから、少子化が加速するのも当然である。税収は10月も好調で、筆者のモデルでは、毎月、上方修正され、着地予測が前年比+4.9兆円まで膨らんでいる。物価上昇は、家計には苦しいが、税収を押し上げる。課題は、重くなった社会保険料の負担を軽減する、税還付による再分配にあることは明らかだろう。

 思えば、団塊の世代が30代始めで、出生率が1.75だった1980年には、厚生年金の保険料は今の半分だったし、消費税もない。大学の授業料も半分で、奨学金の返済や子供の教育費の心配も半分だった。今では、余程の支援をしないと、ハードルを乗り越え、結婚や出産をするのは難しくなっている。大したことのない少子化対策で、いくらやってもと思うのは、間尺に合っていないだけである。


(今日までの日経)
 世帯収入、5年で月5万円増 税・社会保障費で相殺。住宅過剰「2割以上」12県で。2次補正、見えぬ効果・使途 28.9兆円、予備費・基金が半分。上場企業 250社が配当上方修正。食品値上げ、12月も145品。米、滞る若者の債務返済。
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