11月の家計調査の結果は、非常に良いものだった。もう少し注目して欲しいね。もっとも、日経夕刊の見出しが「消費支出0.4%減少」では、プロでなければ気づかないだろうが。エコノミストが早々と「御用納め」をしていてはいかんよ。
注目点は、消費支出指数の推移である。前月より1.0%上昇し、97.9ポイントに達した。これはエコカー補助金の駆け込み需要があった9月の水準を上回る。10月の反動減を取り戻したと言っても良い。12/1コラムの家計調査の分析で、11月も期待できるとしていたが、予想通りの結果となった。
大方のエコノミストは、10-12四半期は消費が落ち込むとしているが、12月に、もう少し積み増せば、プラスが望めるところまできた。年末商戦については、「節約疲れ」の様子が見られるので、可能性は十分と考える。10月の子ども手当の支給に伴う所得効果が持続しているのだろう。悪名高い「バラマキ」が助けてくれたわけである。
さて、年末ということで、日経も1年のまとめ記事が多いが、「日本、回復遅れた1年」なんて言って欲しくないね。そうなるのは、6月頃から分かっていたことで、本ブログでは再三にわたり指摘してきた。前年度補正後より10兆円も歳出を削減したのだから、年度後半に「政策効果の反動」が出るのは当たり前で、政策の「結果」どおりと思わなくてはならない。
ここは、「回復を後回して、財政緊縮を達成」と正しく評価しなければならない。自分のしていることを分かっていないんだよね、日本は。円高も天災ではなく、デフレ傾向が背景になっているものだし、鈴木淑夫さんが指摘するように、 「政策息切れ懸念は大きいが、円高の悪影響は明白ではない」(9/30コメント)というのが正しい見方だと思う。
おまけに、米中の回復によって、「景気、来春再浮上も」なんて、どうして言えるのだろう。米国は住宅投資が重荷で回復の足取りは遅いだろうし、中国に至っては失速の恐れがある。FTの「中国の成長モデルは持続不可能と著名経済学者が警鐘」という記事でも読んでみてははいかがか。
日本については、10-12四半期は、大方の予想に反して、踏みとどまりそうである。次の1-3四半期は、財政当局が世間を欺いて骨抜きにした補正予算と、子ども手当の2月支給の効果がどの程度なのかが注目される。来年度予算も「貯蓄投資バランス」の観点からは、緊縮財政になっており、今年から来年へと、財政による経済へのイジメは続く。それも一つの政策だろうが、世間に隠さずに堂々とやってほしいものだ。
輸出を起点に、設備投資にしても、消費にしても、財政のイジメに合いながらも、すんでのところで、景気回復のボールをつなぎ続けてきた。本当に、この1年、日本経済は良くやってくれた。政策はと言えば、緊縮財政を取る一方で、法人減税で税収に穴を空けるという具合で、何もせずに前年と同じことをしておれば良いものを、あえて事態を悪化させるようなことに熱心だ。(法人減税はJMMの北野一さんの12/27論考でも参照されたい)
来年は良い年であってほしいね。それは政策的な愚行に民間経済がどれだけ耐えられるかにかかっている。日本の「雪白の翼」は、まだ失われていない。羽ばたくなら、雲を抜けて、再び大空を舞えるのだ。
(今日の日経)
NTT光回線値下げ。北朝鮮、年1発製造できる能力。人づくりへ総力結集を・中山伸弥。日本、回復遅れた1年、円高で年後半停滞、政策効果の反動も響く、景気来春再浮上も。海外投資家、日本国債保有増やす。介護再び人手不足、製造業に雇用回帰。ベトナム造船大手に政府融資。中国・小型車減税打ち切り。米住宅価格マイナス。ロシア資本流出、経済停滞の影。衣料品、中国依存見直し。半導体・液晶フル稼働。求人広告11月7%増。経済教室・ポスト京都・澤昭裕。
※経済がダメだと人づくりも崩れる。海外の見方は違うようだね。不況のなかの人手不足か、基本内容の「雪白の翼」でも読んでくれ。中国の需要先食いも限界。米国はまだまだ。ロシアは自業自得。中国も曲がり角。国内には明るさ。
注目点は、消費支出指数の推移である。前月より1.0%上昇し、97.9ポイントに達した。これはエコカー補助金の駆け込み需要があった9月の水準を上回る。10月の反動減を取り戻したと言っても良い。12/1コラムの家計調査の分析で、11月も期待できるとしていたが、予想通りの結果となった。
大方のエコノミストは、10-12四半期は消費が落ち込むとしているが、12月に、もう少し積み増せば、プラスが望めるところまできた。年末商戦については、「節約疲れ」の様子が見られるので、可能性は十分と考える。10月の子ども手当の支給に伴う所得効果が持続しているのだろう。悪名高い「バラマキ」が助けてくれたわけである。
さて、年末ということで、日経も1年のまとめ記事が多いが、「日本、回復遅れた1年」なんて言って欲しくないね。そうなるのは、6月頃から分かっていたことで、本ブログでは再三にわたり指摘してきた。前年度補正後より10兆円も歳出を削減したのだから、年度後半に「政策効果の反動」が出るのは当たり前で、政策の「結果」どおりと思わなくてはならない。
ここは、「回復を後回して、財政緊縮を達成」と正しく評価しなければならない。自分のしていることを分かっていないんだよね、日本は。円高も天災ではなく、デフレ傾向が背景になっているものだし、鈴木淑夫さんが指摘するように、 「政策息切れ懸念は大きいが、円高の悪影響は明白ではない」(9/30コメント)というのが正しい見方だと思う。
おまけに、米中の回復によって、「景気、来春再浮上も」なんて、どうして言えるのだろう。米国は住宅投資が重荷で回復の足取りは遅いだろうし、中国に至っては失速の恐れがある。FTの「中国の成長モデルは持続不可能と著名経済学者が警鐘」という記事でも読んでみてははいかがか。
日本については、10-12四半期は、大方の予想に反して、踏みとどまりそうである。次の1-3四半期は、財政当局が世間を欺いて骨抜きにした補正予算と、子ども手当の2月支給の効果がどの程度なのかが注目される。来年度予算も「貯蓄投資バランス」の観点からは、緊縮財政になっており、今年から来年へと、財政による経済へのイジメは続く。それも一つの政策だろうが、世間に隠さずに堂々とやってほしいものだ。
輸出を起点に、設備投資にしても、消費にしても、財政のイジメに合いながらも、すんでのところで、景気回復のボールをつなぎ続けてきた。本当に、この1年、日本経済は良くやってくれた。政策はと言えば、緊縮財政を取る一方で、法人減税で税収に穴を空けるという具合で、何もせずに前年と同じことをしておれば良いものを、あえて事態を悪化させるようなことに熱心だ。(法人減税はJMMの北野一さんの12/27論考でも参照されたい)
来年は良い年であってほしいね。それは政策的な愚行に民間経済がどれだけ耐えられるかにかかっている。日本の「雪白の翼」は、まだ失われていない。羽ばたくなら、雲を抜けて、再び大空を舞えるのだ。
(今日の日経)
NTT光回線値下げ。北朝鮮、年1発製造できる能力。人づくりへ総力結集を・中山伸弥。日本、回復遅れた1年、円高で年後半停滞、政策効果の反動も響く、景気来春再浮上も。海外投資家、日本国債保有増やす。介護再び人手不足、製造業に雇用回帰。ベトナム造船大手に政府融資。中国・小型車減税打ち切り。米住宅価格マイナス。ロシア資本流出、経済停滞の影。衣料品、中国依存見直し。半導体・液晶フル稼働。求人広告11月7%増。経済教室・ポスト京都・澤昭裕。
※経済がダメだと人づくりも崩れる。海外の見方は違うようだね。不況のなかの人手不足か、基本内容の「雪白の翼」でも読んでくれ。中国の需要先食いも限界。米国はまだまだ。ロシアは自業自得。中国も曲がり角。国内には明るさ。