経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

いまだ消費はデフレ後とはならず

2024年02月25日 | 経済
 日経平均がバブル以来の最高値を更新して、日経は「もはやバブル後ではない」としたが、本当に日本経済がマズくなったのは、バブル崩壊後ではなくて、デフレが始まった1997年以降だ。株価が大幅に下落した後のジュリアナ東京の隆盛をバブルの頃と思ってしまうのは、1997年までは、まだ余裕があり、実際、バブル崩壊後も、消費は伸び続け、豊かさは増していた。挫折したのは、1997年からなのである。

………
 10-12月期のGDP速報では、実質の消費が3期連続で減少し、2019年の消費増税以降の伸び率の平均が、2014年増税以降のそれを下回ってしまった。日本経済は、バブルの1989年の消費税の導入時は別として、増税のたびに、消費の水準と伸び率を下げてきたが、2019年増税も、その例に漏れずである。特に、今のような物価上昇局面では、値上がり分にも課税されるので、なおさら重荷になってしまう。 

 バブル崩壊が日本経済の転機とされることは多いが、それ以降も、消費が年率2.0%で伸びていたと聞けば、驚かれるのではないか。1997年以降は、年率0.8%に下がり、2014年以降は0.26%であり、そして、2019年以降はコロナ禍を挟んで0.16%になった。アベノミクスでの低下は、意外かもしれないが、名目では加速していて、それは、2019年以降も同じだ。名目では加速し、実質では減速なのである。

 足下で消費が伸びないのは、賃金は増えていても、可処分所得が増えていないという、実もフタもない理由であり、アベノミクスのときと変わらない。税・保険料の還元が必要で、春に定額減税がなされるが、効果はどうか。日々月々かかる税・保険料と違い、一度にもらうので、貯蓄に回りがちだ。使い途も偏りやすく、コロナ禍の10万円給付のように、輸入の電子機器などに向って逼迫を起こしたりと、上手く循環しない。

(図) 


………
 今週は、人口動態速報の公表があり、2023年の出生数の激減が報じられるだろう。3.5兆円を使って新たな少子化対策も講じられるが、結婚できた人への子育て支援ばかりで、目玉の児童手当は今年の12月だ。そうこうしているうちに最後のチャンスは過ぎてしまう。思えば、1997年以降、若年雇用が悪化し、第3次ベビーブームは幻となった。2019年以降の出生率の低下は、若年男子の就業率の低下とともに進んでいる。

 足下の雇用は改善し、就業率は上昇しているものの、女子によるもので、男子は停滞している。結婚の条件に、男子も女子の就業継続を求めるようになり、女子でも非正規だと結婚に苦労している。非正規には育児休業給付を出さないのだから、当然の成り行きだ。若い低所得層に保険料を還元して皆保険にしたり、育児休業給付をしたりに行き着くのはいつなのか。失われた30年は、失った出生の年月でもある。


(今日までの日経)
 半導体再興 熊本から TSMCが稼働。株最高値 さらばバブル後。日経平均最高値 終値3万9098円、34年ぶり。〈消えるサカナ〉漁獲量「2050年ほぼゼロに」。消費低迷、景気判断下げ 2月月例報告。ホンダが5%満額回答 早期妥結、賃上げに弾み。


コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 2/21の日経 | トップ | 2/28の日経 »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Unknown)
2024-02-26 08:57:12
こういうデータを見ると日本がおかしくなったのは橋本龍太郎のせいとしか思えないのですが、なぜ批判が少ないのでしょうか。とある質問サイトで橋本を戦後最悪の総理と主張する元エコノミストが指摘してましたが、賃金のピークも1997年らしいですし、企業の内部留保もその頃から急激に上がるグラフを見せてました。

コメントを投稿

経済」カテゴリの最新記事