経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

緊縮速報・消費における理論なき測定

2024年03月24日 | 経済(主なもの)
 10-12月期の資金循環統計が公表になり、一般政府の資金過不足は、4四半期移動合計のGDP比で見て-2.8%となり、1.1%の改善となった。コロナ禍前の約-2.0%の水準まであと一歩まで緊縮が進んでいる。10-12月期における財政資金対民間収支では、税収は前年同期比で0.4兆円の減だったものの、社会保障費が2.1兆円減っている。1-3月期の状況は、一般会計の収支尻の前年同期比が4.8兆円あり、更に改善するだろう。

 3/22の経済教室では、祝迫先生の消費動向の分析があったが、経済学者らしい持って行き方だったと思う。筆者は、理論なき測定屋なので、2/4のコラムに記したように、消費の停滞は、可処分所得の停滞であり、負担増が雇用者報酬の増加を減殺した結果にしか見えないが、緊縮財政は消費を委縮させないという理論があると、問題の所在は、財政ではなく、持続的な賃上げと、その前提となる企業の生産性向上になるようだ。

 こういう見方は、アベノミクスへの評価でもありがちで、低成長は、消費の停滞が理由とされつつも、可処分所得の停滞まで行き着かず、まして、緊縮財政が問題視されることもない。むしろ、円安と輸出で、設備投資は伸びたにもかかわらず、成長戦略が十分ではなかったとされる。負担増を程々にしておけば、もう少し成長していただろうといった、ストレート過ぎる分析は、お呼びではない。

(図)


………
 3/22に公表された2023年度の社会意識に関する世論調査では、「経済的なゆとりと見通しが持てない」、「子育てがしにくい」とする回答が上昇している。消費増税の際も似た傾向があり、物価高が影響したと考えられる。とりわけ、20代や30代の若者が高いのは、憂慮すべきところで、調査方法が違うので単純な比較はできないが、コロナ前より、かなり高くなっており、結婚や出生の低下に結びついていると思われる。

 今年の賃上げは高く、初任給は更に上を行くだろう。デフレ下の若者の苦境は、改善されそうである。他方、物価と賃金が上がれば、税や保険料も増える。負担率は5割になっているのだから、増え方も大きい。消費を増やしたければ、再分配は有効だし、出生を増やすのでも、再分配は必要だろう。むろん、可処分所得の増加は、消費にも出生にも関係ないという理論があるのなら、そんな発想にはならないわけであるが。

(図)



(今日までの日経)
 消える昼の買い、4年連続「円安」に 企業利益が海外滞留。「経済ゆとりなし」最多63% 内閣府、社会への不満調査。輸出額最高、8.2兆円 自動車けん引。個人消費 低迷脱却の条件・祝迫得夫。非正規社員も待遇改善 イオン系40社。利上げ「10月」「7月」観測浮上。


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