経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

GDP家計10-12月期・問題を認識していないのが真の問題

2024年04月14日 | 経済
 輸入物価が上がった、売上げが上がった、賃金が上がった、しかし、消費は上がらない。循環の最後が切れている。4/10公表の10-12月期GDP家計四半期速報を見れば、可処分所得が抑圧されていることが理由だと分かる。可処分所得が増えないのは、財政が吸い上げているからであり、経済運営が拙いということなのだが、そうした認識がなく、何をやったら良いのか分からないのが真の問題という始末である。

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 2023年の4四半期の伸び率の平均を見ると、名目の雇用者報酬は+0.3%と伸びている、しかし、可処分所得は-0.2%である。理由は、税や負担が増え、給付が減ったからである。おカネがなければ使えないから、家計消費は、この3四半期、横ばい状態にある。消費が増えないと、次の売上げは増えず、設備投資も鈍り、好循環は断ち切られる。好循環を推し進めるとする政府が自ら堰き止めているのだから世話はない。

 確かに、コロナ禍に対応してきた財政出動が縮小するのは当然だ。しかし、税と保険料で賃金の半分を召し上げる構造が出来上がってしまった以上、再分配にも注意を払わないと、やり過ぎで成長を阻害することになる。ものには限度があり、財政再建が進んで良かった、赤字縮小は経済にも良いはずとナイーブにと喜んでいるようでは、とても経済成長なんて確保できない。

 問題は、所得を吸い上げても消費は増えるとか、消費が増えなくても投資は増やせるとか、財政再建と産業政策に都合の良い現実離れした理屈に囚われてしまっているところにある。今国会では、子育て支援の負担金が議論されていて、趣旨は立派だし、額も大きくないが、怨みがましいのは、庶民には、可処分所得が増えない中で、もっと吸い上げようということへの言葉にしがたい苦汁の感覚があるように思う。

(図)


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 1-3月期になって、やや消費が上向いているのは、低所得者向けの給付が始まったことがあると思うし、4-6月期に減税がなされれば、一時的に可処分所得の抑圧が緩み、多少は雰囲気も変わるだろう。今回の減税では、税が軽く保険料が重い構造のために、実務が煩雑を極めた。再分配の制度インフラのなさが再三問題になっているのに、問題とも思われていない。今度の年金改正での適用拡大は吸い上げ強化になるが、再分配とセットでないと拙いと思うのだが、問題意識すら存在しない。


(今日までの日経)
 高齢者の「働き損」解消策、年金減額の緩和議論。基礎年金の納付、45年に延長試算 厚労省、年末までに改革案。

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