経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

8/13の日経

2017年08月13日 | 今日の日経
 最終的には、こども保険も、出世払い奨学金も、年金制度に統合されることになる。それが合理的だからだ。すなわち、本コラムが6年前の「雪白の翼」や3年前の「ニッポンの理想」で示した形となる。行き着く先は見えていても、人々の考えはゆっくりとしか変わらないから、紆余曲折を経る。今は、「年寄り向けの年金が、なぜ、子供や奨学金に結びつくの?」という段階だが、「年金は、働ける時期のお金を、若年期や高齢期などの働けない時期に使えるようにする仕組」だという本質を知るようになる。

 出世払い奨学金の返済は、厚生年金の保険料に上乗せする形で徴収するのが手間がかからない。所得によって返済額を変えるようにするなら、なおさらだ。そうすると、財源を教育国債に求めるのではなく、本人の将来の年金の受給権を担保にすれば良いと気づく。しかも、厚生年金は、さしあたりの資金を積立金という形で、たんまり持っている。こうなると、奨学金というより、将来所得の保険制度になるんだね。

 こども保険も、乳幼児を育てている働けない時期に、将来の受給する年金を前倒しで得られるようにすれば、安んじて子供を持てるようになる。3歳になって保育所に預けて仕事に復帰すれば、使ったお金は、すぐに取り返せるし、夫婦共働きなら、年金水準は高めになるので、制度ができてしまえば、なぜ、今までできなかったのか、不思議にさえ思えるだろう。それほど、人々の考えを現実に適合させていくには、時間がかかるということさ。

 残念なのは、人々の考えが変わるまでに、相当、人口減少が進んでしまうことだ。正直、団塊ジュニアが中年になった今は、もはや手遅れだ。それでも、早くするに越したことはない。こうなる前から、声をからして訴えたが、一昔前は、少子化対策を口にすると、「戦前の産めよ増やせよだ」と批判される始末だった。それが消えたのは、人々の考えも、ゆっくりとではあるが、変わってきた証しだ。時代の先を読める能力はありがたいけれど、なかなか信じてもらえないのは、けっこう辛いものがあるよ。


(今日までの日経)
 大学授業料 出世払いで、教育国債で政府が新構想、こども保険とセット。国保業務、民間委託進む。日銀総資産FRB超え。欧州客 消費の主役・エコノ。


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